壁かべに書かいた 糸いと文字いともじは 栞しおり
恋こい乱みだりる 胸むねを 今いまも 残のこした儘まま
疾とうに 投なげた 謀たばかりを 告つげて
情なさけなど 乞こわず
二度にどと 見まみえぬ 故から
人ひとではない 花はなでもない
斯かかる 虫むしの 我わが身み なれど
行ゆき場ばのない 此この 想おもいだけが
はらはらと 舞まう
頷うなずきすら せず 見み下みさぐ 御目おめ
瞬またたく間まに 顰ひそめる
声こえも聴きかず 焦こがれた日ひも 無なみして
言葉ことばもない 容赦ようしゃもない
毒どくの刃やいば 雨あめを 降ふらす
逃にげ場ばのない 此この 子こ蜘蛛こどもたちが
生なし腹ばらを 怨うらんでいる
人ひとではない 心こころがない
差さし伸のぶ 歩脚てを 断たち 嗤わらうか
躙にじくられた 詫わび言ごとを 抱だいて
愛いとしさと 悔くやしさに 音おとも無なく 哭なきながら 逝ゆくの
八やつを欠かいた 此この脚うでに 捕とらう
貴方あなたへの 想おもい 今いまも 遺のこした儘まま
壁kabeにni書kaいたita 糸ito文字itomojiはha 栞shiori
恋koいi乱midariるru 胸muneをwo 今imaもmo 残nokoしたshita儘mama
疾toうにuni 投naげたgeta 謀tabakaりをriwo 告tsuげてgete
情nasakeなどnado 乞koわずwazu
二度nidoとto 見mamiえぬenu 故kara
人hitoではないdehanai 花hanaでもないdemonai
斯kaかるkaru 虫mushiのno 我waがga身mi なれどnaredo
行yuきki場baのないnonai 此koのno 想omoいだけがidakega
はらはらとharaharato 舞maうu
頷unazuきすらkisura せずsezu 見mi下misaぐgu 御目ome
瞬matataくku間maにni 顰hisoめるmeru
声koeもmo聴kiかずkazu 焦koがれたgareta日hiもmo 無naみしてmishite
言葉kotobaもないmonai 容赦yousyaもないmonai
毒dokuのno刃yaiba 雨ameをwo 降fuらすrasu
逃niげge場baのないnonai 此koのno 子ko蜘蛛kodomoたちがtachiga
生naしshi腹baraをwo 怨uraんでいるndeiru
人hitoではないdehanai 心kokoroがないganai
差saしshi伸noぶbu 歩脚teをwo 断taちchi 嗤waraうかuka
躙nijiくられたkurareta 詫waびbi言gotoをwo 抱daいてite
愛itoしさとshisato 悔kuyaしさにshisani 音otoもmo無naくku 哭naきながらkinagara 逝yuくのkuno
八yaつをtsuwo欠kaいたita 此koのno脚udeにni 捕toらうrau
貴方anataへのheno 想omoいi 今imaもmo 遺nokoしたshita儘mama