「しつこく追おってきて、何なにが目的もくてき?
やっぱり誰だれかにバラす気きなんじゃ……」
「泣ないてないで何なにか言いってくれないかな、キミ」
「少女しょうじょが声こえを出だせないことなど知しらない二人ふたりは、
何なにも答こたえないフランチェスカに苛立いらだち、
小ちいさな刃物はものを手てに近ちかづいて……」
「黒くろか白しろか、始はじめようか?審判しんぱんを」
刹那せつな煌ふぁんいた消きえぬ証あかし 暴あばかれて
問といは意味いみを成なさない 口外こうがいされれば
幾多いくたの犠牲ぎせいの上うえに 勝かち得えた炎ほのおも潰ついえてしまう...
錆さびついた その凶器きょうきを躊躇ためらいなく翳かざして
声こえさえあげずに固かたまった少女しょうじょに 言葉ことばを荒あらげて忘却ぼうきゃくを求もとめた
「さあ、そこまでだ。国くにが荒あれていると子供達こどもたちまで荒あれるのか?」
害意がいいなきポーズだけのその腕うでを
押おし戻もどすように止とめた者ものは、黒衣こくえの放浪者nomade
「子供こどもがこんな物騒ぶっそうな物ものを持もってはいけない」
諭さとす声こえは真摯しんしにどこか優やさしくて
守まもるように 立たち塞ふさがるその姿すがたに少女しょうじょは
兄あにとの別離べつりを思おもい出だし 静しずかに涙なみだを零こぼして膝ひざから崩くずれた――――
「なあ、もしかしてこの子こ、声こえが……」
「フランチェスカが言葉ことばを発はっせないことに気付きづき、
筆談ひつだんでコミュニケーションをとる。
それをきっかけに、ルクセインに促うながされるままに
それぞれの経緯けいいを話はなし出だす3人にん。
誤解ごかいはすぐに氷解ひょうかいして……」
「脅おどかしてごめん」
「詫わびる二人ふたりに、フランは気きにしないでと恐縮きょうしゅくしながらも
懸命けんめいに兄あにのことを聞きいていた」
「フランチェスカとどこか似にてる少年しょうねんもいたかもしれない……」
――――呼吸こきゅうが、止とまった……
名前なまえさえも奪うばわれる穢けがれた塔とうの中なかで
優やさしかった兄あにがその場所ばしょに囚とらわれ 今いまでもいるかは不確ふたしかでも
拳こぶしを突つき合あわせ 誰だれからともなく視線しせんを重かさねて
出会であったばかりのレギオンは 遥はるかな古城こじょうを見据みすえてその手てを掲かかげた
「無謀むぼうかもしれない。確たしかな策さくなんてありはしない。
けど、こうしてる間あいだにもヤツはっ……。
……ボクは、囚とらわれた仲間なかまを助たすけに行いきたい」
「フランのお兄にいちゃんも、ね」
「強つよく頷うなずくフランチェスカに、
そして大切たいせつな存在そんざいを想おもう彼かれらに心こころ打うたれ、
ルクセインも助力じょりょくを申もうし出でる。
大おおきな力ちからを持もつ魔女まじょに対たいして、なんの武器ぶきも後うしろ盾だてもない。
たった4人にんだけの小ちいさな、けれどとても勇敢ゆうかんなレギオン」
「きっと、まるで勝かち目めのない戦争せんそうだ。けれど――――」
「しつこくshitsukoku追oってきてttekite、何naniがga目的mokuteki?
やっぱりyappari誰dareかにkaniバラbaraすsu気kiなんじゃnanja……」
「泣naいてないでitenaide何naniかka言iってくれないかなttekurenaikana、キミkimi」
「少女syoujoがga声koeをwo出daせないことなどsenaikotonado知shiらないranai二人futariはha、
何naniもmo答kotaえないenaiフランチェスカfuranchesukaにni苛立iradaちchi、
小chiiさなsana刃物hamonoをwo手teにni近chikaづいてduite……」
「黒kuroかka白shiroかka、始hajiめようかmeyouka?審判shinpanをwo」
刹那setsuna煌fanいたita消kiえぬenu証akashi 暴abaかれてkarete
問toいはiha意味imiをwo成naさないsanai 口外kougaiされればsarereba
幾多ikutaのno犠牲giseiのno上ueにni 勝kaちchi得eたta炎honooもmo潰tsuiえてしまうeteshimau...
錆saびついたbitsuita そのsono凶器kyoukiをwo躊躇tameraいなくinaku翳kazaしてshite
声koeさえあげずにsaeagezuni固kataまったmatta少女syoujoにni 言葉kotobaをwo荒araげてgete忘却boukyakuをwo求motoめたmeta
「さあsaa、そこまでだsokomadeda。国kuniがga荒aれているとreteiruto子供達kodomotachiまでmade荒aれるのかrerunoka?」
害意gaiiなきnakiポpoーズzuだけのそのdakenosono腕udeをwo
押oしshi戻modoすようにsuyouni止toめたmeta者monoはha、黒衣kokueのno放浪者nomade
「子供kodomoがこんなgakonna物騒bussouなna物monoをwo持moってはいけないttehaikenai」
諭satoすsu声koeはha真摯shinshiにどこかnidokoka優yasaしくてshikute
守mamoるようにruyouni 立taちchi塞fusaがるそのgarusono姿sugataにni少女syoujoはha
兄aniとのtono別離betsuriをwo思omoいi出daしshi 静shizuかにkani涙namidaをwo零koboしてshite膝hizaからkara崩kuzuれたreta――――
「なあnaa、もしかしてこのmoshikashitekono子ko、声koeがga……」
「フランチェスカfuranchesukaがga言葉kotobaをwo発haxtuせないことにsenaikotoni気付kiduきki、
筆談hitsudanでdeコミュニケkomyunikeーションsyonをとるwotoru。
それをきっかけにsorewokikkakeni、ルクセインrukuseinにni促unagaされるままにsarerumamani
それぞれのsorezoreno経緯keiiをwo話hanaしshi出daすsu3人nin。
誤解gokaiはすぐにhasuguni氷解hyoukaiしてshite……」
「脅odoかしてごめんkashitegomen」
「詫waびるbiru二人futariにni、フランfuranはha気kiにしないでとnishinaideto恐縮kyousyukuしながらもshinagaramo
懸命kenmeiにni兄aniのことをnokotowo聞kiいていたiteita」
「フランチェスカfuranchesukaとどこかtodokoka似niてるteru少年syounenもいたかもしれないmoitakamoshirenai……」
――――呼吸kokyuuがga、止toまったmatta……
名前namaeさえもsaemo奪ubaわれるwareru穢kegaれたreta塔touのno中nakaでde
優yasaしかったshikatta兄aniがそのgasono場所basyoにni囚toraわれware 今imaでもいるかはdemoirukaha不確futashiかでもkademo
拳kobushiをwo突tsuきki合aわせwase 誰dareからともなくkaratomonaku視線shisenをwo重kasaねてnete
出会deaったばかりのttabakarinoレギオンregionはha 遥haruかなkana古城kojouをwo見据misuえてそのetesono手teをwo掲kakaげたgeta
「無謀mubouかもしれないkamoshirenai。確tashiかなkana策sakuなんてありはしないnantearihashinai。
けどkedo、こうしてるkoushiteru間aidaにもnimoヤツyatsuはっhaxtu……。
……ボクbokuはha、囚toraわれたwareta仲間nakamaをwo助tasuけにkeni行iきたいkitai」
「フランfuranのおnoo兄niiちゃんもchanmo、ねne」
「強tsuyoくku頷unazuくkuフランチェスカfuranchesukaにni、
そしてsoshite大切taisetsuなna存在sonzaiをwo想omoうu彼kareらにrani心kokoro打uたれtare、
ルクセインrukuseinもmo助力joryokuをwo申mouしshi出deるru。
大ooきなkina力chikaraをwo持moつtsu魔女majoにni対taiしてshite、なんのnanno武器bukiもmo後ushiろro盾dateもないmonai。
たったtatta4人ninだけのdakeno小chiiさなsana、けれどとてもkeredototemo勇敢yuukanなnaレギオンregion」
「きっとkitto、まるでmarude勝kaちchi目meのないnonai戦争sensouだda。けれどkeredo――――」