レキシの『KATOKU』とJourneyの『Separate Ways』の道の違い

レキシは、その名のとおり歴史に関する曲を次々と発表している池田貴史のソロプロジェクト。最近は池田貴文として、俳優としても様々なドラマや映画に出演してますね。日本史を歌にする才能やトークの面白さは、もはや説明する必要もないのではと思えるほど、近年注目を浴びてきている存在です。

2017年6月17日


この記事の目次
  1. ・レキシのKATOKU
  2. ・「家督を譲りたいんだ」のフレーズ
『KATOKU』は、2017年にレキシが発表した2枚目のシングル。ダイハツの車のCM曲で、80年代要素満載の楽曲です。Journeyの『Separate Ways』のパロディになっているMVも見どころ。倉庫での撮影、壁のキーボード、エアギターのような妙な演出、カメラ目線のメンバーなどかなり忠実に再現していますね。

『Separate Ways』は、別れた別々の道=分かれた男女の思いを歌った曲。これに対し、『KATOKU』は「昔から決まってたこと 答えは変わらないよね」というフレーズで始まります。パロディ元が分かれた別々の道なのに対し、「まっすぐ走り出した」というフレーズが登場する『KATOKU』は、真逆ともいえるまっすぐ一本道のようなイメージなんですね。

レキシのKATOKU



“世襲制 昔から決まってたこと 答えは変わらないよね
What do you say?
今何か言いかけたでしよ?叶わない想いが 僕の中で
誰かと誰かが 話し合って決めたこと
馬にのった姿が似てきたら”


歌いだしは、「世襲制」でスタート。「せしゅーせー」と歌っており、直後に出てくる英語の「SAY」とかかっていることが分かります。「世襲制」は、地位や財産を子孫が継承すること。まさに、「家督をゆずること」を最初に示しています。様々な業界で世襲制は批判されやすいポイントでもあることは、よく知られた事実。親が優秀であっても、世襲制で親の財産を受け継いだ2世がほとんど活躍できないという事例はいくつも存在します。また、「家督争い」という言葉があるように、家督をめぐり兄弟や従兄弟同士で争って殺し合うことも珍しくありませんでした。しかし、こういう軽快なアレンジで歌うと、「世襲制」もかなりPOPな印象になるんですね。レキシは、「家督」という言葉を面白いと思っていたものの、曲にするまでになかなか苦戦したそうです。

「馬にのった姿が似てきたら」このフレーズで、息子が馬に乗る姿を自分と重ね合わせている親の姿が想像できます。親は、レキシの歌にあるような『きらきら武士』なのかもしれません。ちなみに『きらきら武士』も、2016年にダイハツの車CMに使われてますね。

“キミに家督を譲りたい 今日は家督を譲りたい
皆も納得してくれてるから
キミに家督を譲りたい 今日は家督を譲りたい
キミがまっすぐ走り出した未来
世襲制 すぐに決まりそうだけど 答えはわからないよね”


「君にKATOKUを譲りたい」というサビ。ここも「家督」「KATOKU」とアルファベット表記にするだけでかなりPOPになります。「キミがまっすぐ走り出した未来」のフレーズは、車が「走る」ことと、子供が未来にむかって育っていくことをかけています。サビの終わりがこのフレーズで終わるので、この曲は肯定的なイメージがある曲になっているんですね。

“キミが家督を継ぐ未来 今日は家督を譲りたいんだ”

「家督を譲りたいんだ」のフレーズ

終盤で「家督を譲りたい」のフレーズは、「家督を譲りたいんだ」「んだ」がついて強調されます。この微妙な変化があることで、歌詞の中の「僕」の強い気持ちが伝わりやすくなっています。「家督」「誰かと誰かが話し合って決めたこと」「キミ」の意思ではないことはもちろん、「僕」だけの意思でもありません。さらに「すぐに決まりそうだけど 答えはわからない」。家督を譲るということが、そんなにすんなりいくことではないことも示しています。

“誰かと誰かが 笑いあったらいいのに”


「笑いあったらいいのに」というフレーズまで登場します。このことから、家督を譲ることが決して笑い合えることでもないことが分かる歌詞。この曲は、明るさの中に実はこういった家督のネガティブな面もこっそり仕込んでいます。しかし、何気なく聴くだけだとそこに気付きません。MVの面白さに気をとられます。そこがレキシのすごいところ。

家督は跡継ぎであり、批判の対象にもなりやすく、争いの元にもなりやすいポイント。しかし「家督を譲りたい」という思いは、親が子を思い一族を思う気持ちの表れでもあるんですね。

家督のネガティブな面だけでなく、「親子」要素を入れつつ、さらに面白くするレキシの手腕。「家督を譲りたい」と歌いながら、家督を譲られる立場の竹千代に扮するレキシ。結構奥が深い曲なんですね。



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