利根とねの利根とねの川風かわかぜ よしきりの
声こえが冷つめたく 身みをせめる
これが浮世うきよか
見みてはいけない 西にし空ぞら見みれば
江戸えどへ江戸えどへひと刷毛はけ あかね雲ぐも
「佐原さばら囃子ばやしが聴きこえてくらァー、思おもい出だすなァ……、御玉おたまヶが池いけの千葉ちば道場どうじょうか。
うふ……平手ひらて造酒みきも、
今いまじゃやくざの用心棒ようじんぼう、人生じんせい裏街道うらかいどうの枯かれ落葉おちばか。」
義理ぎりの義理ぎりの夜風よかぜに さらされて
月つきよお前まえも 泣なきたかろ
こころみだれて
抜ぬいたすすきを 奥歯おくばで噛かんだ
男おとこ男おとこ泪なみだの 落おとし差ざし
「止とめて下くださるな、妙みょう心しん殿どの。落おちぶれ果はてても平手ひらては武士ぶしじゃ。男おとこの散ちりぎわだけは
知しって居おり申もうす。行いかねばならぬ。そこをどいて下くだされ、行いかねばならぬのだ。」
瞼まぶた瞼まぶたぬらして 大利根おおとねの
水みずに流ながした 夢ゆめいくつ
息いきをころして
地獄じごくまいりの 冷酒ひやざけのめば
鐘かねが鐘かねが鳴なる鳴なる 妙円寺みょうえんじ
利根toneのno利根toneのno川風kawakaze よしきりのyoshikirino
声koeがga冷tsumeたくtaku 身miをせめるwosemeru
これがkorega浮世ukiyoかka
見miてはいけないtehaikenai 西nishi空zora見miればreba
江戸edoへhe江戸edoへひとhehito刷毛hake あかねakane雲gumo
「佐原sabara囃子bayashiがga聴kikoえてくらetekuraァaー、思omoいi出daすなsunaァa……、御玉otamaヶga池ikeのno千葉chiba道場doujouかka。
うふufu……平手hirate造酒mikiもmo、
今imaじゃやくざのjayakuzano用心棒youjinbou、人生jinsei裏街道urakaidouのno枯kare落葉ochibaかka。」
義理giriのno義理giriのno夜風yokazeにni さらされてsarasarete
月tsukiよおyoo前maeもmo 泣naきたかろkitakaro
こころみだれてkokoromidarete
抜nuいたすすきをitasusukiwo 奥歯okubaでde噛kaんだnda
男otoko男otoko泪namidaのno 落otoしshi差zaしshi
「止toめてmete下kudaさるなsaruna、妙myou心shin殿dono。落oちぶれchibure果haててもtetemo平手hirateはha武士bushiじゃja。男otokoのno散chiりぎわだけはrigiwadakeha
知shiってtte居oりri申mouすsu。行iかねばならぬkanebanaranu。そこをどいてsokowodoite下kudaされsare、行iかねばならぬのだkanebanaranunoda。」
瞼mabuta瞼mabutaぬらしてnurashite 大利根ootoneのno
水mizuにni流nagaしたshita 夢yumeいくつikutsu
息ikiをころしてwokoroshite
地獄jigokuまいりのmairino 冷酒hiyazakeのめばnomeba
鐘kaneがga鐘kaneがga鳴naるru鳴naるru 妙円寺myouenji