「大利根なみだ酒」の歌詞 山内惠介

2012/12/19 リリース
作詞
松岡弘一
作曲
水森英夫
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むかしならした 千葉ちば道場どうじょう
出世しゅっせ夢見ゆめみもあるが
小舟こぶねかべた だい利根川とねがわ
こぼすなみだだれ
よしきりわらって つき

はは故郷こきょうわすれたが
なぜかなみだまりゃせぬ
よめにいったか いもうと二十歳はたち
どうかしあわいのりつつ
人斬ひとき平手ひらておとこ

「テンツクテンテン、テンツクテンテン……あれは
佐原囃子さわらばやしか、ふふ、ひとりぼっちのなつわり、
もうすぐ秋祭あきまつりだなぁ。さかなれず、やけにっぱいぜぇ、
今夜こんやさけは……よしきりよ、そんなにおかしいか。
じゃあ一緒いっしょわらおうか、ふっはっはっははははは」

おもすのはおたまいけ三本さんぼん勝負しょうぶ相手あいて旗本はたもと若様わかさま腕自慢うでじまん
一本いっぽんゆずるが武士ぶし商法しょうほうか。がつきゃ若様わかさま
白目しろめをむいてたおれてやがった……破門はもんだと。
なにをぬかしやがる。つよくてなにがわるい。こんな算盤そろばん道場どうじょう
されるまえにこっちからていってやらぁ…… 
門弟もんてい三千人さんぜんにんなかでもいちきそい、剣豪けんごうだ、剣聖けんせい
ともてはやされた平手ひらて造酒みきが、
いまじゃ酒代さかだいほしさにやくざの用心棒ようじんぼうか。
ふふ、よくぞ よくぞここまでちぶれてたもんだぜ。

ちち形見かたみ刀豆煙管なたまめぎせる
ぷかりかして さけ
つるぎむよな あじがする
ひざかかえて うたたねすれば
つきのしずくが つきのしずくが ほおらす

とき天保てんぽうじゅう五年ごねん八月はちがつ六日むいか
秋風あきかぜさわやか稲穂いなほさぶりわたる。
ところは下総しもうさ利根川とねがわ沿いで、竜虎りゅうこ相打あいう侠客おとこ喧嘩けんか
めてくるのは飯岡いいおか助五郎すけごろう
むかつのは笹川ささがわ繁蔵しげぞう
笹川ささがわ食客しょっかく平手ひらて造酒みきとし三十さんじゅう白皙はくせき美男びなん

「お世話せわになりもうした良庵りょうあん殿との。これは
無聊ぶりょう手慰てなぐさみにった御仏みほとけでござる。
薬代くすりだいがわりにいていきもうす。目障めざわりだったらててくだされ……いや、
めてくださるな、このはなかすにはいましかないのでござる。
これは一世一代いっせいちだいおとこまつりなのじゃ。さあ、そこをどいてくだされ。
どかぬならばかみほとけるつもりじゃ。どけ!どいてくだされ!」

なんの因果いんが笹川ささがわ
草鞋わらじいだら 義理ぎりからむ
一宿一飯いっしゅくいっぱん あずけたいのち
かぬはななら ひら
大利根おおとねめようぞ