『ボクノート』に込められた映画『ドラえもん』の恐竜との対話ともう一つの意味





タイトルは歌詞の「僕の音」の意味。また、「音」を表す「ノート」にもかけています。ひみつ道具っぽい響きにしたい意図があり「ボクノート」というカタカナ表記になりました。たしかに「ホンヤクコンニャク」のようなひみつ道具感がありますね。

『のび太の恐竜2006』は声優陣をリニューアルしてから初めての映画。リニューアルの為にこの前の年はドラえもん映画が公開されていません。30年以上続くドラえもん映画の歴史において、映画が公開されていないのは2005年のみです。それほど満を持して勝負に出たかたちでもあるわけですね。

そして映画の内容は1980年に公開されたドラえもん映画第1作『のび太の恐竜』のリメイク。のび太が恐竜の卵の化石を見つけタイムふろしきを使い、恐竜が生まれます。ピー助と名前をつけて飼うも部屋で飼うことができなくなり、白亜紀に戻すことに。タイムマシンで白亜紀に連れていきますが、恐竜ハンターに狙われタイムマシンが故障。さあどうする?というストーリー。

名作と評価の高いこの映画のリメイクの主題歌に選ばれたスキマスイッチ。そしてスキマスイッチは見事この期待に応えるのです。


“君に伝えたくて 巧くはいかなくて
募り積もる感情は膨れてゆくだけ
吐き出すこともできずに“


恐竜ピー助とのコミュニケーションを連想させる歌詞です。基本言葉が通じない恐竜に「伝えたくて」も「巧くはいかない」んですね。上手くをあえて「巧く」=技巧の字を使っていることで、たとえひみつ道具という未来の道具があっても普遍的な「うまくいかないこと」がある、ということを端的に表現しています。
ピー助が別れを惜しむように鳴きますが、のび太は「募り積もる感情は膨れてゆくだけ」。「吐き出すこともできずに」いるわけです。観客はこの歌詞にのび太の感情を重ね合わせます。

“今僕の中にある言葉のカケラ 喉の奥、鋭く尖って突き刺さる
キレイじゃなくたって 少しずつだっていいんだ
この痛みをただ形にするんだ“


このサビの歌詞も同様に、ピー助との別れを言葉にできないのび太の心を表現。「鋭く尖って突き刺さる」ほど悲しい別れ。「喉の奥、」で一旦「、」をうっていて、「喉の奥」からうまく言葉が出てこない「間」を表現しています。「この痛みをただ形にするんだ」という歌詞はまさにのび太の心の「痛み」を「形に」しているのです。

この主題歌は見事、映画のイメージと合致。

かくしてリニューアルしたこのドラ映画は興行収入32億円の大ヒットを記録します。
この曲もヒットし、スキマスイッチに2度目の紅白をもたらしました。

実はこの曲の歌詞は「歌詞が思い浮かばなかったこと」そのものを歌詞にしています。すると、曲のどの箇所もそういう歌詞に見えてきます。

“考えて書いてつまずいて消したら元通り 12時間経って並べたもんは紙クズだった”

この箇所なんて、まさに歌詞が思い浮かばず12時間苦悩している様子が伝わってきます。
極限まで考えて出した言葉だから、多くの人に伝わったのかもしれませんね。



TEXT:改訂木魚(じゃぶけん東京本部)

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