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西野カナ『あなたの好きなところ』の絶妙な言葉のチョイス

西野カナは、説明不要なほど人気の女性シンガー。多くの人の共感を呼ぶと言われているその歌詞が特徴の一つ。この歌詞は、かなり戦略的に考えている、と言われています。2016年発売のシングル『あなたの好きなところ』は、広瀬すずが出演する炭酸飲料MATCHのCM曲。この曲も一見単なる「異性の好きなところあるある」のように見えて、じつは絶妙に言葉を選んでいる歌詞。


西野カナは、説明不要なほど人気の女性シンガー。多くの人の共感を呼ぶと言われているその歌詞が特徴の一つ。この歌詞は、かなり戦略的に考えている、と言われています。2016年発売のシングル『あなたの好きなところ』は、広瀬すずが出演する炭酸飲料MATCHのCM曲。この曲も一見単なる「異性の好きなところあるある」のように見えて、じつは絶妙に言葉を選んでいる歌詞。



“例えばその瞳 くしゃっと笑う目尻
Tシャツの匂い ちょっと変なくしゃみ”

最初に、「好きな身体的特徴」をあげて曲がスタート。「ひとみ」「めじり」「におい」「くしゃみ」と韻を踏んで展開します。「くしゃっと」「てぃーしゃつ」「ちょっと」「くしゃみ」というのも、違和感ない似た音の組み合わせ。さりげなく歌詞でリズムを作っています。

“だいたい夢中になると人の話を 聞いてないところ
時々子供みたいに無邪気になって 喜んでるところ”

次にくるのは「好きな行動」。「だいたーい」でちょっとした変化を入れています。「夢中になると人の話を聞いてないところ」の前に、この「だいたーい」を入れることで単調になることを防いでいます。続く「ときどーき」も「だいたーい」と音を揃えています。「夢中」と「無邪気」が似た響きの連続。さらにこれは、後半で出てくる「ロマンチスト」な一面の予告でもあります。

“いつも一生懸命なとこ 意外と男らしいとこ
友達想いなとこ トマトが嫌いなとこ たまにバカなとこ”

サビでは前半男らしい側面、後半はちょっとダメなところがきます。「いつもいっしょうけんめいーなとこ」「いがいとーおーとこらしーいとこ」ひらがなにするとよく分かりますが、意図的に「い」の音を連続して入れてリズムを作っている構成。さらに「いがいと」「おとこ」「とこ」と「と」のリズムを仕込んでいます。この「と」は次のフレーズのリズムの伏線。

CMで使われているメロディが、このサビ。多くの人が耳にするであろう、この曲で一番聴かれるであろう箇所に「いつも一生懸命なとこ」を持ってきているところもポイント。見た目や家柄や年齢や収入ではなく、常に一生懸命である「姿勢」を持ってきています。人が人を好きになるポイントで、多くの人が共感できるのは「いつも一生懸命なとこ」なのではないか。おそらくそう考え、意図的にこのフレーズを持ってきています。

三連符によるリズムの変化もポイント。音楽的に単調さをさけるだけでなく、「好きなところをどんどんあげていくうちに、テンションが上がって言葉数が多くなって早口になっていく様子」も表現しています。

「ともだちおもいなとこ」「とまとがきらいなとこ」、「おもい」「きらい」という「い」のリズムをここでも使っているのは勿論、「と」を連続させて三連符のリズムの変化を際立たせているんですね。

そして「たーまーにーばかーなとこ」をもってきます。「い」でリズムを刻む印象的なスタートから「と」の連続の三連符、そして「あ」をのばす音でのびやかにしめる構成。音がつまっている状態が続いてから、のびやかな音がくるので聴く側が気分よくなれるんですね。

“今日も忘れ物したんでしょ 傘も無くしたんでしょ”
「傘も無くしたんでしょ」の箇所はメロディラインも微妙に変化。この箇所はちょっとした説教ですらあります。しかし、優しい歌い方なので嫌な感じを与えません。こういうちょっとした欠点も、愛せる要素・好きな要素として、この曲は歌詞にしています。忘れ物をすること、傘を無くすことは、わりと多くの人がやってしまう行為。ここに例えば「金使いが荒い」ような本当に困る欠点をもってこられると、聴く側は嫌になってしまいます。そういう歌詞もさけているんですね。

“そんなにイケメンじゃないけど”
ここで「そんなにイケメンじゃないけど」とわざわざ入れています。この歌詞が象徴していますが、この曲は、たとえばルックスが良いこと、高身長、高収入といったような要素は意図的に省いています。

極端な話、この曲で描かれている男性は、貧乏かもしれないし裕福かもしれないし、太っている可能性もガリガリの可能性もあり、高齢だったり相当若い人物の可能性もあります。そこは聴く人の想像力にまかせている。これによって多くの人が受け入れやすい歌詞になっているんですね。

この曲は、実は言葉を選んで多くの意図が込めてある歌詞。しかし、さらっと聴いたかぎりでは、なんとなく言葉を選んだように見える、ごく自然な歌詞に聴こえます。これが西野カナのすごさなんですね。




TEXT:改訂木魚(じゃぶけん東京本部)

平成元年生まれ。三重県出身。 2008年にメジャーデビュー以降、リアルな恋愛観を綴った歌詞と類まれな歌声が話題を集め、女性ファンを中心にブレイク。 数々のファッション誌の表紙を飾るなど、ファッションアイコンとしても絶大な支持を集める。 2010年、失恋ソング「会いたくて 会いたくて···

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