生うまれ信濃しなのの 追分節おいわけぶしを
おいら歌うたえば絃いとが鳴なる
義理ぎりという字じに 逆さからえず
恨うらみもない人ひと 刀かたなにかけた
沓掛くつがけ道中どうちゅう
詫わびておりやす ああ中仙道なかせんどう
「一宿一飯いっしゅくいっぱんの恩義おんぎとはいえ…勘弁かんべんしておくんなせぇ…」
慣なれぬ長旅ながたび 痛いたみはせぬか
すれた草鞋わらじが 母ははと子こにゃ
惚ほれていたって 惚ほれたとは
互たがいに言いえない この身みの辛つらさ
沓掛くつかけ道中どうちゅう
今日きょうは上州じょうしゅう ああ中仙道なかせんどう
「止やむにやまれぬ助すけっ人と稼業かぎょう…
この時次郎ときじろうかならず堅気かたぎになって 帰けえってまいりやす…」
二に度どと長脇差ながどす 抜ぬかぬと決きめた
これっきりです おきぬさん
忘わすれ形見がたみの 太郎吉たろうきちを
命いのちにかえても 守まもってやると
沓掛くつがけ道中どうちゅう
明日あすは晴はれるか ああ中仙道なかせんどう
生uまれmare信濃shinanoのno 追分節oiwakebushiをwo
おいらoira歌utaえばeba絃itoがga鳴naるru
義理giriというtoiu字jiにni 逆sakaらえずraezu
恨uraみもないmimonai人hito 刀katanaにかけたnikaketa
沓掛kutsugake道中douchuu
詫waびておりやすbiteoriyasu ああaa中仙道nakasendou
「一宿一飯issyukuippanのno恩義ongiとはいえtohaie…勘弁kanbenしておくんなせぇshiteokunnasee…」
慣naれぬrenu長旅nagatabi 痛itaみはせぬかmihasenuka
すれたsureta草鞋warajiがga 母hahaとto子koにゃnya
惚hoれていたってreteitatte 惚hoれたとはretatoha
互tagaいにini言iえないenai このkono身miのno辛tsuraさsa
沓掛kutsukake道中douchuu
今日kyouはha上州jousyuu ああaa中仙道nakasendou
「止yaむにやまれぬmuniyamarenu助sukeっxtu人to稼業kagyou…
このkono時次郎tokijirouかならずkanarazu堅気katagiになってninatte 帰keeってまいりやすttemairiyasu…」
二ni度doとto長脇差nagadosu 抜nuかぬとkanuto決kiめたmeta
これっきりですkorekkiridesu おきぬさんokinusan
忘wasuれre形見gatamiのno 太郎吉taroukichiをwo
命inochiにかえてもnikaetemo 守mamoってやるとtteyaruto
沓掛kutsugake道中douchuu
明日asuはha晴haれるかreruka ああaa中仙道nakasendou