DEEN『このまま君だけを奪い去りたい』が時を超えて愛され続ける理由



1990年代を牽引したバンド「DEEN」
メンバーの入れ替わりがありつつも、2016年現在も精力的に活動を行っている。WANDSの上杉昇が作詞を務め、織田哲郎が作曲したデビュー曲『このまま君だけを奪い去りたい』はDoCoMoポケットベルのCMとタイアップしたこともあり、一大ブームを巻き起こすほどのヒットとなった。

時代を担うほどの大きなヒットの理由はどこにあるのか。答えは、誰しもがどこかに抱いている、口にはうまく出せない恋心を、この上なく見事に表現している。どういうことか。

今回は、DEENの往年の名曲『このまま君だけを奪い去りたい』を紐解いていきたい。


“静かに佇む街並み はしゃぎ疲れただ優しく
忘れたはずのこのさみしさ ムネの扉たたいた
君の瞳には ボクがにじんで きえゆく愛をしった”




「静かに佇む街並み」「ムネの扉たたいた」などの美しい表現で胸に秘めた恋心をはっきりと示している。しかし、ここでそれ以上に注目すべき歌詞は「忘れたはずのこのさみしさ」ではないだろうか。

自分の中では忘れたはずの恋なのに、さみしさがくっきりと浮かんでくる。恋の性質をこれほど的確に表している歌詞もそうないのではないか。

普遍的な恋心の表現が、一世を風靡するほどのヒットに繋がった理由の一つだ。



“このまま君だけを奪い去りたい やがて朝の光
訪れる前に そしてまたあの日みた

夢を叶えよう 二人素直なままの瞳で
いつまでも 信じていたいよ 心震えるほど 愛しいから”





「このまま君だけを奪い去りたい」「素直なままの瞳で」「心震えるほど愛しい」それらのセリフは口に出して言うには恥ずかしすぎる。しかし、恋する人々の心の中にはその気持ちは確実に存在する。

つまり、口に出して言えない想いを見事に歌という形で代弁しているのだ。歌にするからこそ吐けるセリフで、心の奥にある恋を教えてくれる。



“懐かしいブルーの雨傘 ざわめく街で君にあった
うつむき歩く そのくせは 今もあの日のままだね
ふいに呼び止めて 笑いあえたら 言葉さえもいらない”




DEENはただ単純に想いの丈を代弁しているだけではない。「うつむき歩く そのくせは 今もあの日のままだね」などの歌詞で過去の恋を連想させている。過去を連想させることで、サビの歌詞がより際立ってくるのだ。


“このまま君だけを 奪い去りたい 胸の奥でそう
叫んでいるようだ 誰一人 わからない

遠い世界で君を守ろう 心燃やして
いつまでも 抱きしめあいたい 永遠に戻ることのない 時の中で”




叫ぶや燃やすなど情熱的な言葉を駆使して、愛しいという想いを強く伝えている。しかし、その恋はすでに過去の中にあるのだ。「永遠に戻ることのない 時の中で」という歌詞が情熱的な言葉に影を落とすが、逆から捉えればその影があるからこそ恋は燃え上がると言える。

恋心の酸いも甘いも、全てを表した歌詞がリスナーの心を打った。『このまま君だけを奪い去りたい』はそれゆえに永遠に語り継がれるヒット曲となったのだ。


TEXT:笹谷創( http://sasaworks1990.hatenablog.com/

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