1. 藤林聖子は『バイバイYESTERDAY』で『暗殺教室』のラストを表現する

藤林聖子は『バイバイYESTERDAY』で『暗殺教室』のラストを表現する

『暗殺教室』は、週刊少年ジャンプに連載されていた大ヒットコンテンツ。原作の連載終了と同時に完結編の映画が公開されました。アニメシリーズも、これを追う形で終了します。

2016年6月21日




『暗殺教室』は、週刊少年ジャンプに連載されていた大ヒットコンテンツ。原作の連載終了と同時に完結編の映画が公開されました。アニメシリーズも、これを追う形で終了します。

『バイバイYESTERDAY』は、このアニメ『暗殺教室』終盤の主題歌。この曲は、いわば『暗殺教室』というコンテンツの終了そのものを歌っている曲。歌っているのは3年E組うた担。歌の得意な劇中メンバーです。
作詞は藤林聖子。アニメ特撮主題歌など多く手掛けているベテラン作詞家です。『ワンピース』主題歌の『ウィーアー!』などが有名ですね。



“とにかくもう「ちょっと待って!」 叫びも虚しく消えて
僕はただただ迫るリミット 全力怯えてたんだ”


「とにかくもう「ちょっと待って!」叫びも虚しく消えて」「僕はただただ迫るリミット 全力 怯えてたんだ」この物語が最終回に近いことを表現している歌詞でスタートします。「ちょっと待って!」に「 」をつけてE組生徒の心の声を表現。卒業というリミットで殺せんせーと別れる寂しさを歌詞にしています。「怯えて」は、この物語がサスペンスの要素も持っていることが分かるフレーズ。「消えて」の単語が持つ意味も、最終回まで観ると分かるようになっています。

“それナシじゃ眠れないブランケット
奪われてくのに似ている”


「リミット」の「と」にかけた「ブランケット」の歌詞。ブランケットは「ひざ掛け」の意味で知られていますが、元々は「毛布」の意味を持ちます。毛布のように包んでくれる存在として、殺せんせーを表現しているんですね。ブランケットが奪われるように、殺せんせーが奪われていく、という『暗殺教室』終盤の展開をこのフレーズで表現。

“最後のチャイム 鳴り響けば
楽しい時間も 修了(終わる)”


このフレーズも良いですね。「最後のチャイム 鳴り響けば 楽しい時間も 修了(終わる)」と「修了」の字をあてている歌詞。ものごとが終わる「終了」に対し、学問をおさめて卒業する際には「修了」の字を使います。この「修了」一言で、3年E組が卒業することが分かるんですね。この曲は、実は「卒業」という単語が出てきません。しかし、きちんと卒業ソングになっている。「最後のチャイム」や「修了」といった卒業を連想させる単語を巧みに使っているのです。

“バイバイYESTERDAY 365日分の学びを
カバンに詰めこんで いつもみたいに またあした的に
バイバイYESTERDAY 365日分の出来事
僕を大人にしたなら 涙なんて 見せもしないで”


サビのフレーズです。まずタイトルである「バイバイ イエスタデイ」。カタカナ表記にするとよく分かりますが「い」の音を4つ入れてリズムを作っています。これでタイトルフレーズが印象に残りやすくなる音の並び。

さらにここの箇所は「ばいばいいえすたでいさんびゃくろくじゅうーごーにちぶんのまなびをー」という歌い方。「YESTERDAY」から間を空けずに「365日」という単語を持ってきている。「DAY」をわざわざ「日」で言い換えて強調している。

さらに音も「ごー」にアクセントが来ます。これにより聴き手に数字の印象が残る仕組み。「一年」や「一年間」と言ったほうがすっきりするのにわざわざ「365日」という言いにくい数字を選んでいます。「一年」とせずに、くどいくらいに「365日」と歌うことで「日々」を刻んだ、「DAY」の積み重ねの印象ができるんですね。

「いつもみたいに またあした的に」タイトルの「YESTERDAY」にも関わってくるこのフレーズ。卒業すれば「いつも」も「また明日」もありません。でもあえて、「いつも」や「また明日」という単語を入れる。「さよなら昨日」というタイトルであくまでも、日常の延長かのように表現する。それはなぜか。

『暗殺教室』が非日常を描いた物語だから。そして、卒業してもう二度と戻ってこない日々を強調させるためです。あえて日常的な単語を並べることでかえって非日常の物語が対比され、卒業という節目が強調されるんですね。

「僕を大人にしたなら 涙なんて 見せもしないで」『暗殺教室』は、3年E組の生徒の成長を描く物語。このフレーズで生徒の成長が分かります。卒業は涙が出る機会。楽しかった物語が最終回をむかえるのは寂しい。でも、そこをあえて涙を見せずにさりげなく『バイバイYESTERDAY』と言う。そのさりげなさが成長でもあるんですね。

この曲は、「卒業」という単語が出てこないばかりか、「暗殺」や「殺せんせー」を連想させる単語も出てきません。『暗殺教室』を全く知らなくても、一つの卒業ソングとして成り立っています。『暗殺教室』の物語に沿っているだけでなく、リアルの卒業イベントでも歌えるようになっている歌詞。これが藤林聖子という作詞家の力なんですね。


TEXT:改訂木魚(じゃぶけん東京本部)

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