涙なみだ残のこして 別わかれるよりも
いっそ絶たちたい この命いのち
湯島ゆしま白梅しらうめ お蔦つたのこころ
知しるや知しらずや なぜ散ちりいそぐ
春はるは名なのみの 切きり通どおし
別わかれろ切きれろは 芸者げいしゃのときに云いう言葉ことば
別わかれろと云いうその口くちで
なぜ…死しねとは云いって下くださらないの
あなたはお蔦つたの命いのちの支ささえ
あなたが居いればこそ 夢ゆめも見みました
心こころの花はなを咲さかせることも出来できました
それなのに…ひどい…ひどすぎます
その言葉ことば…
義理ぎりという字じの 重おもさに負まけて
袂たもとふり切きる 真砂町まさごちょう
青あおい瓦斯がす燈とう よろける影かげに
つもる未練みれんは くちびる噛かんで
意地いじの堅縞たてじま 江戸えど育そだち
梅うめの花はなびらが 雪ゆきのように散ちってゆくわ
蒼あおい月つきの光ひかりが 今夜こんやはまるで 氷こおりの刃やいばのようね
わかりましたもう泣なきません
もうなにも云いいません
真砂町まさごちょうの先生せんせいに お蔦つたは笑わらって別わかれたと
伝つたえて下くださいね
未練みれんだけれど もう一度いちどだけお蔦つたのこの肩かたを
この心こころを…力ちからいっぱい抱だいて…抱だいて下ください
昔むかしのように…
連つれにはぐれた 白鷺しらさぎ一羽いちわ
月つきの不忍しのばず 水鏡みずかがみ
髪かみのほつれを つくろいながら
せめて一刻いっこく 名残なごりを惜おしむ
遠とおく上野うえのの 鐘かねの声こえ
涙namida残nokoしてshite 別wakaれるよりもreruyorimo
いっそisso絶taちたいchitai このkono命inochi
湯島yushima白梅shiraume おo蔦tsutaのこころnokokoro
知shiるやruya知shiらずやrazuya なぜnaze散chiりいそぐriisogu
春haruはha名naのみのnomino 切kiりri通dooしshi
別wakaれろrero切kiれろはreroha 芸者geisyaのときにnotokini云iうu言葉kotoba
別wakaれろとreroto云iうそのusono口kuchiでde
なぜnaze…死shiねとはnetoha云iってtte下kudaさらないのsaranaino
あなたはおanatahao蔦tsutaのno命inochiのno支sasaえe
あなたがanataga居iればこそrebakoso 夢yumeもmo見miましたmashita
心kokoroのno花hanaをwo咲saかせることもkaserukotomo出来dekiましたmashita
それなのにsorenanoni…ひどいhidoi…ひどすぎますhidosugimasu
そのsono言葉kotoba…
義理giriというtoiu字jiのno 重omoさにsani負maけてkete
袂tamotoふりfuri切kiるru 真砂町masagochou
青aoいi瓦斯gasu燈tou よろけるyorokeru影kageにni
つもるtsumoru未練mirenはha くちびるkuchibiru噛kaんでnde
意地ijiのno堅縞tatejima 江戸edo育sodaちchi
梅umeのno花hanaびらがbiraga 雪yukiのようにnoyouni散chiってゆくわtteyukuwa
蒼aoいi月tsukiのno光hikariがga 今夜konyaはまるでhamarude 氷kooriのno刃yaibaのようねnoyoune
わかりましたもうwakarimashitamou泣naきませんkimasen
もうなにもmounanimo云iいませんimasen
真砂町masagochouのno先生senseiにni おo蔦tsutaはha笑waraってtte別wakaれたとretato
伝tsutaえてete下kudaさいねsaine
未練mirenだけれどdakeredo もうmou一度ichidoだけおdakeo蔦tsutaのこのnokono肩kataをwo
このkono心kokoroをwo…力chikaraいっぱいippai抱daいてite…抱daいてite下kudaさいsai
昔mukashiのようにnoyouni…
連tsuれにはぐれたrenihagureta 白鷺shirasagi一羽ichiwa
月tsukiのno不忍shinobazu 水鏡mizukagami
髪kamiのほつれをnohotsurewo つくろいながらtsukuroinagara
せめてsemete一刻ikkoku 名残nagoりをriwo惜oしむshimu
遠tooくku上野uenoのno 鐘kaneのno声koe