どこかくすんだ九月くがつの日ひ
枯かれだす大気たいきは季節きせつを掻かき毟むしった
母胎ぼたいの森もりはいつもより騒さわぎ立たてていた
教室きょうしつの水槽すいそうが消きえ
幾千いくせんの魚さかなが海岸かいがんに打うち上あがった
不吉ふきつにも僕ぼくは自転車じてんしゃでカラスを轢ひいた
山小屋やまごやの羊ひつじたちの鳴なき声ごえは何処どこへ行いったろうか
ずっと長ながい未来みらいから逃にげ出だすみたいに
「ウージの眼め」と呼よばれる巨大きょだいな送電塔そうでんとうは
赤あかく赤あかく染そめ上あがって見下みおろしていた
閑静かんせいな廃景はいけいに鉄塔てっとう、田園でんえんに浸つかって
簡単かんたんなカメラで僕ぼくを写うつした
唐突とうとつに視界しかいに入はいった黒くろい制服せいふくの彼女かのじょは口くちを開ひらいた
「あなたは私わたしの生うまれ変かわりなの」
そう言いってすぐに背せを向むけて去さった
焼やき付ついて離はなれない表情ひょうじょうから
もう逃にげられない
夕暮ゆうぐれがアスファルトを焼やく
単調たんちょうに焚たき出だす祭まつりばやしを抜ぬけ
綺麗きれいな字じが書かかれた紙切かみきれをまた見みた
線路せんろに導みちびかれて
聞きかない駅えき、二番にばんホーム
そこには予告通よこくどおり彼女かのじょはいた
手てには枯かれた花束はなたばを持もっていた
静寂せいじゃくな夜よるを歩あるいた 会話かいわもなかった
塞ふさがれた石いしのトンネルがあった
板張いたばりの隙間すきまから
奥おくの方ほうにに鳥居とりいが僅わずかに見みえた
「あなたの生うまれる前まえに日ひのこと、
16年前じゅうろくねんまえの今日きょうを教おしえてあげる」
花はなを供そなえた目めは泣ないていた
これはまだ始はじまりだった
守まもられない命いのちも
隠かくしたことも
ほんの些細ささいな言葉ことばも
誰だれかが背負せおっていた
どこかくすんだdokokakusunda九月kugatsuのno日hi
枯kaれだすredasu大気taikiはha季節kisetsuをwo掻kaきki毟mushiったtta
母胎botaiのno森moriはいつもよりhaitsumoyori騒sawaぎgi立taてていたteteita
教室kyoushitsuのno水槽suisouがga消kiえe
幾千ikusenのno魚sakanaがga海岸kaiganにni打uちchi上aがったgatta
不吉fukitsuにもnimo僕bokuはha自転車jitensyaでdeカラスkarasuをwo轢hiいたita
山小屋yamagoyaのno羊hitsujiたちのtachino鳴naきki声goeはha何処dokoへhe行iったろうかttarouka
ずっとzutto長nagaいi未来miraiからkara逃niげge出daすみたいにsumitaini
「ウuージjiのno眼me」とto呼yoばれるbareru巨大kyodaiなna送電塔soudentouはha
赤akaくku赤akaくku染soめme上aがってgatte見下mioろしていたroshiteita
閑静kanseiなna廃景haikeiにni鉄塔tettou、田園denenにni浸tsuかってkatte
簡単kantanなnaカメラkameraでde僕bokuをwo写utsuしたshita
唐突toutotsuにni視界shikaiにni入haiったtta黒kuroいi制服seifukuのno彼女kanojoはha口kuchiをwo開hiraいたita
「あなたはanataha私watashiのno生uまれmare変kaわりなのwarinano」
そうsou言iってすぐにttesuguni背seをwo向muけてkete去saったtta
焼yaきki付tsuいてite離hanaれないrenai表情hyoujouからkara
もうmou逃niげられないgerarenai
夕暮yuuguれがregaアスファルトasufarutoをwo焼yaくku
単調tanchouにni焚taきki出daすsu祭matsuriばやしをbayashiwo抜nuけke
綺麗kireiなna字jiがga書kaかれたkareta紙切kamikiれをまたrewomata見miたta
線路senroにni導michibiかれてkarete
聞kiかないkanai駅eki、二番nibanホhoームmu
そこにはsokoniha予告通yokokudooりri彼女kanojoはいたhaita
手teにはniha枯kaれたreta花束hanatabaをwo持moっていたtteita
静寂seijakuなna夜yoruをwo歩aruいたita 会話kaiwaもなかったmonakatta
塞fusaがれたgareta石ishiのnoトンネルtonneruがあったgaatta
板張itabaりのrino隙間sukimaからkara
奥okuのno方houににnini鳥居toriiがga僅wazuかにkani見miえたeta
「あなたのanatano生uまれるmareru前maeにni日hiのことnokoto、
16年前juurokunenmaeのno今日kyouをwo教oshiえてあげるeteageru」
花hanaをwo供sonaえたeta目meはha泣naいていたiteita
これはまだkorehamada始hajiまりだったmaridatta
守mamoられないrarenai命inochiもmo
隠kakuしたこともshitakotomo
ほんのhonno些細sasaiなna言葉kotobaもmo
誰dareかがkaga背負seoっていたtteita