コンパートメント 歌詞 松任谷由実 ふりがな付

白しろい眠ねむりぐすり
冷つめたい水みずが運はこばれて来くる
似にてる苦くるしみ持もつ人ひとは
ゆく先さきをきかない
闇やみをすべる汽車きしゃは
氷河ひょうがのようにゆるやかだけど
幼おさない頃ころ住すんだ町まちは
離はなれてゆくばかり

あのひとが愛あいのかわりに
残のこしていったのは
声こえたてて笑わらったあとに
遠とおくを見みつめるくせ

そばにいられるなら
熱あつい瞳ひとみは交かわせなくても
歓よろこぶ顔かおに喜よろこべる
ゆれる影かげでいたい

どなたか私わたしを降おろさせて
忘却ぼうきゃく列車れっしゃのデッキから
どなたか私わたしをあわれんで
このまま冷さめだす
自分じぶんが哀かなしい

もしや愛あいは戻もどる
そんなのぞみは小箱こばこに入いれて
輝かがやく真鍮しんちゅうの鍵かぎを
線路せんろに投なげましょう

あのひとの途切とぎれた声こえの
ゆくえ探さがすように
すれちがう同おなじコロンに
ふりむいてしまうくせ

白しろい眠ねむりぐすり
冷つめたい水みずと喉のどに溶とければ
つややかな馬うまにまたがり
テムズを渡わたる夢ゆめ やがて私わたしは着つく
全すべてが見みえる明あかるい場所ばしょへ
けれどそこは朝あさではなく
白夜びゃくやの荒野こうやです