あの頃ころの僕ぼくはと言いえば 街まちを出でたくてしょうがなく
「東京とうきょうに行いけば…」それだけで 夢ゆめが叶かなう気きがしていた
六畳ろくじょう一間ひとまで始はじまった 全すべてが新あたらしい暮くらし
ダンボールだらけの部屋へやの中なか 寂さびしさと希望きぼうが混まざり合あった
渋谷しぶや 新宿しんじゅく 池袋いけぶくろ 眠ねむらない街まちに心こころ踊おどり
朝方あさがた寝ねて 昼ひる起おきる 生活せいかつに慣なれていった
いつの間まにか 一杯いっぱいになるポストのチラシに紛まぎれた
あなたからの手紙てがみ
東京とうきょうで生いきている 故郷こきょうを離はなれて
懐なつかしい僕ぼくの街まちは あの空そらの向むこう
ひとりぼっちの部屋へやで あなたからの手紙てがみを読よむ
僕ぼくを想おもう 心配しんぱいが溢あふれていた
毎月まいつきのように飽あきもせず 送おくってくれていたけれど
たまに書かく返事へんじさえ 億劫おっくうになっていったんだ
呼よび戻もどそうと名前なまえを呼よんでくれる声こえも無視むしして
わがままに 思おもうがままに この街まちで生いきていた
少すこしずつ数かずが減へっていったよ いつしか来こなくなる時ときが来くると思おもわず
「東京とうきょうは遠とおいね」って ぽつりとつぶやいた
悲かなしそうな顔かおが忘わすれられない
最後さいごまで 僕ぼくの名前なまえ 呼よび続つづけてくれていた
優やさしさが 文字もじのひとつひとつに溢あふれてた
与あたえてもらうばかりで 心配しんぱいかけてばかりで
結局けっきょく 僕ぼくは何なにを返かえせたのだろう?
まだ何者なにものでもないけれど 今いまあなたへのありったけの感謝かんしゃを書かき連つらねている
出だせないこの手紙てがみをいつか渡わたせるように
掴つかむんだ 東京とうきょうに来きた時ときの夢ゆめを
もう一度いちど この胸むねに刻きざみつけよう
僕ぼくはまだ あの街まちには帰かえれない
あのano頃koroのno僕bokuはとhato言iえばeba 街machiをwo出deたくてしょうがなくtakutesyouganaku
「東京toukyouにni行iけばkeba…」それだけでsoredakede 夢yumeがga叶kanaうu気kiがしていたgashiteita
六畳rokujou一間hitomaでde始hajiまったmatta 全subeてがtega新ataraしいshii暮kuらしrashi
ダンボdanboールruだらけのdarakeno部屋heyaのno中naka 寂sabiしさとshisato希望kibouがga混maざりzari合aったtta
渋谷shibuya 新宿shinjuku 池袋ikebukuro 眠nemuらないranai街machiにni心kokoro踊odoりri
朝方asagata寝neてte 昼hiru起oきるkiru 生活seikatsuにni慣naれていったreteitta
いつのitsuno間maにかnika 一杯ippaiになるninaruポストposutoのnoチラシchirashiにni紛magiれたreta
あなたからのanatakarano手紙tegami
東京toukyouでde生iきているkiteiru 故郷kokyouをwo離hanaれてrete
懐natsuかしいkashii僕bokuのno街machiはha あのano空soraのno向muこうkou
ひとりぼっちのhitoribotchino部屋heyaでde あなたからのanatakarano手紙tegamiをwo読yoむmu
僕bokuをwo想omoうu 心配shinpaiがga溢afuれていたreteita
毎月maitsukiのようにnoyouni飽aきもせずkimosezu 送okuってくれていたけれどttekureteitakeredo
たまにtamani書kaくku返事henjiさえsae 億劫okkuuになっていったんだninatteittanda
呼yoびbi戻modoそうとsouto名前namaeをwo呼yoんでくれるndekureru声koeもmo無視mushiしてshite
わがままにwagamamani 思omoうがままにugamamani このkono街machiでde生iきていたkiteita
少sukoしずつshizutsu数kazuがga減heっていったよtteittayo いつしかitsushika来koなくなるnakunaru時tokiがga来kuるとruto思omoわずwazu
「東京toukyouはha遠tooいねine」ってtte ぽつりとつぶやいたpotsuritotsubuyaita
悲kanaしそうなshisouna顔kaoがga忘wasuれられないrerarenai
最後saigoまでmade 僕bokuのno名前namae 呼yoびbi続tsuduけてくれていたketekureteita
優yasaしさがshisaga 文字mojiのひとつひとつにnohitotsuhitotsuni溢afuれてたreteta
与ataえてもらうばかりでetemoraubakaride 心配shinpaiかけてばかりでkaketebakaride
結局kekkyoku 僕bokuはha何naniをwo返kaeせたのだろうsetanodarou?
まだmada何者nanimonoでもないけれどdemonaikeredo 今imaあなたへのありったけのanatahenoarittakeno感謝kansyaをwo書kaきki連tsuraねているneteiru
出daせないこのsenaikono手紙tegamiをいつかwoitsuka渡wataせるようにseruyouni
掴tsukaむんだmunda 東京toukyouにni来kiたta時tokiのno夢yumeをwo
もうmou一度ichido このkono胸muneにni刻kizaみつけようmitsukeyou
僕bokuはまだhamada あのano街machiにはniha帰kaeれないrenai