台所だいどころでは
はらわたを出だされた魚さかなが跳はねるのを笑わらったという
食卓しょくたくでは
まだ動うごくその肉にくを笑わらったという
ナチの収容所しゅうようじょでは
足あしを切きった人間にんげんが
切きられた人間にんげんを笑わらったという
切きった足あしに竹たけを突つき刺さし歩あるかせて
ころんだら笑わらったという
ある療養所りょうようじょでは
義眼ぎがんを入いれ
かつらをかむり
義足ぎそくをはいて
やっと人ひとの形かたちにもどる
欠落けつらくの悲哀ひあいを笑わらったという
笑わらわれた悲哀ひあいを
世間せけんはまた笑わらったという
笑わらうことに
苦痛くつうも感かんぜず
嘔吐おうとももよおさず
焚たき火びをしながら
ごく自然しぜんに笑わらったという
夜よるの塀へいのむこうでは
びっこの月つきを笑わらうという
可能性かのうせいの裏うらには
方輪かたわの海うみが広ひろがるという
やましさの欠片かけらもなく
誰だれかの悲かなしみを歌うたにしよう
その歌うたは売うれるだろう
あなたの悲かなしみは売うれるだろう
血ちも汗あせも流ながさずに
くたびれ儲もうけの銭ぜにが欲ほしい
そんな歌うたが歌うたいたい
そんな夢ゆめを叶かなえたい
ああ君きみに幸しあわせあれ
健すこやかなる時ときも
病やめる時ときも
いついつまでも笑顔えがおでいておくれ
もっとずっと
汚よごれてくれ
汚よごしてくれ
台所daidokoroではdeha
はらわたをharawatawo出daされたsareta魚sakanaがga跳haねるのをnerunowo笑waraったというttatoiu
食卓syokutakuではdeha
まだmada動ugoくそのkusono肉nikuをwo笑waraったというttatoiu
ナチnachiのno収容所syuuyoujoではdeha
足ashiをwo切kiったtta人間ningenがga
切kiられたrareta人間ningenをwo笑waraったというttatoiu
切kiったtta足ashiにni竹takeをwo突tsuきki刺saしshi歩aruかせてkasete
ころんだらkorondara笑waraったというttatoiu
あるaru療養所ryouyoujoではdeha
義眼giganをwo入iれre
かつらをかむりkatsurawokamuri
義足gisokuをはいてwohaite
やっとyatto人hitoのno形katachiにもどるnimodoru
欠落ketsurakuのno悲哀hiaiをwo笑waraったというttatoiu
笑waraわれたwareta悲哀hiaiをwo
世間sekenはまたhamata笑waraったというttatoiu
笑waraうことにukotoni
苦痛kutsuuもmo感kanぜずzezu
嘔吐outoももよおさずmomoyoosazu
焚taきki火biをしながらwoshinagara
ごくgoku自然shizenにni笑waraったというttatoiu
夜yoruのno塀heiのむこうではnomukoudeha
びっこのbikkono月tsukiをwo笑waraうというutoiu
可能性kanouseiのno裏uraにはniha
方輪katawaのno海umiがga広hiroがるというgarutoiu
やましさのyamashisano欠片kakeraもなくmonaku
誰dareかのkano悲kanaしみをshimiwo歌utaにしようnishiyou
そのsono歌utaはha売uれるだろうrerudarou
あなたのanatano悲kanaしみはshimiha売uれるだろうrerudarou
血chiもmo汗aseもmo流nagaさずにsazuni
くたびれkutabire儲mouけのkeno銭zeniがga欲hoしいshii
そんなsonna歌utaがga歌utaいたいitai
そんなsonna夢yumeをwo叶kanaえたいetai
ああaa君kimiにni幸shiawaせあれseare
健sukoやかなるyakanaru時tokiもmo
病yaめるmeru時tokiもmo
いついつまでもitsuitsumademo笑顔egaoでいておくれdeiteokure
もっとずっとmottozutto
汚yogoれてくれretekure
汚yogoしてくれshitekure