ほぅら 御出おいでませ
鬼おにさん此方こちら 手ての鳴なる方ほうへ
さぁさ 御覧ごらんあれ
色いろは匂におへと 散ちりぬるを
ほぅら 御行おゆきませ
鬼おにさん彼方あちら 気きの向むく侭ままに
さぁさ 御緩ごゆるりと
何方どちらに堕おとしませうか
あれよあれよ落おつるは (果はつる底無そこなきの)
空から、狂くる、転ころ)りと(井底せいてい
綾あやなす意図いとは(抓つまんで候そうろう)
するり 引ひき落おとし
-アヤトリ-
花弁かべん 散ちラ 血ちらリ
からくれなゐ淫みだり染そめにし 二藍ふたあい
しとど濡そぼつ蜜みつに溺おぼるゝ眩暈めまい
貴方あなたに囁ささやくのです
「ゆぅらり、と」
ほぅら 御逃おにげませ
鬼おにさん其方そちら 傀儡くぐつが故ゆえに
さぁさ 案内あないしませうか
浅あさき夢見ゆめみし 酔よひもせず
あれよあれよ縋すがるは(雁字がんじに搦からみし)
指ゆび、首くび、足あしへと綾糸あやいと)
引ひき千切ちぎるやう(手繰てさぐりて候そうろう)
ぎりり 狐こを描えがく
-ユビキリ-
「あらら、もう…」
散さひて咲さひた艶あでの花はな
嫋しなやかに絡からみ付つき 露あらわ
腐くされて涸かるゝ頃ころには
潮時しおどきと相成あいなりませうか
「御生憎様おあいにくさま」
ほぅらhoura 御出oideませmase
鬼oniさんsan此方kochira 手teのno鳴naるru方houへhe
さぁさsaasa 御覧goranあれare
色iroはha匂nioへとheto 散chiりぬるをrinuruwo
ほぅらhoura 御行oyuきませkimase
鬼oniさんsan彼方achira 気kiのno向muくku侭mamaにni
さぁさsaasa 御緩goyuruりとrito
何方dochiraにni堕oとしませうかtoshimaseuka
あれよあれよareyoareyo落oつるはtsuruha (果haつるtsuru底無sokonaきのkino)
空kara、狂kuru、転koro)りとrito(井底seitei
綾ayaなすnasu意図itoはha(抓tsuまんでmande候sourou)
するりsururi 引hiきki落oとしtoshi
-アヤトリayatori-
花弁kaben 散chiラra 血chiらraリri
からくれなゐkarakurenawyi淫midaりri染soめにしmenishi 二藍futaai
しとどshitodo濡soboつtsu蜜mitsuにni溺oboるruゝ眩暈memai
貴方anataにni囁sasayaくのですkunodesu
「ゆぅらりyuurari、とto」
ほぅらhoura 御逃oniげませgemase
鬼oniさんsan其方sochira 傀儡kugutsuがga故yueにni
さぁさsaasa 案内anaiしませうかshimaseuka
浅asaきki夢見yumemiしshi 酔yoひもせずhimosezu
あれよあれよareyoareyo縋sugaるはruha(雁字ganjiにni搦karaみしmishi)
指yubi、首kubi、足ashiへとheto綾糸ayaito)
引hiきki千切chigiるやうruyau(手繰tesaguりてrite候sourou)
ぎりりgiriri 狐koをwo描egaくku
-ユビキリyubikiri-
「あららarara、もうmou…」
散saひてhite咲saひたhita艶adeのno花hana
嫋shinayaかにkani絡karaみmi付tsuきki 露arawa
腐kusaれてrete涸kaるruゝ頃koroにはniha
潮時shiodokiとto相成ainaりませうかrimaseuka
「御生憎様oainikusama」