月つきに羽根はねを染そめた
夜鶯うぐいすが舞まい降おり
馨かぐわしき憂うれいの百合ゆりへと
問といかける
何故なぜあなたは
夜毎よごと 花はなを濡ぬらして
美うつくしい宵よいを
ただ泣ないて過すごすの?
それは恋こいしい人ひとが
娘むすめを抱だくから
やさしく触ふれた指ゆびが
忘わすれられずに
枯かれるだけのこの身みが
哀あわれで悲かなしい
あの人ひとの胸むねのなか
香かおれるならば
一いち夜やの命いのちも惜おしまぬのに
百合ゆりは答こたえ甘あまく慄ふるえる
森もりの苔こけの褥しとね
彷徨さまようのは娘むすめ
葉末はずえの間あわいから
夜よる鶯うぐいすは訊たずねる
何故なぜあなたは
ひとり暗くらい小径こみちを
茨いばらに血ちを流ながし
迷まよい込こんだの?
それは恋こいしい人ひとが
去さって行いったから
移うつろい変かわるものは
時ときだけじゃなく
人ひとの愛あいと心こころと
知しってしまったの
愛いとしい腕うでのなかに
戻もどれぬならば
もう夢ゆめの欠片かけらも見みえぬでしょう
長ながい髪かみに薄闇うすやみが散ちる
やがて娘むすめは
朽くちた百合ゆりの根元ねもとに
倒たおれてその目蓋まぶたを
閉とじて動うごかない
乱みだれるように開ひらく
花はなの底そこから
黄金おうごんの花粉かふんが降ふり注そそぐ
移うつろい揺ゆらぐものが
儚はかないのなら
清きよらかなまま昇のぼる
魂たましいはどこへ
白しろい墓標ぼひょうの上うえで
囀さえずる夜よる鶯とりは
天使てんしの翼つばさに憧あこがれて
一晩中ひとばんじゅう
羽搏はばたきました
月tsukiにni羽根haneをwo染soめたmeta
夜鶯uguisuがga舞maいi降oりri
馨kaguwaしきshiki憂ureいのino百合yuriへとheto
問toいかけるikakeru
何故nazeあなたはanataha
夜毎yogoto 花hanaをwo濡nuらしてrashite
美utsukuしいshii宵yoiをwo
ただtada泣naいてite過suごすのgosuno?
それはsoreha恋koiしいshii人hitoがga
娘musumeをwo抱daくからkukara
やさしくyasashiku触fuれたreta指yubiがga
忘wasuれられずにrerarezuni
枯kaれるだけのこのrerudakenokono身miがga
哀awaれでrede悲kanaしいshii
あのano人hitoのno胸muneのなかnonaka
香kaoれるならばrerunaraba
一ichi夜yaのno命inochiもmo惜oしまぬのにshimanunoni
百合yuriはha答kotaえe甘amaくku慄furuえるeru
森moriのno苔kokeのno褥shitone
彷徨samayoうのはunoha娘musume
葉末hazueのno間awaiからkara
夜yoru鶯uguisuはha訊tazuねるneru
何故nazeあなたはanataha
ひとりhitori暗kuraいi小径komichiをwo
茨ibaraにni血chiをwo流nagaしshi
迷mayoいi込koんだのndano?
それはsoreha恋koiしいshii人hitoがga
去saってtte行iったからttakara
移utsuろいroi変kaわるものはwarumonoha
時tokiだけじゃなくdakejanaku
人hitoのno愛aiとto心kokoroとto
知shiってしまったのtteshimattano
愛itoしいshii腕udeのなかにnonakani
戻modoれぬならばrenunaraba
もうmou夢yumeのno欠片kakeraもmo見miえぬでしょうenudesyou
長nagaいi髪kamiにni薄闇usuyamiがga散chiるru
やがてyagate娘musumeはha
朽kuちたchita百合yuriのno根元nemotoにni
倒taoれてそのretesono目蓋mabutaをwo
閉toじてjite動ugoかないkanai
乱midaれるようにreruyouni開hiraくku
花hanaのno底sokoからkara
黄金ougonのno花粉kafunがga降fuりri注sosoぐgu
移utsuろいroi揺yuらぐものがragumonoga
儚hakanaいのならinonara
清kiyoらかなままrakanamama昇noboるru
魂tamashiiはどこへhadokohe
白shiroいi墓標bohyouのno上ueでde
囀saezuるru夜yoru鶯toriはha
天使tenshiのno翼tsubasaにni憧akogaれてrete
一晩中hitobanjuu
羽搏habataきましたkimashita