1. 中田裕二 ソロ初となる中野サンプラザで魅せたドラマティックな『LIBERTY』の世界

中田裕二 ソロ初となる中野サンプラザで魅せたドラマティックな『LIBERTY』の世界

4月17日(日)中野サンプラザにて中田裕二が<中田裕二 TOUR 16 “LIBERTY”>のツアーファイナル公演を行った。

2016年4月21日




4月17日(日)中野サンプラザにて中田裕二が<中田裕二 TOUR 16 “LIBERTY”>のツアーファイナル公演を行った。

同ツアーはソロ活動をスタートして以降初となるホールライブツアーで、2月25日(木)の名古屋を皮切りに、大阪、横浜、仙台、札幌、福岡と主要都市を巡ってきた。

セミファイナルの福岡公演からおよそ1か月を経たこの日、中田裕二は35歳の誕生日を迎えた。集まった2000人のファンからの祝福の声を浴び、様々な思いが胸に廻ったのか感極まった表情を見せる場面もあった。

ライブ冒頭、「お願いがあります。決して暗い顔をせずに、めいっぱい楽しんでほしい」と中田は語った。中田の地元・熊本が未曾有の地震に襲われているなか開催された今回のライブ。中田自身にも葛藤があったのではないかと思うし、集まったオーディエンスのなかにも同じものを抱えていた人も決して少なくないのかもしれない。

そんな状況でありながらも、その時間を楽しむことがベストだという中田の思いの籠った言葉からも感じられるように、この日のライブには中田の持つ人間味に胸の底から暖かくなった。ボサノバ調のBGMが会場内に流れ出すと、日が沈んでいくかのようにゆっくりと照明が落ちていく。

そこへバンドメンバーが登場し、続いて中田が大きく手を掲げて姿を現す。白いジャケットに身を包んだその姿には、中野サンプラザという大きな会場で抜群の存在感を示しながらも、奏でられる楽曲の色に合わせて染まる純真さも持ち合わせていた。

この日は2015年11月にリリースされた通算5枚目のアルバム『LIBERTY』の楽曲を中心に披露。

ソロ活動をスタートし今年で5年。その歩みのなかで”ロックバンド”という制約から自らを解き放ち掴んだ”自由=LIBERTY”が描き出されるように、ホールでのライブを熱望していた中田の思いや表現者としての在り方、そして壮大な『LIBERTY』の世界が持つ自由な楽曲性が明確に表現されていたように思う。

ライブはアルバムのオープニングナンバーと同じく「WOMAN」からスタート。そこからは『LIBERTY』というアルバムの世界を沿って歩いていくかのように、「リボルバー」「KILL YOUR SMILE」「en nui」と披露していく。

この『LIBERTY』というアルバムは実にドラマティックな作品で、まるで様々な人間の人生の1シーンを切り取って繋ぎ観ているかのような感覚を覚える。

それは人間味溢れる中田裕二という男の生き様やルーツ、思い……様々なものが溢れてこの楽曲たちに滲み出ているからだろうか。それをこの日のライブでひしひしと感じた。

ステージは楽曲に合わせて気怠さの残る朝方の部屋やネオンが燦々と輝く街角、星が流れる夜空へと姿を変えていく。メロディーに寄り添うような中田の歌声が、聞き手の想像力を掻き立て、詞の情景を呼び起こさせていた。

その情景は人それぞれ異なると思うと、あの空間には様々なドラマが描きだされていたのかもしれない。「SO SO GOOD」の導入では、「久々の中野です。5年ぶりかな。」と語っていたようにここには中田自身の人生という名のドラマもあった。

椿屋四重奏時代ぶりとなる中野サンプラザの舞台。そこに寄せる思いがありながらも、続けられた「凄くいいですね」という言葉にこの日の熱の在り方が感じられる。

ここからはゆっくりと楽しむゾーンということで、オーディエンスは暫し着席で音楽に酔いしれることになる。

「ガチのボサノバを歌うよと告げられた「とまどい」から始まり「春雷」へ。アコギに乗せて色香が漂った「MUSK」。歌詞に登場する紫やオレンジに合わせて照明が中田を照らした「朝焼けの彼方に」と立て続けに披露。



めらめらと燃えるような情熱を纏っていたり仄かに明かりを灯し身の底から温めてくれるようであったりと、熱量の異なるバラードに静かに耳を澄ませた。「ヴィーナス」からは再びスタンドアップ。

最新シングル『ただひとつの太陽』初回限定盤収録の「ROUNDABOUT」では、研ぎ澄まされた疾走感のあるロックチューンが会場に唸りをあげた。ここで中田が椿屋時代に中野サンプラザで演奏した楽曲を披露することを宣言。

大歓声に包まれる会場に、中田は「これまでも、たくさんのバラードを書いてきましたが、そのなかでも1・2位を争うくらいの泣ける曲です」囁いた。

一体なんだろうと高揚感を募らせるオーディエンスに中田が放ったのは椿屋四重奏ラストアルバム『孤独のカンパネラを鳴らせ』より「NIGHTLIFE」だ。

この楽曲は中田が語った「泣ける曲」のイメージというよりかは、独特なラップ回しにサイケデリックな夜の情景を描き出す、どちらかといえば「あがる曲」である。

意表を突かれた表情を浮かべながらも次第に曲に合わせて体を揺らすオーディエンスを前に、中田はしてやったりとでも言わんばかりのチャーミングな笑みを浮かべていた。

「UNDO」「LOVERS SECRET」の後はバンドメンバー紹介へ。
奥野真哉 (keyboards/SOUL FLOWER UNION)、朝倉真司 (percussions)、平泉光司 (guitar/benzo, COUCH)、小松シゲル (drums/NONA REEVES)、隅倉弘至 (bass/初恋の嵐)らが順々にソロを披露していく。

その中で、バンマスを務める奥野から「あなたのことがみんな大好きです。(中野サンプラザを)2Days、そして武道館とできれば」とメッセージを送られると中田はなんともばつの悪そうな、それでいて嬉しそうな笑みを浮かべていた。

そんな喜びを底上げするように、オーディエンスとのコール&レスポンスから「月の恋人たち」へ。

本編ラストは「STONEFLOWER」で締めくくられた。



アンコールでは1人登場した中田。
アコギを手にしたかと思えば一瞬顔を両手で覆うと背中を向け、なにかを語ろうと口を開くも言葉を詰まらせる。

暫くの間を置き、ふっと息を吐くと「演奏します」と「ひかりのまち」を奏でた。この楽曲は2011年3月11日の東日本大震災の直後にリリースされたもの。

もしかしたら空白のなかで語られるはずだった言葉は、”あの日のように歩きたいんだ”という歌詞たちに込められたのでないだろうか。その語のMCでは「焦らず、ゆっくり行こう。ここから時間はかかると思う。落ちついたら熊本に遊びに行ってくれたら嬉しい」との思いを届けた。

そして全ての思いを抱えて、最新シングル「ただひとつの太陽」が優しく会場を包み込む。そのカップリング曲「夜をこえろ」は中田が「刑事ドラマのような曲」と語っていたように、泥臭い男らしさを感じさせる熱い血潮の滾るナンバーだ。

ラストは機長となった中田の「夜のフライトへ!」の言葉を合図に「MIDNIGHT FLYER」へ。ステージから飛び降りた中田は、桜の花びらが舞い落ちるなかオーディエンスを高らかな空の旅へと連れ出した。

最後は深々と一礼すると、笑顔で会場に手を振りステージを後にした。



TEXT:河内香奈子

【セットリスト】
1.WOMAN
2.リボルバー
3.KILL YOUR SMILE
4.en nui
5.SO SO GOOD

6.誘惑
7.とまどい
8.春雷
9.MUSK
10.朝焼けの彼方に

11.ヴィーナス
12.ROUNDABOUT
13.NIGHTLIFE
14.UNDO
15.LOVERS SECRET

16.月の恋人たち
17.STONEFLOWER


en1.ひかりのまち
en2.ただひとつの太陽
en3.夜をこえろ
en4.MIDNIGHT FLYER
【CD情報】
2016/4/13
「ただひとつの太陽」


-収録曲-
ただひとつの太陽
夜をこえ
ひかりのまち -bonus tracks- 3. ひかりのまち -bonus tracks-
BUG -bonus tracks- 4. BUG -bonus tracks-
イニシアチブ -bonus tracks- 5. イニシアチブ -bonus tracks-
モーション -bonus tracks- 6. モーション -bonus tracks-
Steady -bonus tracks- 7. Steady -bonus tracks-
ROUNDABOUT -bonus tracks- 8. ROUNDABOUT -bonus tracks-

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発売日 2015/11/25
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規格品番 TECI-1471

1. WOMAN
2. KILL YOUR SMILE
3. en nui
SO SO GOOD 4. SO SO GOOD
5. リボルバー
6. とまどい
7. MUSK
8. ヴィーナス
9. 朝焼けの彼方に
10. 月の恋人たち
11. STONEFLOWER

タイトル / 歌手 歌い出し

en nui

中田裕二

玉虫色の結末が さらに気分をはぐらかす 愛は常に不明瞭で いたずらにばらまく

STONEFLOWER

中田裕二

気だるさとやるせなさが こめかみを締めつける まだ響く頭を抱え 朧げに聞くニュース

WOMAN

中田裕二

髪ほどいた その指が しなやかに 朝を呼ぶ ゆうべの

KILL YOUR SMILE

中田裕二

利口そうで 物わかり良い風に してたら 簡単に 自惚れたような目つき

SO SO GOOD

中田裕二

いつの日も 笑っていたいと思うけど それを神様が 許さないのも解る 気がつけば

リボルバー

中田裕二

ふてぶてしく居座る無情 ライトに浮かぶ街の傷 丸めて捨てるフラストレーション さげすみの顔が

とまどい

中田裕二

まだ何も 知らなくて あなたに任せるだけで でも逆に 迷わずに

MUSK

中田裕二

目覚めないままに朝は運ばれ 鉛の上を歩く旅人 何故に私だけいつも そればかり呟いて 誰かほら

ヴィーナス

中田裕二

飽きもしないで眺めてた 君の姿は現実離れさ 見事なカーブを描いて 何一つ遮る物はなくて

朝焼けの彼方に

中田裕二

群青から紫色に 星空が去り オレンジ色の朝焼けが 窓から差し込む

月の恋人たち

中田裕二

君の手をたずさえて 時計を気にしては はやる気持ち そっとなだめて 先を急ぐ