暑あつい夏なつの午後ごご
僕ぼくは駅えきを降おりた
東京とうきょうに住すんで初はじめて来きた街まち
陽炎かげろうが揺ゆれる踏切ふみきりの向むこうに
僕ぼくをまっすぐ見みつめる人ひとがいた
15年前ねんまえの土砂降どしゃぶりの雨あめの日ひ
突然とつぜんあなたは僕ぼくの前まえからいなくなった
母かあさん、
どうして僕ぼくを
あの時とき一緒いっしょに連つれて行いってくれなかったの?
母かあさん、
幼おさない僕ぼくは心こころ閉とじたまま
あれからずっとあなたを
許ゆるせなかった
まるで傷口きずぐちを自分じぶんで縫ぬうみたいに
あなたを消けし去さり僕ぼくは大人おとなになった
15年振ねんぶりにあなたから手紙てがみが届とどいた
「新あたらしい家族かぞくと暮くらしています。おまえに会あいたい」
母かあさん、
あれから僕ぼくは
大切たいせつな人ひとも上手うまく愛あいせず傷きずつけてしまう
母かあさん、
本当ほんとうはずっと逢あいたかったんだ
あなたの腕うでに
ただ、抱だかれたかった
陽炎かげろうが揺ゆれる踏切ふみきりの向むこうに
僕ぼくとそっくりな瞳ひとみの人ひとがいた
その時ときすべてを許ゆるせる気きがした
心こころの奥おくで僕ぼくは叫さけんだ
「僕ぼくだよ」
「母かあさん」
暑atsuいi夏natsuのno午後gogo
僕bokuはha駅ekiをwo降oりたrita
東京toukyouにni住suんでnde初hajiめてmete来kiたta街machi
陽炎kagerouがga揺yuれるreru踏切fumikiriのno向muこうにkouni
僕bokuをまっすぐwomassugu見miつめるtsumeru人hitoがいたgaita
15年前nenmaeのno土砂降dosyabuりのrino雨ameのno日hi
突然totsuzenあなたはanataha僕bokuのno前maeからいなくなったkarainakunatta
母kaaさんsan、
どうしてdoushite僕bokuをwo
あのano時toki一緒issyoにni連tsuれてrete行iってくれなかったのttekurenakattano?
母kaaさんsan、
幼osanaいi僕bokuはha心kokoro閉toじたままjitamama
あれからずっとあなたをarekarazuttoanatawo
許yuruせなかったsenakatta
まるでmarude傷口kizuguchiをwo自分jibunでde縫nuうみたいにumitaini
あなたをanatawo消keしshi去saりri僕bokuはha大人otonaになったninatta
15年振nenbuりにあなたからrinianatakara手紙tegamiがga届todoいたita
「新ataraしいshii家族kazokuとto暮kuらしていますrashiteimasu。おまえにomaeni会aいたいitai」
母kaaさんsan、
あれからarekara僕bokuはha
大切taisetsuなna人hitoもmo上手umaくku愛aiせずsezu傷kizuつけてしまうtsuketeshimau
母kaaさんsan、
本当hontouはずっとhazutto逢aいたかったんだitakattanda
あなたのanatano腕udeにni
ただtada、抱daかれたかったkaretakatta
陽炎kagerouがga揺yuれるreru踏切fumikiriのno向muこうにkouni
僕bokuとそっくりなtosokkurina瞳hitomiのno人hitoがいたgaita
そのsono時tokiすべてをsubetewo許yuruせるseru気kiがしたgashita
心kokoroのno奥okuでde僕bokuはha叫sakeんだnda
「僕bokuだよdayo」
「母kaaさんsan」