屋根裏の散歩者 歌詞 人間椅子 ふりがな付

生いきてるふりに 疲つかれた男おとこ
死しぬことそれも いっそう怖こわい
退屈たいくつだけが 人生じんせいだよと
屋根裏やねうら部屋べやに 帷とばりを下おろす
愛あいする資格しかくも

愛あいされる素質そしつも
恋こいする勇気ゆうきも
厭いとわれる覚悟かくごも
何なんにも持もたない
異邦人いほうじん

夜よるの街まちを ただ流離さすらい
夢ゆめの中なかを ただ彷徨さまよう
たったひとり
ひとり

生いき抜ぬくことを 恐おそれる男おとこ
猟奇りょうきな趣味しゅみで 書棚しょだなは埋うまり
倦怠けんたいだけが 膨ふくらむままに
小ちいさな部屋へやの 扉とびらを開あける

笑えみする情緒じょうちょも
涙なみだする心こころも

捧ささげる矜持きょうじも
報むくわれる才気さいきも
一ひとつも持もてない
ろくでなし

夜よるの街まちを ただ流離さすらい
夢ゆめの中なかを ただ彷徨さまよう
たったひとり
ひとり

木枯こがらしに 肩かたすぼめ
口笛くちぶえ吹ふく 後うしろ姿すがた
足跡あしあとも 残のこさずに
夜よるの闇やみに 消きえて行いくよ

生いき行いくことを 忘わすれた男おとこ
路傍ろぼうの草くさを むしってばかり

世界せかいへの狂気きょうきと
自然しぜんへの呪のろいと
社会しゃかいへの嫌悪けんおと
善意ぜんいへの皮肉ひにくと
それしか持もてない
局外者きょくがいしゃ

夜よるの街まちを ただ流離さすらい
夢ゆめの中なかを ただ彷徨さまよう
たったひとり
ひとり