Curtain 歌詞 マテリアルクラブ ふりがな付

8月がつ。部活ぶかつの休やすみ時間じかん。
部室ぶしつにいるのが息苦いきぐるしくて教室きょうしつに戻もどる。
誰だれもいない。
開あけ放はなした窓まどから風かぜが吹ふきこみ、
カーテンが寄よせては返かえしてをくりかえしている。
明あかるすぎる外そとと薄暗うすぐらい教室きょうしつ。
波打なみうつ境界線きょうかいせんが淡あわく光ひかって見みえる。

夏休なつやすみのハードな練習れんしゅうのせいで少すこしぼーっとしながら、
凍こおらせて持もってきたスポーツドリンクを飲のむ。
まだ半なかば凍こおっているせいで、
やたらと甘あまい成分せいぶんばかりが口くちに流ながれ込こんでくる。
生命力せいめいりょくが疲つかれた身体からだに染しみ渡わたっていく。
「命いのちの前借まえがり」
そんな言葉ことばが浮うかんだのは、
このあとただの氷水こおりみずと化かす、スポドリのことを思おもったからか。

汗あせをかいて、体からだを鍛きたえて、練習れんしゅうに耐たえて。
上手うまくなりたいとは思おもっている。
だけど、上手うまくなった先さきにある人生じんせいが、
魅力的みりょくてきなものなのかは全まったくわからないでいる。
今日きょうの、今いまの、目標もくひょうを達成たっせいしていくだけ。
それは自分じぶんの本当ほんとうの目標もくひょうと言いえるのだろうか。
10年後ねんご、自分じぶんはプロの選手せんしゅになっているのだろうか。
なれなかったら、どこかの企業きぎょうに就職しゅうしょくするのだろうか。
みんなはどう考かんがえてるんだろう。
……聞きけない。

ウォークマンを鞄かばんから取とり出だす。
最近さいきん、CSの音楽おんがくチャンネルで知しって、日本にっぽんのヒップホップを聴きき始はじめた。
難むずかしい言葉ことばが多おおいけど、韻いんを踏ふんでいく気持きもち良よさが癖くせになっている。
徐々じょじょに馴染なじんできた部活ぶかつ。
覚おぼえたてのギター。
出会であいたてのヒップホップ。
ペアにはできないカードを机つくえに並ならべて、目めを閉とじる。
波なみが寄よせては返かえす。
波なみが寄よせては返かえす。
波なみが寄よせては返かえす。
波なみが寄よせては返かえす。