続つづけざまに苦くるしそうなせきばらいをしてた
西新宿にししんじゅくの飲のみ屋やの親父おやじが昨日きのう死しんだ
「俺おれの命いのちもそろそろかな」って吸すっちゃいけねえタバコふかし
「日本にっぽんも今いまじゃクラゲになっちまった」と笑わらってた
わりと寂さびしい葬式そうしきで春はるの光ひかりがやたら目めをつきさしてた
考かんがえてみりゃ親父おやじはいい時ときに死しんだのかもしれねえ
地響じひびきがガンガンと工事こうじ現場げんばに響ひびきわたり
やがて親父おやじの店みせにも新あたらしいビルが建たつという
銭ぜににならねえ歌うたを唄うたってた俺おれに
親父おやじはいつもしわがれ声ごえで俺おれを怒鳴どなっていた
錆さびついた包丁ほうちょう研とぎ とれたての鯛たいをさばき
「出世しゅっせ払ばらいでいいからとっとと食くえ」って言いってた
「やるなら今いましかねえ
やるなら今いましかねえ」
66の親父おやじの口癖くちぐせは
「やるなら今いましかねえ」
古ふるいか新あたらしいかなんてまぬけな者ものたちの言いい草ぐさだった
俺おれか俺おれじゃねえかで ただ命いのちがけだった
酒さけの飲のめない俺おれに無理矢理むりやりとっくりかたむけて
「男おとこなら髪かみの毛けぐらい短みじかく切きれよ」ってまた怒鳴どなった
西新宿にししんじゅくの飲のみ屋やの親父おやじに別わかれを告つげて
俺おれは通かよい慣なれた路地ろじをいつもよりゆっくり歩あるいてる
すすけた畳屋たたみやの割われたガラスにうつっていた
暮くらしにまみれた俺おれが一人ひとりうつっていた
「やるなら今いましかねえ
やるなら今いましかねえ」
66の親父おやじの口癖くちぐせは
「やるなら今いましかねえ」
続tsuduけざまにkezamani苦kuruしそうなせきばらいをしてたshisounasekibaraiwoshiteta
西新宿nishishinjukuのno飲noみmi屋yaのno親父oyajiがga昨日kinou死shiんだnda
「俺oreのno命inochiもそろそろかなmosorosorokana」ってtte吸suっちゃいけねえtchaikeneeタバコtabakoふかしfukashi
「日本nipponもmo今imaじゃjaクラゲkurageになっちまったninatchimatta」とto笑waraってたtteta
わりとwarito寂sabiしいshii葬式soushikiでde春haruのno光hikariがやたらgayatara目meをつきさしてたwotsukisashiteta
考kangaえてみりゃetemirya親父oyajiはいいhaii時tokiにni死shiんだのかもしれねえndanokamoshirenee
地響jihibiきがkigaガンガンganganとto工事kouji現場genbaにni響hibiきわたりkiwatari
やがてyagate親父oyajiのno店miseにもnimo新ataraしいshiiビルbiruがga建taつというtsutoiu
銭zeniにならねえninaranee歌utaをwo唄utaってたtteta俺oreにni
親父oyajiはいつもしわがれhaitsumoshiwagare声goeでde俺oreをwo怒鳴donaっていたtteita
錆saびついたbitsuita包丁houchou研toぎgi とれたてのtoretateno鯛taiをさばきwosabaki
「出世syusse払baraいでいいからとっととideiikaratottoto食kuえe」ってtte言iってたtteta
「やるならyarunara今imaしかねえshikanee
やるならyarunara今imaしかねえshikanee」
66のno親父oyajiのno口癖kuchiguseはha
「やるならyarunara今imaしかねえshikanee」
古furuいかika新ataraしいかなんてまぬけなshiikanantemanukena者monoたちのtachino言iいi草gusaだったdatta
俺oreかka俺oreじゃねえかでjaneekade ただtada命inochiがけだったgakedatta
酒sakeのno飲noめないmenai俺oreにni無理矢理muriyariとっくりかたむけてtokkurikatamukete
「男otokoならnara髪kamiのno毛keぐらいgurai短mijikaくku切kiれよreyo」ってまたttemata怒鳴donaったtta
西新宿nishishinjukuのno飲noみmi屋yaのno親父oyajiにni別wakaれをrewo告tsuげてgete
俺oreはha通kayoいi慣naれたreta路地rojiをいつもよりゆっくりwoitsumoyoriyukkuri歩aruいてるiteru
すすけたsusuketa畳屋tatamiyaのno割waれたretaガラスgarasuにうつっていたniutsutteita
暮kuらしにまみれたrashinimamireta俺oreがga一人hitoriうつっていたutsutteita
「やるならyarunara今imaしかねえshikanee
やるならyarunara今imaしかねえshikanee」
66のno親父oyajiのno口癖kuchiguseはha
「やるならyarunara今imaしかねえshikanee」