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callme、3つの個性を打ち出す!「callme Live Museum 2017 “Amazing standard” 」東京公演&新アー写解禁!


callme、「個々の水準を上げる」ことを目指したツアーレポート

クリスマス"イヴイヴ”の12月23日、YAMAHA銀座スタジオにて行なわれた「callme Live Museum 2017 “Amazing Standard” 」東京公演。
その「夜の部」を観た。

callmeは2015年より毎年「Live Museum」と銘打たれた全国ツアーを行なってきたが、2017年も名古屋、大阪、東京、仙台と各地で2公演ずつ開催。この日はその東京公演だ。筆者はこれまで「対バンライヴ」「フェス」「ゲストを迎えたライヴ」など様々な形でcallmeを観てきたが、本公演はKOUMI、RUUNA、MIMORIのメンバー3人のみによるいわば“丸腰のライヴ”。

その分、3人のパフォーマンスをじっくりと堪能することができ、callmeの本質を見極めることのできるショウと言えるかもしれない。サブタイトルとして付された“Amazing Standard”は、直訳すれば「驚くべき水準」。
このツアーでは彼女たちの「3人だけによる標準的なスタイルのショウを披露するが、それは驚くべきものになる」といったところだろうか。

エレクトロなビートをバックに「アメイジングな時間をお届けします~」といった英語のナレーションが響く。そんなスタイリッシュな「Interlude」に乗って、胸元にフリンジの付いた純白ドレスに身を包む3人が現れた。バックドロップに映し出される映像には、大きなクリスマスリースと「Amazing Standard」の文字。そこには雪も舞い落ちている。

1曲目は今年8月にリリースされた「One time」。



4つ打ちの軽快なハウスビートの随所に、まさに乱舞するような生ピアノが配されたcallmeらしいナンバーだ。会場全体がクリスマスムードに包まれているからだろうか。3人のハーモニーにはいつも以上に透明感があり、その切れ味鋭いダンスにも同時にどこかしなやかさや優美さが感じられる。

いずれにせよ、たった3人ながら、その歌声とダンス、そして表情や佇まいによる“表現”によって、驚くべき深淵な世界が描き出されているは確かだ。
続いて、乱高下するワイルドなピアノのイントロが施された、これまたcallmeらしい楽曲「Confession」。

そして、初めてのMC。
「東京公演、楽しみにしてきてくれましたかぁ?」とKOUMI。
「あれ?耳が詰まってるのかなぁ」とリアクションが聞こえないふりをしながらお約束の“ダメ出し”。
再び問い掛けると、野太い声と黄色い声の混じった大きな歓声が巻き起こる。
早くもcallmeのペースだ。

その後は、「皆さんに感謝を伝えるために」との紹介で始まった「Life」、オーディエンスから自然とクラップの巻き起こる人気曲「Sing along」、そして、メロディアスな極上のジャズファンク「I like you」と続く。
2度目のMCでは、喋っているMIMORIの汗をKOUMIが拭いてあげたり、MIMORIがRUUNAを「生活音が大きい」とイジったり、と、リラックスしたムードの3人が笑いを巻き起こす。
そして、「恋多き女性の歌」と紹介された叙情的なファンクチューン「Real love」、KOUMIの英語ラップも冴えるフューチャーベース風ナンバー「Keep trying」、ポップなメロディとドラマティックなリズムの変化が印象的な「I never know tomorrow」と、3人がその表現力を駆使して多様な“球種”を投げてくる。
背景のスクリーンには、地球と思しき惑星や薔薇の花、そしてダイヤのようなカッティングが施された水玉のようなものなど、様々なイメージ映像が映し出され、楽曲やパフォーマンスが紡ぎ出す色彩にさらなる彩りを加えている。



「Amazing Standard」と謳われたこのツアー。
「メンバー個々の水準を上げる」のがテーマとされているとのこと。それが具体的に示されたのが続くセクションだ。まずは「スナック秋元」という絶妙なタイトルが施されたRUUNA(=秋元瑠海)のソロによるカヴァー・コーナー。今回で歌われたのはオリジナル・ラヴ「接吻」。複雑なコード進行の上でたゆたうメロディを、RUUNAがその芯がありながらも透き通った歌声で滑らかに抑揚を付けながらなぞっていく。

ちなみに昼の部では寺尾聰「ルビーの指環」を歌ったとのこと。いにしえの名曲を新たなアレンジで蘇らせる「スナック秋元」は、ぜひとも継続していただきたい企画である。そしてもう一つ。「今年一年ダンスを基礎から鍛え直した」という彼女たちが、思う存分舞い踊る「ダンス・コーナー」だ。
振り付けも担当するKOUMIが「自分の踊りたい要素を詰め込んだ」というこのセクションでは、インストをバックに3人がバキバキのダンスを披露する。

そして後半戦。“タオル曲”としてすっかりお馴染みとなった「Run Run Run」、サビで会場全体が裏打ちのクラップを鳴らす「Way I am」、初期の人気曲「My Style」、彼女たちの代表曲ともいうべき「step by step」が立て続けに披露され、会場内にクラップやコールが次々と巻き起こる。そして、最後のMCで感謝の気持ちが述べられた後、本編のラストを飾ったのは、12月20日に配信されたばかりの新曲「Hello No Buddy」だ。

隙間を生かした緩やかなグルーヴが印象的なこのR&Bナンバーは、TLC辺りを思わせる洋楽っぽい洗練を纏いながらも、その中にしっかりと“callme節”を打ち出しているのが印象的だ。一旦ステージから捌けた後、オーディエンスからの「アンcallme!」という掛け声で呼び戻された3人が披露したのは、「Peaceful World」。
callmeには珍しい“ロックビート”が効いたこのナンバーで、会場からのクラップやコールは一層大きなものとなり、多幸感に満ち溢れたショウは大団円を迎えた。



「個々の水準を上げる」ことを目指したこのツアー。
本ショウでも、冒頭から「個」の進化をはっきりと見て取ることができた。思えばちょうど一年前、同会場で「Live Museum2017」を観ているのだが、その頃から比べると歌でもダンスでも格段の進化を遂げた3人。一年前は「歌を安定させよう」「ダンスをシンクロさせよう」という“調和”へと向かっていたのに対し、この夜は「歌の安定」や「ダンスのシンクロ」は大前提として「そこからいかに“個”を見せていくか」というある種の“逸脱”に向かっていたように感じた。

それは、3人それぞれの髪型が象徴していたと言えるかもれない。巻き髪を垂らしたKOUMIは、キレのみならずしなやかさを纏った妖艶なダンスと、発音の良さのみならずネイティヴのような“グルーヴ”をも獲得したその本格的な英語ラップによって、ステージに大人っぽい洗練をもたらしていた。敏腕ビジネス・パーソンを思わせるショートボブのRUUNAは、透明感の増した歌声でヴォーカルパートの要となるだけでなく、プロデューサー的視点でグループにバランス感覚をもたらしていた。

そして、ポニーテールに結んだMIMORIは、レパートリー全曲の作曲家でありながら、ステージ上では時に少女のような愛らしさや時に少年のような快活さを見せるギャップで、オーディエンスを魅了した。3人のこうした“武器”が有機的に融合しながら、callmeという“作品”が出来上がるのだ。この夜は、それを存分に堪能するには最高のシチュエーションだったかもしれない。絶妙な調和とそこからはみ出す個性。

たった3人であれだけ華やかなステージが繰り広げられるのも、そうした“調和”と“逸脱”があってこそだ。最後に「さらなる進化を目指す」と力強く宣言した3人。

24日には仙台公演にてツアー全日程を成功裏に終え、来年2月14日にはニューシングルのリリースも控えている。
2018年のcallmeにもますます目が離せない。

TEXT by 石川真男

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