1. 届けたい言葉と大事な存在。SMAP『世界に一つだけの花』が1位にならなかった理由

届けたい言葉と大事な存在。SMAP『世界に一つだけの花』が1位にならなかった理由

先日詳細が発表された、ファンの投票によって収録曲が決まるSMAPのベストアルバム「SMAP 25 YEARS」

2016年12月1日

Column

祈焔




先日詳細が発表された、ファンの投票によって収録曲が決まるSMAPのベストアルバム「SMAP 25 YEARS」。SMAP25周年を飾る作品として、前年から既に企画が予定されていたという。投票は二週間という短期間でありながらも、総得票数は約200万票を数えた。まさに名実ともに国民的と称されるSMAPに相応しい結果ではないだろうか。しかしそのアルバムに収録されるTOP50のランキングは、ファンとそれ以外の層とではまったく見え方の違う結果となって表れたのである。

結果が発表された直後、様々なメディアでその内容について取り沙汰され、情報番組の街頭調査の予想では皆が声を揃えて『世界に一つだけの花』というミリオンヒット作品の名前を口にした。だが蓋を開けてみると、1位には『STAY』という一般層ならほとんどが知らないだろう曲名があった。それだけではなく、誰もが1位だろうと予想した『世界に一つだけの花』はなんと10位以内にもランクインしていなかったのだ。



『世界に一つだけの花』はなぜ1位ではなかったのだろうか?

リクエスト投票は特設サイトで行われ、その開催はネットやテレビなどのメディア多方面で告知、報道された。投票は「1回につき1曲」であり、日付的な制限などはない中で、シングルやアルバム、あるいはその他に直接記入して投票する形。つまり、個人が1曲に対して複数回の票を投じることが可能だったのである。

200万もの票が投じられてなお、『チョモランマの唄』という、かねてから音源化が熱望されていたコンサートのみで使用されていた楽曲が10位以内に入っていること自体、そこに何らかの“強い想い”が反映されたであろうことは明らかだった。

『世界に一つだけの花』が1位でない理由を語る前に、まず1位の曲について少し語りたい。



『STAY』は2006年のアルバムに初収録され、その後2011年のリクエストベストにも収録されたほど、ファンの中では当時からお馴染みといっても過言ではない人気曲である。FNS27時間テレビや彼らの冠番組内でも幾度か披露されており、2016年の年明けにもメドレーの中に組み込まれていた。だが、ファンとそうでない人との認識の違いはこういったところに色濃く出るものである。SMAPでなくとも、国民的と言われる歌手の多くに「メディアで実は披露しているのにファン以外には知られていない曲」というのは存在するものだ。

知られていない、というよりは、短期間で頻繁に聞くことがないため、よほど何かインパクトでも残らない限りはファンでない人の意識には残っていかないことが大半ということ。シングル曲ですらメジャーな曲とマイナーな曲が存在するのだから、アルバム曲などになれば尚更というわけだ。

そんな中、実に400曲を越える選択肢の中から1位に選ばれた『STAY』。そこに込められたファンの“強い想い”とは何であったのか。歌詞を見てみてほしい。

――――
この先どうしようもなくすれ違ったり
言い争いがあったりもしても
どうか道の途中で
手を離そうとしないでよ
ちゃんと繋いでてよ
Let you know 大事なのは続けること
楽しいだけでいれない時も
――――

『STAY』は一見するとラブソングであり、長い時の中で苦楽を共にして歩んでいこうというメッセージ性から、結婚式やプロポーズなどに使われることが多くあったようだ。だが、これは時としてSMAPとファンの関係に、あるいはSMAPそのものと重ねられることもあった。

“手を離そうとしないでよ”という木村ソロから、中居ソロの“楽しいだけでいれない時も”へ繋がるこの部分は、この曲が人気な理由のひとつでもある。SMAPの2TOPとして、全く別の方向からグループを支え続けた二人が歌うこのくだりは、今もなおファンの心に重く突き刺さる。

――――
I'll be... Won't you stay?
We'll be 罪を捨て
僕らずっと共に歩こう
永遠なんて言わないからさ
5、60年 それだけでいい
――――

この楽曲の肝は、“永遠なんて言わないから”という表現にある。
プロポーズの際に使われると前述したが、この曲を単なるラブソングと捉えた場合、順当に考えて“5、60年”というのはつまり“残りの人生すべて”ということと同義だ。実際に落ちサビにおいてこの部分は“鼓動止む そのときまで”となっており、それは人の感覚的に“永遠”とほとんど同じなのだ。
永遠という言葉ではあまりに大袈裟すぎるが、気持ちとしては“ずっと”一緒に歩いてゆきたい。それは日本人らしいある種の謙遜であり、少し遠回しな愛による精一杯の我侭なのである。

この想いは、ファンにとって非常に重なる部分なのだ。それは何もSMAPだけに限らないが、永遠に続くものではないと知りながらも、なるべく長く在ってほしいと願ってしまうのはファンというものの常である。その「名前」や「居場所」という一見他愛もないものに、私たちは“未来への期待”を映し見ているからだ。それが無くなることによって未来を願う道標を失うことを、私たちは恐れている。その感情を思い知るのは大抵失ったあとか、失いそうになったときなのだが。

「多くのことは望まないから、ただ失われないでほしい」――それは、前述の中居ソロにある“大事なのは続けること”を聴くたびに噛み締めてしまう想いだ。

あらゆる事においてどんな憶測をしてみても、“真実”は彼ら以外の誰にもわからない。もしかしたら、彼ら自身にさえわからないこともあるのかもしれない。しかし私たちにわかることは、そこに“どうしようもないこと”があり、今にも“手を離されてしまうかもしれない”という現実があるということ。

――――
I'll be... Won't you stay?
We'll be 賽を振れ
僕がずっと隣にいよう
キミが何かを憎まぬように
無意味に傷つかないように
There will be good days
ただ笑い合って
これ以上の願いはないよ
キミの笑顔の理由(わけ)が僕なら
誇らしく思うから
――――

賽を振った結果が“奇跡”であってほしいと、私たちはどこかで願ってしまう。だからこそ『STAY』に想いを託そうとしたファンが大勢いたのだと、1位という結果が証明している。


『世界に一つだけの花』は確かに、SMAP史上最も売り上げ、今や全世代が知っている。ファンにとっても勿論大事な曲であり、実際に投票したファンも少なからずいたことだろう。しかしおそらく多くのファンが、あえてその曲を避けたのではないか、とも考えられた。
50曲もがランクインする以上、シングル曲が多く入る確率は高くなる。一般層が支持する曲がほとんどシングル曲だとして、且つ『花』の影響力と知名度を考えれば、仮にファンがほとんど投票しなかったとしても『花』は50位以内くらいなら入るであろうという予測ができる。

ファンにとって『世界に一つだけの花』が持つ意味合いは今や『300万の花束』であり、今回の「ファンの想いを反映させる」という趣旨のリクエストベストでは必ずしも上位に入る必要はなかったのではないだろうか。きっと、それはSMAPにとっても想定内のことだからだ。どうせ“奇跡”を願うなら、メッセージは想定外である方がいい。『花』は届けたい“もの”であって、今彼らに届けたい“言葉”ではなかったというだけのこと。
それは10位以内に入った『ありがとう』であり、『どうしても君がいい』であり、五人で歌い繋ぐ『FIVE』シリーズや『BEST FRIEND』、そして何よりも『STAY』だった。

伝えたい言葉が書かれたメッセージカードは、花束の上になければ見えにくい。ファンの“奇跡”への願いはこうして、国民的知名度を誇る『花』を上回ったのである。

今回、そうして出来上がったベストへ収録されるシングル表題曲はたった50分の27曲。半分より多いとはいえ、SMAPがいかに国民的グループであるかを思えば少ないといえる結果であろう。ここに語りきれなかった多くのファンの想いが、一般の人たちには知られざる残りの曲たちにふんだんに詰め込まれている証拠でもある。

『世界に一つだけの花』が1位だと思っていた人たちにこそ、このベストアルバムを手に取ってほしい。そこであなたが新しく知ったSMAPこそが、これからの未来にも在り続けてほしいとファンが願った国民的アイドル“SMAP”の姿なのだから。

TEXT:祈焔( https://twitter.com/kien_inori )



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