眠ねむれぬ宵よいは路地裏ろじうらの淫みだらな牝猫シャットに八やつ当あたりして...
嗚呼ああ...見みえざるその腕うでで首くびを絞しめる...
《夢幻影ファントム ド レヴ》壊こわれゆく自我エゴの痛いたみ...
狂くるえぬ酔よいは屋根裏やねうらの小ちいさな居城シャトーを転ころげ回まわる...
嗚呼ああ...見みえざるその腕うでの灼やける痛いたみ...
《幻肢痛ファントム ド ルー》安酒やすざけを浴あびて眠ねむる...
黄昏たそがれに染そまる古ふるき獣けものの森もり...戦場せんじょうで出逢であった二人ふたりの男おとこ...
金髪きんぱつの騎士ローラン...赤髪せきはつの騎士ローラン...
争あらそいは廻めぐり...屍しかばねを積つみ上あげる...
加害者かがいしゃは誰だれで...被害者ひがいしゃは誰だれか?
斜陽しゃようの影かげに刃やいばは緋黒あかぐろく煌きらめいて――
片腕かたうでと共ともに奪1001うばわれた彼の人生サビ
仕事しごとは干ほされ恋人こいびとは出でていった...
何なにもかも喪うしなった奪1001うばわれた最低さいていな人生ラビ
不意ふいに襲おそう痛いたみに怯おびえる暮くらし……
「大抵の場合ユークスファ...貴方あなたはうなされ殴なぐるから...
私わたしは...此この侭ままじゃ何いずれ死しんでしまう1001わ...
さよならオールボワール...貴方あなたを誰だれより愛あいしてる...
それでも...お腹なかの子この良よい父親ペールには成なれない1001わ……」
葡萄酒ドゥ バイン...発泡葡萄酒ドゥ シャンパーニュ...蒸留葡萄酒ド ル ドゥ ビ...
嗚呼ああ...眠りひの森もりの静寂せいじゃくを切きり裂さき...また奴やつが現あらわれる――
馬うまを駆かる姿すがた...正まさに 悪夢あくむ ...赤あかい髪かみを振ふり乱みだして...振ふるう死神しにがみの鎌かま...
首くびを刈かる姿すがた...正まさに 風車ふうしゃ ...緋あかい花はなが咲さき乱みだれて...奮ふるう精神せいしんの針はり...
闇やみを軽かるるく纏まとった――
夢ゆめから醒さめた現実げんじつは 其それでも尚なおも悪夢ゆめの中なか
故ゆえに...其その後ごの彼かれの人生じんせいは 酒さけと狂気きょうき...廻めぐる痛いたみの中なか
左ひだりの頬ほほに十字傷じゅうじきず 赤あかく燃もえる髪かみの鳶色とびいろの瞳め
奴やつを...殺ころせと腕うでが疼うずくのだ 『見みえざる腕うで』が疼うずくのだ……
誰だれが加害者かがいしゃで...誰だれが被害者ひがいしゃだ...死神しにがみを捜さがし葬ほうむろう……
騎士シュバリエは再ふたたび馬うまに跨またがり...時ときは黙もくした世界せかいを移うつろう――
異国いこくの酒場さかばで再ふたたび出逢であった二人ふたりの男ローラン...
隻眼せきがんにして隻腕せきわん 泥酔状態アルちゅうにして陶酔状態ヤクちゅう...
嗚呼ああ...かつての蛮勇ばんゆう 見みる影かげも無なく……
不意ふいに飛とび出だした 男おとこの手てには黒き剣エピ ノワール
周囲しゅういに飛とび散ちった液体サン まるで葡萄酒ピノ ノワール
刺さしながら...供ともされた手向たむけの花はなの名ノーム――「こんばん1001ボンソワール」
抜ぬきながら...灯ともされた詩うたの名な――「さようならオー ルボワール」
崩くずれ落おちた男おとこの名なはLaurantローラン...走はしり去さった男おとこの名なはLaurencinローランサン...
もう一人ひとりのLaurantローランは...唯ただ...呆然ぼうぜんと立たち尽つくしたまま……
誰だれが加害者かがいしゃで...誰だれが被害者ひがいしゃだ...犠牲者ぎせいしゃばかりが増ふえてゆく...
廻まわるよ...廻まわる...憎にくしみの風車ふうしゃが...躍おどるよ...躍おどる...焔ほのおのように...
嗚呼ああ...柱はしらの陰かげには...少年しょうねんの影かげが...鳶色とびいろの瞳なかで...見みつめていた……
復讐劇ふくしゅうげきの舞台ぶたいを降おろされ...男おとこは考かんがえはじめる...
残のこされた腕うで...残のこされた人生じんせい...見みえざるその意味いみを――
杯さかずきを満みたした葡萄酒ぶどうしゅ...その味1001あじわいが胸むねに沁しみた……
眠nemuれぬrenu宵yoiはha路地裏rojiuraのno淫midaらなrana牝猫syattoにni八yaつtsu当aたりしてtarishite...
嗚呼aa...見miえざるそのezarusono腕udeでde首kubiをwo絞shiめるmeru...
《夢幻影fantomu do reヴ》壊kowaれゆくreyuku自我egoのno痛itaみmi...
狂kuruえぬenu酔yoいはiha屋根裏yaneuraのno小chiiさなsana居城syatôをwo転koroげge回mawaるru...
嗚呼aa...見miえざるそのezarusono腕udeのno灼yaけるkeru痛itaみmi...
《幻肢痛fantomu do rû》安酒yasuzakeをwo浴aびてbite眠nemuるru...
黄昏tasogareにni染soまるmaru古furuきki獣kemonoのno森mori...戦場senjouでde出逢deaったtta二人futariのno男otoko...
金髪kinpatsuのno騎士rôran...赤髪sekihatsuのno騎士rôran...
争arasoいはiha廻meguりri...屍shikabaneをwo積tsuみmi上aげるgeru...
加害者kagaisyaはha誰dareでde...被害者higaisyaはha誰dareかka?
斜陽syayouのno影kageにni刃yaibaはha緋黒akaguroくku煌kiraめいてmeite――
片腕kataudeとto共tomoにni奪1001ubawaれたreta彼の人生sabi
仕事shigotoはha干hoされsare恋人koibitoはha出deていったteitta...
何naniもかもmokamo喪ushinaったtta奪1001ubawaれたreta最低saiteiなna人生rabi
不意fuiにni襲osoうu痛itaみにmini怯obiえるeru暮kuらしrashi……
「大抵の場合yûkusufa...貴方anataはうなされhaunasare殴naguるからrukara...
私watashiはha...此koのno侭mamaじゃja何izuれre死shiんでしまうndeshimau1001wa...
さよならôrubowâru...貴方anataをwo誰dareよりyori愛aiしてるshiteru...
それでもsoredemo...おo腹nakaのno子koのno良yoいi父親pêruにはniha成naれないrenai1001wa……」
葡萄酒dou bain...発泡葡萄酒dou syanpânyu...蒸留葡萄酒do ru dou bi...
嗚呼aa...眠りhiのno森moriのno静寂seijakuをwo切kiりri裂saきki...またmata奴yatsuがga現arawaれるreru――
馬umaをwo駆kaるru姿sugata...正masaにni 悪夢akumu ...赤akaいi髪kamiをwo振fuりri乱midaしてshite...振furuうu死神shinigamiのno鎌kama...
首kubiをwo刈kaるru姿sugata...正masaにni 風車fuusya ...緋akaいi花hanaがga咲saきki乱midaれてrete...奮furuうu精神seishinのno針hari...
闇yamiをwo軽karuるくruku纏matoったtta――
夢yumeからkara醒saめたmeta現実genjitsuはha 其soれでもredemo尚naoもmo悪夢yumeのno中naka
故yueにni...其soのno後goのno彼kareのno人生jinseiはha 酒sakeとto狂気kyouki...廻meguるru痛itaみのmino中naka
左hidariのno頬hohoにni十字傷juujikizu 赤akaくku燃moえるeru髪kamiのno鳶色tobiiroのno瞳me
奴yatsuをwo...殺koroせとseto腕udeがga疼uzuくのだkunoda 『見miえざるezaru腕ude』がga疼uzuくのだkunoda……
誰dareがga加害者kagaisyaでde...誰dareがga被害者higaisyaだda...死神shinigamiをwo捜sagaしshi葬houmuろうrou……
騎士syubarieはha再futataびbi馬umaにni跨mataがりgari...時tokiはha黙mokuしたshita世界sekaiをwo移utsuろうrou――
異国ikokuのno酒場sakabaでde再futataびbi出逢deaったtta二人futariのno男rôran...
隻眼sekiganにしてnishite隻腕sekiwan 泥酔状態aruchuuにしてnishite陶酔状態yakuchuu...
嗚呼aa...かつてのkatsuteno蛮勇banyuu 見miるru影kageもmo無naくku……
不意fuiにni飛toびbi出daしたshita 男otokoのno手teにはniha黒き剣epi nowâru
周囲syuuiにni飛toびbi散chiったtta液体san まるでmarude葡萄酒pino nowâru
刺saしながらshinagara...供tomoされたsareta手向tamuけのkeno花hanaのno名nômu――「こんばん1001bonsowâru」
抜nuきながらkinagara...灯tomoされたsareta詩utaのno名na――「さようならô rubowâru」
崩kuzuれre落oちたchita男otokoのno名naはhaLaurantrôran...走hashiりri去saったtta男otokoのno名naはhaLaurencinrôransan...
もうmou一人hitoriのnoLaurantrôranはha...唯tada...呆然bouzenとto立taちchi尽tsuくしたままkushitamama……
誰dareがga加害者kagaisyaでde...誰dareがga被害者higaisyaだda...犠牲者giseisyaばかりがbakariga増fuえてゆくeteyuku...
廻mawaるよruyo...廻mawaるru...憎nikuしみのshimino風車fuusyaがga...躍odoるよruyo...躍odoるru...焔honooのようにnoyouni...
嗚呼aa...柱hashiraのno陰kageにはniha...少年syounenのno影kageがga...鳶色tobiiroのno瞳nakaでde...見miつめていたtsumeteita……
復讐劇fukusyuugekiのno舞台butaiをwo降oろされrosare...男otokoはha考kangaえはじめるehajimeru...
残nokoされたsareta腕ude...残nokoされたsareta人生jinsei...見miえざるそのezarusono意味imiをwo――
杯sakazukiをwo満miたしたtashita葡萄酒budousyu...そのsono味1001ajiwaいがiga胸muneにni沁shiみたmita……