廃屋はいおくの庭にわの隅すみに
病やめる薔薇ばらの 一株ひとかぶ
匂においの亡霊ぼうれいたちが
過すぎし日々ひびを 呼よび覚さます
あの人ひとの洩もらす言葉ことば
ひとつひとつに 胸むねを染そめ
汚けがれ知しらぬ 少女しょうじょのように
すべてを信しんじた
やがて死しすべき その葉陰はかげ
恋こいの亡骸なきがらも埋うもれて
なべて 土つちの中なか
いまそっと指ゆびに触ふれる
病やみしもなお 赤あかき棘とげ
わが憂うれい痛いたましむ
気高けだかき最後さいごの抗あらがい
忘わすれ去さられし女おんなにも
鮮あざらかに夢ゆめは 訪いとなう
滲にじむ血ちの如ごとく
やがて朽くちゆく その葉陰はかげ
面影おもかげだけが仄揺ほのゆれて
なべて 闇やみの中なか
いつまでも胸むねの奥おくに
病やめる薔薇ばらの 一片ひとひら
匂においの亡霊ぼうれいたちが
思おもい出でを抱だいて薫かおる
甘あまく甘あまく
哀かなしみを
彩いろどるため
廃屋haiokuのno庭niwaのno隅sumiにni
病yaめるmeru薔薇baraのno 一株hitokabu
匂nioいのino亡霊boureiたちがtachiga
過suぎしgishi日々hibiをwo 呼yoびbi覚saますmasu
あのano人hitoのno洩moらすrasu言葉kotoba
ひとつひとつにhitotsuhitotsuni 胸muneをwo染soめme
汚kegaれre知shiらぬranu 少女syoujoのようにnoyouni
すべてをsubetewo信shinじたjita
やがてyagate死shiすべきsubeki そのsono葉陰hakage
恋koiのno亡骸nakigaraもmo埋uもれてmorete
なべてnabete 土tsuchiのno中naka
いまそっとimasotto指yubiにni触fuれるreru
病yaみしもなおmishimonao 赤akaきki棘toge
わがwaga憂ureいi痛itaましむmashimu
気高kedakaきki最後saigoのno抗aragaいi
忘wasuれre去saられしrareshi女onnaにもnimo
鮮azaらかにrakani夢yumeはha 訪itonaうu
滲nijiむmu血chiのno如gotoくku
やがてyagate朽kuちゆくchiyuku そのsono葉陰hakage
面影omokageだけがdakega仄揺honoyuれてrete
なべてnabete 闇yamiのno中naka
いつまでもitsumademo胸muneのno奥okuにni
病yaめるmeru薔薇baraのno 一片hitohira
匂nioいのino亡霊boureiたちがtachiga
思omoいi出deをwo抱daいてite薫kaoるru
甘amaくku甘amaくku
哀kanaしみをshimiwo
彩irodoるためrutame