おじいちゃんは物静ものしずか
いちばん端はしっこのイスに腰掛こしかけて
とても嬉うれしそう しわくちゃな目めで
遊あそんでる僕ぼくを いつも眺ながめてました
一番いちばん大好物だいこうぶつ 毎日まいにちのように
ざる蕎麦そばばっか食たべてた
少すこし不思議ふしぎでした ぼくは聞きいてみました
「そんなに食たべてて 飽あきないの?」
おじいちゃんは言いいました
「心こころから好すきなものなら
毎日まいにち食たべても 飽あきないよ」
おじいちゃんは 5時じ起おきで
6時じのラジオ体操たいそうで体からだ暖あたためて
曾孫ひまごの顔かおが見みたいからと
毎日まいにち張はり切きって運動うんどうしてました
一番いちばん大好物だいこうぶつ 美味おいしそうにして
ざる蕎麦そば今日きょうも食たべてた
ともだちとケンカして
その日ひ八やつ当あたりした
そしたら優やさしく微笑ほほえんだ
おじいちゃんは言いいました
いつも通どおりの表情ひょうじょうで、
「想おもいは言いわなきゃ伝つたわらない」
おじいちゃんは ある日ひから
たくさんお薬くすりを飲のむようになって
幼おさない僕ぼくはその理由りゆうが何なんなのか
あんまりわかりませんでした
一番いちばん大好物だいこうぶつ 美味おいしそうにして
ざる蕎麦そば今日きょうも食たべてた
おじいちゃんは言いいました
またしわくちゃな目めで
ぼくに微笑ほほえみ 教おしえた
生いきる事ことの美うつくしさを 人生じんせいの儚はかなさを、ただ
ぼくに微笑ほほえみ 教おしえた
それから少すこしたった頃ころ
みるみると おじいちゃんの長ながかった足あしは
14才さいになる僕ぼくより 細ほそくなって
一人ひとりじゃ歩あるけなくなりました
一番いちばん大好物だいこうぶつ いつも食たべてた
ざる蕎麦そば今日きょうは食たべずに
ずっと嫌いやがっていた病院びょういんに入院にゅういんして
おじいちゃんはそっとつぶやいた
「本当ほんとうに幸しあわせ者ものだ」
「ありがとう、ありがとう」って
僕ぼくに優やさしく微笑ほほえんだ
よく晴はれた昼下ひるさがり
おじいちゃんに 白しろい羽はねが生はえて
お空そらにはばたいて行いきました
おじいちゃんは黙だまったままで
だけど優やさしく微笑ほほえんで
ぼくの止とまらない泪なみだを優やさしく拭ぬぐいとるように
窓まどから 風かぜが吹ふき込こんだ
もう一度いちど会あえるのなら、ごめんねを言いって
ざる蕎麦そば一緒いっしょに食たべよう
伝つたえられなかった
「ありがとう、ありがとう」
ぼくは お空そらを見上みあげた
生いきる事ことの美うつくしさに 人生じんせいの儚はかなさに、ただ
ぼくは その時とき気付きづいた
いまはむかし 時ときは経たち
だんだんしわくちゃな目めになってきたよ
そんなぼくは 愛あいする人ひとに
「ありがとう、ありがとう」
そう伝つたえています
おじいちゃんはojiichanha物静monoshizuかka
いちばんichiban端hashiっこのkkonoイスisuにni腰掛koshikaけてkete
とてもtotemo嬉ureしそうshisou しわくちゃなshiwakuchana目meでde
遊asoんでるnderu僕bokuをwo いつもitsumo眺nagaめてましたmetemashita
一番ichiban大好物daikoubutsu 毎日mainichiのようにnoyouni
ざるzaru蕎麦sobaばっかbakka食taべてたbeteta
少sukoしshi不思議fushigiでしたdeshita ぼくはbokuha聞kiいてみましたitemimashita
「そんなにsonnani食taべててbetete 飽aきないのkinaino?」
おじいちゃんはojiichanha言iいましたimashita
「心kokoroからkara好suきなものならkinamononara
毎日mainichi食taべてもbetemo 飽aきないよkinaiyo」
おじいちゃんはojiichanha 5時ji起oきでkide
6時jiのnoラジオrajio体操taisouでde体karada暖atataめてmete
曾孫himagoのno顔kaoがga見miたいからとtaikarato
毎日mainichi張haりri切kiってtte運動undouしてましたshitemashita
一番ichiban大好物daikoubutsu 美味oiしそうにしてshisounishite
ざるzaru蕎麦soba今日kyouもmo食taべてたbeteta
ともだちとtomodachitoケンカkenkaしてshite
そのsono日hi八yaつtsu当aたりしたtarishita
そしたらsoshitara優yasaしくshiku微笑hohoeんだnda
おじいちゃんはojiichanha言iいましたimashita
いつもitsumo通dooりのrino表情hyoujouでde、
「想omoいはiha言iわなきゃwanakya伝tsutaわらないwaranai」
おじいちゃんはojiichanha あるaru日hiからkara
たくさんおtakusano薬kusuriをwo飲noむようになってmuyouninatte
幼osanaいi僕bokuはそのhasono理由riyuuがga何nanなのかnanoka
あんまりわかりませんでしたanmariwakarimasendeshita
一番ichiban大好物daikoubutsu 美味oiしそうにしてshisounishite
ざるzaru蕎麦soba今日kyouもmo食taべてたbeteta
おじいちゃんはojiichanha言iいましたimashita
またしわくちゃなmatashiwakuchana目meでde
ぼくにbokuni微笑hohoeみmi 教oshiえたeta
生iきるkiru事kotoのno美utsukuしさをshisawo 人生jinseiのno儚hakanaさをsawo、ただtada
ぼくにbokuni微笑hohoeみmi 教oshiえたeta
それからsorekara少sukoしたったshitatta頃koro
みるみるとmirumiruto おじいちゃんのojiichanno長nagaかったkatta足ashiはha
14才saiになるninaru僕bokuよりyori 細hosoくなってkunatte
一人hitoriじゃja歩aruけなくなりましたkenakunarimashita
一番ichiban大好物daikoubutsu いつもitsumo食taべてたbeteta
ざるzaru蕎麦soba今日kyouはha食taべずにbezuni
ずっとzutto嫌iyaがっていたgatteita病院byouinにni入院nyuuinしてshite
おじいちゃんはそっとつぶやいたojiichanhasottotsubuyaita
「本当hontouにni幸shiawaせse者monoだda」
「ありがとうarigatou、ありがとうarigatou」ってtte
僕bokuにni優yasaしくshiku微笑hohoeんだnda
よくyoku晴haれたreta昼下hirusaがりgari
おじいちゃんにojiichanni 白shiroいi羽haneがga生haえてete
おo空soraにはばたいてnihabataite行iきましたkimashita
おじいちゃんはojiichanha黙damaったままでttamamade
だけどdakedo優yasaしくshiku微笑hohoeんでnde
ぼくのbokuno止toまらないmaranai泪namidaをwo優yasaしくshiku拭nuguいとるようにitoruyouni
窓madoからkara 風kazeがga吹fuきki込koんだnda
もうmou一度ichido会aえるのならerunonara、ごめんねをgomennewo言iってtte
ざるzaru蕎麦soba一緒issyoにni食taべようbeyou
伝tsutaえられなかったerarenakatta
「ありがとうarigatou、ありがとうarigatou」
ぼくはbokuha おo空soraをwo見上miaげたgeta
生iきるkiru事kotoのno美utsukuしさにshisani 人生jinseiのno儚hakanaさにsani、ただtada
ぼくはbokuha そのsono時toki気付kiduいたita
いまはむかしimahamukashi 時tokiはha経taちchi
だんだんしわくちゃなdandanshiwakuchana目meになってきたよninattekitayo
そんなぼくはsonnabokuha 愛aiするsuru人hitoにni
「ありがとうarigatou、ありがとうarigatou」
そうsou伝tsutaえていますeteimasu