不器用な彼らの、誇れるような生誕の日。LEGO BIG MORL 10th anniversary tour『Lovers, Birthday, Music』赤坂BLITZ公演【ライブレポート】

---

　LEGO BIG MORLが結成日である3月28日(月)に全国ツアーファイナル公演『Lovers, Birthday, Music』を東京・赤坂BLITZにて開催した。

　10周年というアニバーサリーイヤーを駆け出すキックオフとして開催された今回のツアー。全国7か所でのライブを経て、ファイナルは彼らにとって思い出深い場所である赤坂BLITZ。これまでの歩みを振り返りながらも、集ったオーディエンスとともにLEGO BIG MORL「誕生の日」を華やかにお祝いした。

　カナタタケヒロ(Vo.＆Gt.)、タナカヒロキ(Gt.)、ヤマモトシンタロウ(Ba.)、アサカワヒロ(Dr.)らLEGO BIG MORLがオーディエンスの歓声と逆光を背負い登場。ステージの前方にまでせり出すと、4人で肩を組み深々と一礼。ライブは彼らが1番最初に製作したという始まりのナンバー「dim」から始まりを告げる。

　カナタの「行けるか赤坂！」という煽りを受けてより一層ヒートアップした会場に、 LEGO BIG MORLは「ワープ」「Strike a Bell」を放つ。時よりメンバー同士アイコンタクトを交わしては、楽しげにそして自由にステージで暴れまわる4人。後のMCにてタナカが「1曲1曲が短い」と語っていたように、その1曲を楽しみ尽くそうというメンバーの全力がひしひしとステージングに滲み出ていた。



　MCでは「ファイナルだからって特別なことはしません」と一括したタナカ。とはいえ、「いつもと変わらない格好いいライブするんで」と続けて約束すると、オーディエンスからは大きな歓声が上がる。この日はLEGO BIG MORL初のライブ中継がニコニコ生放送にて行われ、タナカ曰く”二次元担当”のヤマモトが「ニコ生の人―！」と大声で呼びかける場面も。普段は寡黙なヤマモトが大きな声を出したことに、タナカは「ここ最近で1番大きな声が出たんちゃうか」と笑みを送っていた。

　この日のセットリストは彼らの歩んできた道を辿るように送られた。それぞれのソロで華やかに盛り上げた「所詮、僕は言葉を覚えたばかりの猿」から始まり「テキーラグッバイ」「space dive」「Fo(u)r rockstars」「雨のタクシー」「Rise and Set」「バランス」と続けざまに披露。彼らの楽曲は、カナタの柔らかくもじわりと滲み出るような水彩色の歌声にタナカのツーステップやヘドバンを織り交ぜた”動”のステージング、ヤマモトのクールな眼差しから放たれる重厚感のあるベースサウンド、それらを一まとめにするアサカワの安定感のあるドラムが合わさることでより心の深くに訴えかけてくる。そして、インストルメントにバンドの”音”のみで訴えかける節があり、ダンサブルに鳴るメロディに体が揺れるうちにぐっと心がつかまれてしまう。



　再びのMCでは、来場者に向けて「俺らを選んでくれた皆さんは高性能なアンテナを持っている」と称賛を送ると、”良い顔”で帰れるようなステージを届けると約束したタナカ。10周年を迎えるにあたって支えてくれたスタッフへの感謝の言葉を述べると、カナタは「やり続けてきて良かった」と喜びを噛みしめるような表情で零していた。

　続いて、大阪から4人で上京した際の思いが込められた「東京リュックサック」へ。カナタが1人ステージに残ると、アコースティックギターを手にとる。暗転した会場では、カナタの隣に置かれた丸いランプが輪郭をなくした光をぼうっと輝かせていて、まるで満月のようだ。そんな幻想的な夜を描きだすステージで「Ray」「大きな木」の2曲を弾き語りで披露。「10周年だからこそ特別なことがしたい」と設けられた特別な演目に、会場はただただ静かに耳を傾けていた。



　続けてカナタと入れ替わりに楽器隊のみがステージに登場すると、白熱のセッションを披露。攻撃的なプレイに会場からは拳が突き上がるなど、熱い盛り上がりを見せる。ぐっと密度が増すなか迎えた後半戦は「Wait？」「ドリルドリル」「knock to me」「正常な狂気」「Hybrid」と畳みかけるように展開。この日一番の一体感を作り出しては、ラストに向けて大きな盛り上がりを産み出した。

「UNIVERSE Sta.」の後のMCでは、これまでの歩みを振り返ると「順風満帆ではなかった」と切り出したタナカ。時にはユーモアのある毒舌を含みながらも、「苦労もしてきたけれど、結果あれも良かったと思える」と10年間を総括すると深く頷いてみせた。そして、4人で10年続けられたことを「数少ない誇り」、来場者はもちろんニコ生視聴者やLEGO BIG MORLを応援する全ての人が「大きな誇り」だと胸を張って明言した。



本編ラストはLEGO BIG MORLの10枚目にして最新シングル「end-end」。演奏が終わり、メンバーがステージを去るなか、赤い照明の下でバスドラが、心臓が鼓動を打つように会場に響き続けていた。

オーディエンスのアンコールの声が響くなか、どこか陽気な天気予報が流れ出す。この日の赤坂は、突然の雷雨に襲われていた。そんな天気を予期していたのか、「赤坂BLITZには雨の後に虹がかかるでしょう」の予報。メンバーがステージに再び姿を現した途端、「RAINBOW」とともに赤坂の高い天井から7色の鮮やかな虹が描き出された。その輝かしい光景にオーディエンスは瞳を輝かせ、笑顔を咲き誇らせる。そんな光景に嬉しそうな笑みを浮かべたタナカは「早く帰ってビール飲みたい」とご機嫌に呟いた。

ここで、6月22日にベストアルバムをリリースすることを発表。加えて、7月1日に恵比寿LIQUIDROOMで自主企画イベント「Thanks Giving」を開催、ファンクラブ「LBA」会員限定イベントの開催、オンラインショップ「A!SMART」でグッズを販売することが発表された。ベストアルバムはこの日のライブタイトルと同じく『Lovers, Birthday, Music』と名付けられている。ラストにはそんなベストアルバムに封入予定の新曲を披露。突き抜けるような鮮やかなメロディには、10周年経っても不器用で青臭い、少年のような彼らの直向きな思いが込められていた。

10周年イヤーへのキックオフを遂げた彼ら。ここから11周年、そしてその先へと羽ばたき続けるためにも怒涛の1年を駆け抜ける。ベストアルバムの発売はもちろん、自主企画イベントには彼ら曰く「いいバンド」が出演予定とのことで合わせて楽しみにしたいところだ。彼らの今後の活躍から目が離せない。



TEXT:河内香奈子
撮影：橋本塁

■セットリスト
1 dim
2 ワープ
3 Strike a Bell
4 所詮、僕は言葉を覚えたばかりの猿
5 テキーラグッバイ
6 space dive
7 Fo(u)r rockstars
8 雨のタクシー
9 Rise and Set
10 バランス
11 東京リュックサック
12 Ray
13 大きな木
14 Wait？
15 ドリルドリル
16 knock to me
17 正常な狂気
18 Hybrid
19 UNIVERSE Sta.
20 end-end

アンコール
EN1 RAINBOW
EN2 新曲