塔の中の男 歌詞 人間椅子 ふりがな付

風かぜが吹ふきつける
荒あれ果はてた古城こじょう
鉄柵てっさくの窓まどに
人影ひとかげが揺ゆらぐ

旅人たびびとが告つげる
彼かれは詩人しじんだった
神かみと闘たたかって
ここにいるのだと

塔とうの中なかの男おとこ
忘わすれられし人ひとよ
塔とうの中なかの男おとこ
早過はやすぎた人ひとよ
光ひかりの子こどもよ

春はるの訪おとないも
立たち止どまるところ
薄明はくめいの霧きりが
重おもく垂たれ込こめる

牧人ぼくじんは語かたる
彼かれは偉大いだいだった
神かみに敗やぶれ去さり
ここに来きたのだと

塔とうの中なかの男おとこ
忘わすれられし人ひとよ
塔とうの中なかの男おとこ
早過はやすぎた人ひとよ
無垢むくなる童わらべよ

鉄てつの窓まど 開あけ放はなち
憧憬しょうけいの涙なみだをこぼす
愛あいに満みちた 楽園らくえんの遠とおい記憶きおく

むく鳥どりは歌うたう 青空あおぞら
飛とび魚うおは駆かける 海原うなばら
しゃくなげは眠ねむる そよ風かぜ
カモシカは踊おどる 山やまかげ

夢ゆめに微睡まどろんでいる
愛あいを育はぐくんでいる
ユートピア

乳呑ちのみ子ごは微笑ほほえむ 太陽たいよう
少年しょうねんは学まなぶ 月光げっこう
英雄えいゆうは挑いどむ 雷鳴らいめい
手弱女たおやめは額ぬかずく 流星りゅうせい

夢ゆめに微睡まどろんでいる
愛あいを育はぐくんでいる
ユートピア

時ときの移うつろいに
見捨みすてられた城しろ
ひび割われた窓まどに
蝋燭ろうそくが灯ともる

人ひとは聞きくだろう
彼かれは誰だれなのか
神かみも祈いのらずに
ここにいるのかと

塔とうの中なかの男おとこ
忘わすれられし人ひとよ
塔とうの中なかの男おとこ
早過はやすぎた人ひとよ
至誠しせいの僕しもべよ

光ひかりの子こどもよ
愁うれいを抱だきしめて
世界せかいを待まっている
慈愛じあいを抱だきしめて
世界せかいを讃たたえている
今いまも