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赤裸々、だから胸に刺さる。My Hair is Badが描く映画のような恋の結末

「なんで、彼と別れちゃったんだろう。好きだったのに」 「あの時、もうちょっと優しくしてたら、あの子とまだ続いていたのかな…」 昔の恋人のことを思い出してセンチメンタルな気分になった日は、My Hair is Badの「悪い癖」を聴こう。


「なんで、彼と別れちゃったんだろう。好きだったのに」
「あの時、もうちょっと優しくしてたら、あの子とまだ続いていたのかな…」

昔の恋人のことを思い出してセンチメンタルな気分になった日は、My Hair is Bad「悪い癖」を聴こう。



My Hair is Badは、新潟・上越出身の3ピースロックバンド。5月にEMI Recordsからメジャーデビューが決定した、今年注目の若手だ。人気の理由は、激流のようなライブパフォーマンスもさることながら、椎木知仁(Vo/G)の作り出すリアルな歌詞の世界観にある。ほとんどの曲が彼の実体験をもとにしていて、過ぎ去った恋愛に対する悲しみや悔しさや憧憬、その時々の生の気持ちが赤裸々に感じとれる内容なのだ。

この「悪い癖」も、別れを迎えつつある、ごく普通のカップルの話。だけど、最初は他愛のない日常会話から始まる。

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「あ、この映画、面白かったよ。
別れた恋人が死んじゃうんだけど。」
「へぇ、映画なんて珍しい。」
誰と見たのか聞けない、君の悪い癖
「友達が女に間違われてナンパされたことがあって、
それが超ウケる話なんだけど…」
結論から話し出す僕の癖
何も言わず笑う、君の悪い癖
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彼氏が、最近あったことを彼女に話して聞かせる、ごく普通の会話。でも、ここですでに、二人の関係には少しのひずみが生まれていることにお気づきだろうか。「別れた恋人が死んじゃう」「友達が女に間違われてナンパされた」。話の結論から先に言ってしまう、せっかちな「僕」。そして、それとは真逆で、自分の気持ちをハッキリ言えない物静かな彼女。本当は、映画の結末なんかより、彼が誰と映画に行ったのかが一番知りたいのに切り出せず、心の中にもやもやがたまっていく。
けれど「僕」は相手の心情を気にするよりも、期待通りの反応をしてくれない彼女に少し違和感をおぼえている。

お互いに、小さな我慢を重ねている二人。じゃあ、どうして付き合ったんだろう?理由は明白。やっぱり「好きだったから」だ。
好きだからいつも、少し無理をした。でも、だんだんすれ違いが起こって…そして。

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最後の最後は喫茶店
あの、六文字、が流れて
気づけばなぜか二人とも泣いていた
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やってきた別れ。「最後の最後」だから、きっと何度も話し合って、関係にケリをつける直前の場面だ。「気づけば泣いている」のは、好きだったはずなのに、もう戻れないところまで来てしまったから。二人には、もう「あの、六文字」しか残されていないのだ。

歌詞で多くを語らなくても、行間からこのカップルの関係や情景をまざまざとイメージさせるようなドラマ性。別れ話の時って、手の先がしびれたように動かなくなることがあるけれど、それと全く同じような感覚を私はここで感じた。

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何万回使い古された愛してるより君が欲しかったものって
ずっと、もっとそばにいる、ということ
きっと、もっと言葉にする、ということ
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何万回君が目を瞑って僕に言わないでくれた言葉って
ずっと、そっとそばにいる、ということ
ずっとずっと「寂しかった」ということ
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そして、別れてもう会えなくなった後で、「僕」は付き合っていた頃の彼女の気持ちを想像する。恋愛で主導権を握っているほうって、けっこう自分勝手。自分の事情を優先して、相手の望むことをことごとくスルーしたりする。

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「ねぇ、この二人結婚するんだって。」
僕はその日もテレビを眺めてた
「そっかぁ、私達もうそんな歳だよね。」
見ないフリをした、僕の悪い癖
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数え切れない僕の間違いも
使い切れず残ったシャンプーも
僕の悪い癖も君はわかっていたんだ
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彼女は大人。でもおとなしすぎた。そして、僕は「見ないフリ」をしすぎた。別れた今は、気持ちのすれ違いは後悔でも反省でもないだろう。でも、好きだったぶん少しの淋しさはいつまでも胸に残るはずだ。

この歌で描かれているのは、「合わない」二人が付き合ってしまったことで起こる「別れ」という悲劇。曲の中の二人は、お互いの性格が「悪い癖」として出てしまったけれど、相性がいいカップルだったら、それが逆に「長所」にだってなり得たはず。

でもやっぱり、好きなのだから仕方ない。計算せずに好きになるから、男女関係って面白いけれど、同時に切ない。この、恋愛のもやもやとしたままならなさ、リアルさが、My Hair is Badの歌詞からは痛いくらいに伝わってくる

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二人の映画に乾杯を
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喫茶店で流れてきた「あの六文字」とは、どこにも書かれていないけれど「THE END」ではないだろうか。この二人の物語はここで終わり。でも、人はいつかその悲しみを癒して「次の映画」へと向かっていくのだ。

TEXT:佐藤マタリ

・Gt.Vo. 椎木知仁(シイキトモミ) ・Ba.Cho. 山本大樹(ヤマモトヒロキ) ・Dr. 山田淳(ヤマダジュン) 新潟県上越市出身(在住)3ピースロックバンド 。 2013年2月に初の全国流通盤1stミニアルバム「昨日になりたくて」発売。 年間100本を超えるライブ本数を重ね、2014年には1stシングル「だま···

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