深ふかく 深ふかく 瞼マブタを落おとす
すると 暗闇くらやみに一人ひとり椅子いすに座すわる 僕ぼく
カタカタ… フィルムの回まわる音おとが聞きこえて
画面がめんが一ひとつ浮うかび上あがる
『ようこそ』…聞きき覚おぼえのある声こえ『ほら…いくよ』
今いまから60年前ねんまえ 雪ゆきの絶たえない国くにだった
僕ぼくはトナカイにまたがり 君きみは 背中せなかに顔かおうずめて
白銀しろがねの渦うず 凍こごえ滅ほろびた街まちを突つき抜ぬけた
『私わたしが悪わるいの…』…僕ぼくは聞きき取とれず
雪ゆきに埋うもれた森もりの中なかの 水面みなもに映うつる星屑ほしくずは
『二人ふたりの秘密ひみつの場所ばしょね』って肌はだの白しろい君きみは笑わらうの
ほんの小ちいさな物語ものがたりの フィルムをゆっくり回まわすと
君きみはまだ 僕ぼくのポケットで手てを握にぎってる
ほんの小ちいさな物語ものがたりの フィルムをゆっくり回まわすと
夜汽車よぎしゃ 君きみを迎むかえに
汽笛きてきを鳴ならし…告つげていた。
空そらを覆おおう綿雪わたゆきが 汽車きしゃのライトに照てらされて
まるで 星ほしが落おちてきたみたい
泣なき声ごえで…『ごめんね』
君きみが 突然とつぜん現あらわれたのは 初はじめて雪ゆきが降ふった夜よる
ポッカリ空あいたこの空間くうかんで 君きみと出会であったの
それから 雪ゆきは絶たえず降ぶり
白銀はくぎんの世界せかいに変かわり果はてたの
水面みなもに映うつる星ほしを見みて いつも…淋さびしそうに
ほんの一瞬いっしゅん 君きみが見みせた涙なみだ
その時とき その意味いみわからず
君きみは 僕ぼくのポケットに手てを入いれ…手てを握にぎったの
ほんの小ちいさな物語ものがたりの フィルムをゆっくり回まわすと
君きみはまだ僕ぼくのポケットで手てを握にぎってる
ほんの一瞬いっしゅん 君きみが見みせた涙なみだ
それ見みて 強つよく抱だきしめた
『謝あやまらないでよ、ずるいよ…どこもいかないでよ』
君きみは そっと僕ぼくをはらい 夜汽車よぎしゃに乗のり 空そらへむかう
でも 僕ぼくは君きみを見みれず…下したを向むいたまま
水面みなもに映うつる君きみは 大おおきく手てを振ふっていたの
しだいに雪ゆきは止やみ始はじめて 泣なき声ごえで…『ごめんね』
なにもできなくて…
深fukaくku 深fukaくku 瞼mabutaをwo落oとすtosu
するとsuruto 暗闇kurayamiにni一人hitori椅子isuにni座suwaるru 僕boku
カタカタkatakata… フィルムfirumuのno回mawaるru音otoがga聞kiこえてkoete
画面gamenがga一hitoつtsu浮uかびkabi上aがるgaru
『ようこそyoukoso』…聞kiきki覚oboえのあるenoaru声koe『ほらhora…いくよikuyo』
今imaからkara60年前nenmae 雪yukiのno絶taえないenai国kuniだったdatta
僕bokuはhaトナカイtonakaiにまたがりnimatagari 君kimiはha 背中senakaにni顔kaoうずめてuzumete
白銀shiroganeのno渦uzu 凍kogoえe滅horoびたbita街machiをwo突tsuきki抜nuけたketa
『私watashiがga悪waruいのino…』…僕bokuはha聞kiきki取toれずrezu
雪yukiにni埋uもれたmoreta森moriのno中nakaのno 水面minamoにni映utsuるru星屑hoshikuzuはha
『二人futariのno秘密himitsuのno場所basyoねne』ってtte肌hadaのno白shiroいi君kimiはha笑waraうのuno
ほんのhonno小chiiさなsana物語monogatariのno フィルムfirumuをゆっくりwoyukkuri回mawaすとsuto
君kimiはまだhamada 僕bokuのnoポケットpokettoでde手teをwo握nigiってるtteru
ほんのhonno小chiiさなsana物語monogatariのno フィルムfirumuをゆっくりwoyukkuri回mawaすとsuto
夜汽車yogisya 君kimiをwo迎mukaえにeni
汽笛kitekiをwo鳴naらしrashi…告tsuげていたgeteita。
空soraをwo覆ooうu綿雪watayukiがga 汽車kisyaのnoライトraitoにni照teらされてrasarete
まるでmarude 星hoshiがga落oちてきたみたいchitekitamitai
泣naきki声goeでde…『ごめんねgomenne』
君kimiがga 突然totsuzen現araわれたのはwaretanoha 初hajiめてmete雪yukiがga降fuったtta夜yoru
ポッカリpokkari空aいたこのitakono空間kuukanでde 君kimiとto出会deaったのttano
それからsorekara 雪yukiはha絶taえずezu降buりri
白銀hakuginのno世界sekaiにni変kaわりwari果haてたのtetano
水面minamoにni映utsuるru星hoshiをwo見miてte いつもitsumo…淋sabiしそうにshisouni
ほんのhonno一瞬issyun 君kimiがga見miせたseta涙namida
そのsono時toki そのsono意味imiわからずwakarazu
君kimiはha 僕bokuのnoポケットpokettoにni手teをwo入iれre…手teをwo握nigiったのttano
ほんのhonno小chiiさなsana物語monogatariのno フィルムfirumuをゆっくりwoyukkuri回mawaすとsuto
君kimiはまだhamada僕bokuのnoポケットpokettoでde手teをwo握nigiってるtteru
ほんのhonno一瞬issyun 君kimiがga見miせたseta涙namida
それsore見miてte 強tsuyoくku抱daきしめたkishimeta
『謝ayamaらないでよranaideyo、ずるいよzuruiyo…どこもいかないでよdokomoikanaideyo』
君kimiはha そっとsotto僕bokuをはらいwoharai 夜汽車yogisyaにni乗noりri 空soraへむかうhemukau
でもdemo 僕bokuはha君kimiをwo見miれずrezu…下shitaをwo向muいたままitamama
水面minamoにni映utsuるru君kimiはha 大ooきくkiku手teをwo振fuっていたのtteitano
しだいにshidaini雪yukiはha止yaみmi始hajiめてmete 泣naきki声goeでde…『ごめんねgomenne』
なにもできなくてnanimodekinakute…