花火はなびがどこかで鳴なっている。
電話でんわ越ごしで鳴なる。
「そういえば今年ことしはまだ一度いちども見みてないな」
遠回とおまわしの誘さそい文句もんく。気付きづくかな。
臆病おくびょうな私わたしの嘘うそに気付きづくかな。
天気てんき予報よほうは雨模様あめもよう。
どうせ見みていないよな。
二人ふたり分ぶんには窮屈きゅうくつな折おり畳たたみがいい。
唇くちびるは夏色なついろ。爪つめを青あおく塗ぬれば、
夏なつの終おわりが今いま、はじまる。
話はなしかけた瞬間しゅんかんに、遮さえぎって打うち上あがる。
君きみは、それを目めで追おう。
途切とぎれ途切とぎれの言葉ことばに相槌あいづちを打うちながら、
途切とぎれない花火はなびが煩うるさくて。
予報よほう通どおりの小雨こさめ。布ぬのの花はなが咲さく。
私わたしたちは今いま、どんな二人ふたりに見みえますか。
汗あせの匂においが少すこしする。嫌いやじゃない。
幅はばを狭せばめて初はじめて肩かたに触ふれる。
次々つぎつぎと色いろが移うつる。
私わたしには、君きみ以外いがい映うつらないのに。
笑わらう度たびに細ほそくなるその目めが好すきだったよ、本当ほんとう。
でも、今いまからこの距離感きょりかんを壊こわすね。
夏なつの魔法まほうなんかに頼たよっても、何なにも変かわらないから。
八はち月がつ、人混ひとごみ。
合あわない歩幅ほはばすら、
いつか思おもい出でになる。
辺あたり一面いちめんを染そめる。
彩いろどって、飲のみ込こんだ、夜空よぞらだけ似合にあう花はな。
今年ことし二に度ど目めの花火はなびは音おとばかり覚おぼえていて、
汗あせばむような夏なつの記憶きおく。
この先さき、きっと後悔こうかいをする。
その度たび、今日きょうの私わたしが背中せなかを押おすのだろう。
恋こいをした。強つよい光ひかりのようでした。
それは、火薬かやくの匂においがした。
花火hanabiがどこかでgadokokade鳴naっているtteiru。
電話denwa越goしでshide鳴naるru。
「そういえばsouieba今年kotoshiはまだhamada一度ichidoもmo見miてないなtenaina」
遠回toomawaしのshino誘sasoいi文句monku。気付kiduくかなkukana。
臆病okubyouなna私watashiのno嘘usoにni気付kiduくかなkukana。
天気tenki予報yohouはha雨模様amemoyou。
どうせdouse見miていないよなteinaiyona。
二人futari分bunにはniha窮屈kyuukutsuなna折oりri畳tataみがいいmigaii。
唇kuchibiruはha夏色natsuiro。爪tsumeをwo青aoくku塗nuればreba、
夏natsuのno終oわりがwariga今ima、はじまるhajimaru。
話hanaしかけたshikaketa瞬間syunkanにni、遮saegiってtte打uちchi上aがるgaru。
君kimiはha、それをsorewo目meでde追oうu。
途切togiれre途切togiれのreno言葉kotobaにni相槌aiduchiをwo打uちながらchinagara、
途切togiれないrenai花火hanabiがga煩urusaくてkute。
予報yohou通dooりのrino小雨kosame。布nunoのno花hanaがga咲saくku。
私watashiたちはtachiha今ima、どんなdonna二人futariにni見miえますかemasuka。
汗aseのno匂nioいがiga少sukoしするshisuru。嫌iyaじゃないjanai。
幅habaをwo狭sebaめてmete初hajiめてmete肩kataにni触fuれるreru。
次々tsugitsugiとto色iroがga移utsuるru。
私watashiにはniha、君kimi以外igai映utsuらないのにranainoni。
笑waraうu度tabiにni細hosoくなるそのkunarusono目meがga好suきだったよkidattayo、本当hontou。
でもdemo、今imaからこのkarakono距離感kyorikanをwo壊kowaすねsune。
夏natsuのno魔法mahouなんかにnankani頼tayoってもttemo、何naniもmo変kaわらないからwaranaikara。
八hachi月gatsu、人混hitogoみmi。
合aわないwanai歩幅hohabaすらsura、
いつかitsuka思omoいi出deになるninaru。
辺ataりri一面ichimenをwo染soめるmeru。
彩irodoってtte、飲noみmi込koんだnda、夜空yozoraだけdake似合niaうu花hana。
今年kotoshi二ni度do目meのno花火hanabiはha音otoばかりbakari覚oboえていてeteite、
汗aseばむようなbamuyouna夏natsuのno記憶kioku。
このkono先saki、きっとkitto後悔koukaiをするwosuru。
そのsono度tabi、今日kyouのno私watashiがga背中senakaをwo押oすのだろうsunodarou。
恋koiをしたwoshita。強tsuyoいi光hikariのようでしたnoyoudeshita。
それはsoreha、火薬kayakuのno匂nioいがしたigashita。