母ははは来きました 今日きょうも来きた
この岸壁がんぺきに 今日きょうも来きた
とどかぬ願ねがいと 知しりながら
もしやもしやに もしやもしやに
ひかされて
「又また引ひき上あげ船せんが帰かえって来きたのに、
今度こんどもあの子こは帰かえらない。
この岸壁がんぺきで待まっている
わしの姿すがたがみえんのか…。
港みなとの名前なまえは舞鶴まいづるなのに
何故なぜ飛とんで来きてはくれぬのじゃ……。
帰かえれないなら大おおきな声こえで……。」
呼よんで下ください おがみます
ああ おッ母かさん よく来きたと
海千山千うみせんやませんと 言いうけれど
なんで遠とおかろ なんで遠とおかろ
母ははと子こに
「あの子こは今頃いまごろどうしているでしょう。
雪ゆきと風かぜのシベリアは寒さむかろう…
つらかっただろうと命いのちの限かぎり抱だきしめて……
温あたためてやりたい……。」
悲願ひがん十年じゅうねん この祈いのり
神様かみさまだけが 知しっている
流ながれる雲くもより 風かぜよりも
つらいさだめの つらいさだめの
杖つえひとつ
「ああ風かぜよ、心こころあらば伝つたえてよ。
愛いとし子ご待まちて今日きょうも又また、
怒涛どとう砕くだくる岸壁がんぺきに立たつ母ははの姿すがたを……。」
母hahaはha来kiましたmashita 今日kyouもmo来kiたta
このkono岸壁ganpekiにni 今日kyouもmo来kiたta
とどかぬtodokanu願negaいとito 知shiりながらrinagara
もしやもしやにmoshiyamoshiyani もしやもしやにmoshiyamoshiyani
ひかされてhikasarete
「又mata引hiきki上aげge船senがga帰kaeってtte来kiたのにtanoni、
今度kondoもあのmoano子koはha帰kaeらないranai。
このkono岸壁ganpekiでde待maっているtteiru
わしのwashino姿sugataがみえんのかgamiennoka…。
港minatoのno名前namaeはha舞鶴maiduruなのにnanoni
何故naze飛toんでnde来kiてはくれぬのじゃtehakurenunoja……。
帰kaeれないならrenainara大ooきなkina声koeでde……。」
呼yoんでnde下kudaさいsai おがみますogamimasu
ああaa おoッxtu母kaさんsan よくyoku来kiたとtato
海千山千umisenyamasenとto 言iうけれどukeredo
なんでnande遠tooかろkaro なんでnande遠tooかろkaro
母hahaとto子koにni
「あのano子koはha今頃imagoroどうしているでしょうdoushiteirudesyou。
雪yukiとto風kazeのnoシベリアshiberiaはha寒samuかろうkarou…
つらかっただろうとtsurakattadarouto命inochiのno限kagiりri抱daきしめてkishimete……
温atataめてやりたいmeteyaritai……。」
悲願higan十年juunen このkono祈inoりri
神様kamisamaだけがdakega 知shiっているtteiru
流nagaれるreru雲kumoよりyori 風kazeよりもyorimo
つらいさだめのtsuraisadameno つらいさだめのtsuraisadameno
杖tsueひとつhitotsu
「ああaa風kazeよyo、心kokoroあらばaraba伝tsutaえてよeteyo。
愛itoしshi子go待maちてchite今日kyouもmo又mata、
怒涛dotou砕kudaくるkuru岸壁ganpekiにni立taつtsu母hahaのno姿sugataをwo……。」