サンドクロック 砂時計の”オリフィス”になぞらえ描いたツアーファイナル@東京キネマ倶楽部【 ライブレポート】



5月7日(土)、東京・キネマ倶楽部にて行われたサンドクロックのワンマンライブ『オリフィス』~ところでオリフィスって何?応用編(バンドver)~」。本公演は3月から始まった1stフル・アルバム『オリフィス』リリースツアーのファイナル公演。これまでアコースティックで行ってきた「入門編」を経て、サポートメンバーを招いたバンド編成の「応用編」にて行われた。

 “オリフィス”についての説明が流れるなか、暗転した空間に、頭上のミラーボールの光が客席へと真っ直ぐに降り注ぐ光景は、まるでプラネタリウムに来たかのようだった。そんな光景に目を奪われながらも、紡がれていく音楽たちはどれもほのかな熱を宿して胸に染み入っていく。日常を切り取ったかのような歌詞は瞼に情景を映し出し、それを滝田周(Pf&Vo)の柔らかくも高く高く伸びていくような力強い歌声、永田佳之(Gt&Vo)の繊細に熱を描写していく凛とした歌声が時に重なり、時に作用しあうことでわたしたちの心により深く響いてくる。今回、「応用編」サポートメンバーとしてRhythm Shrimp Funky Ball Band (Dr: 海老原諒 / Ba: 玉木正太郎)が参加。2人が奏でる力強いアンサンブルは『オリフィス』の新たな一面を明確にしたのではないだろうか。



 今回のツアーはアルバム『オリフィス』のリリースツアーであるからして、同アルバムの楽曲を中心に披露した。舞台は、観客の暖かい拍手に迎えられると、アルバムのオープニングを飾る『HELP!』から幕を開ける。『君はファンタジー』導入前には滝田が客席に向かってグッドサインを浮かべる姿も見られ、早くも会場にいい熱気が産み出されていることを感じる。

『The Fish Story』の後のMCでは、『オリフィス』について改めて解説する滝田に、永田が「これ言って、傷つかん?」と確認を入れると、少し口を濁しながら「みんなググって知っているんじゃない?」と指摘。これに対して滝田は「ググっても出ないんだよね」と自信ありげな表情で回答すると、「(このツアーは)みんなの身体にオリフィスを刻み付けるために始まった」と観客に語り掛けていく。そんな滝田を前に、なんとも言えない表情を浮かべる永田の姿にくすりとした人も多いのではないだろうか。



そんなMCから、永田曰く「サンドクロックの究極のラブソング」である『80歳になったら盆栽を極める』へ。タイトルで面食らう人もいるかもしれないが、愛する人と100歳になっても200歳になってもずっと歩み続けたいという思いを込められた同曲はまさに究極のラブソングである。また、”80歳になったら……”という歌詞の後、暗転する会場にドラムロールとともにサーチライトが回転。結果発表をするように”盆栽を極める”と永田が再び歌いだすお茶目な演出も繰り広げられた。

そんな思わず笑みを浮かべてしまう穏やかな空間のなか『キッチン』『サロペット』が紡がれていく。雨音が降り注ぐ音に滝田のピアノの音色が淡く混ざり合った『Mr.Rainy man』では、物語性の強い楽曲に表現力豊かな滝田の歌声が相まってまるでショートムービーを見ているかのような情景が浮かんだ。



ここからは永田のソロコーナー。カメラが入ることを知り、格好いいポーズを「MEN'S NON-NO」で研究してきたという永田はカメラマンさんを呼び寄せると、亀梨和也のポーズ、「Maroon 5」アダム・レヴィーンのポーズで撮影。颯爽とポーズを披露する姿に会場は暫し笑いに包まれた。しかし、そんな雰囲気も彼が声を響かせると一転する。『IN THOSE DAYS』では情熱的な音色に乗せてアコギと口ラッパを披露。『君の斜め後ろの席で』ではアコギを置くと、真っ直ぐに立ち尽くしノスタルジックに歌い上げると会場を魅了した。

『ドラセナ』では滝田とのユニゾンで壮大な景色を描き、『優しい君は今日も嘘つき』ではじわじわと熱を上げる永田のアコギと鍵盤ハーモニカに持ち替えた滝田の懐かしさが滲む音色が朗らかに混ざり合った。

滝田のソロコーナーでは、これまでの流れを砂時計に例えると、「(流れを通して)オリフィスを体で感じてほしかった」との思いを明かした。そして、ステージ横にある高さのあるサブステージへ移動。片手をあげて階段を登る姿はまるでスターのようだ。ピアノの前につくと、『Good Morning』を披露。夜型だという滝田が朝を思って制作したというメロディーが、朝の爽やかでどこか神秘的な雰囲気を産み出していた。



再びバンドメンバーが登場すると『ROOM』へ。MCではツアー中にカラオケに行ったというメンバーが、「カラオケで歌いやすい歌を作りたい」という話に花を咲かせる場面も。新たな目標(?)も産まれたところで、後半戦は観客もスタンディングスタイルに。『S』『カメレオーン』『Bibbidi-Bobbidi-Boo』『プライスレス』と心躍るナンバーを立て続けに披露すると、観客とコミュニケーションをとるように声を合わせて笑顔を交わしあっていた。ラストは「始まり」を歌う『EPOCH~始まりの詩~』

アンコールではバンド編成で『ガラスケース』を披露。その後、バンドメンバーが退場し、ステージには滝田と永田の2人に。そこで永田は「歌うことの意味はゴールすることじゃなくて、周りにいる人に感謝しながら走り続けられたら」との思いを語ると、『ウサギもカメも』を披露。この日ラストの楽曲で2人でのアコースティックを聴けたことで、また普段のサンドクロックへのライブへと繋がっていくかのようだった。最後は全員がステージに登場すると、感謝の言葉を伝え締めくくられた。かくしてサンドクロックの『オリフィス』を描いた一夜は幕を閉じたのである。



TEXT:河内香奈子
カメラマン: 森 久

【セットリスト】
1.HELP!
2.君はファンタジー
3.The Fish Story ~ノンフィクションな日々に囚われた人生~
4.80歳になったら盆栽を極める
5.キッチン
6.サロペット
7.Mr.Rainy man
8.IN THOSE DAYS
9.君の斜め後ろの席で
10.ドラセナ –Dying and rising
11.優しい君は今日も嘘つき
12.Good Morning
13.ROOM
14.S
15.カメレオーン
16.Bibbidi-Bobbidi-Boo
17.プライスレス
18.EPOCH~始まりの詩~


en1.ガラスケース
en2.ウサギもカメも
オリフィス
ALBUM / CD / 2016.02.17
CRCP-40445
¥2,778 +税
『オリフィス』


【収録曲】
01.HELP!(作詞・作曲:永田佳之)
02.君はファンタジー(作詞・作曲:滝田周)
03.キッチン(作詞・作曲:永田佳之)
04.カメレオーン(作詞・作曲:滝田周)
05.Mr.Rainy man(作詞・作曲:滝田周)
06.EPOCH ~始まりの詩~(作詞:滝田周・永田佳之 作曲:滝田周)
07.君の斜め後ろの席で(作詞・作曲:永田佳之)
08.Good Morning(作詞・作曲:滝田周)
09.許して頂戴(作詞・作曲:永田佳之)
10.Bibbidi-Bobbidi-Boo(作詞:滝田周 作曲:滝田周・石崎光)
11.プライスレス(作詞・作曲:滝田周)
12.ROOM(作詞・作曲:永田佳之)

Sound Produced by 石崎光(cafelon)M1-5 M7-12 木村篤史 M-6

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