おんなだてらに 故郷くに出でてきたが
胸むねにさわぐは 父ちちの声こえ
錦にしき飾かざれる その日ひまで
二度にどと敷居しきいは またぐなと
あれは十九歳じゅうくの春はる弥生やよい あゝああ春はる弥生やよい
泣なくな泣なくなと わたしをあやす
父ちちが泣ないてた 日暮ひぐれ坂ざか
母ははを知しらない 幼子おさなごが
父ちちの背中せなかで 聴きいたうた
今いまも聴きこえる子守こもりうた あゝああ子守こもりうた
千里せんり万里ばんりを 行いくことよりも
背せなに重おもたい 親おやの恩おん
それを承知しょうちの 親不孝おやふこう
詫わびる都みやこの 十三夜月じゅうさんや
ひとり今宵こよいも手てをあわす あゝああ手てをあわす
おんなだてらにonnadaterani 故郷kuni出deてきたがtekitaga
胸muneにさわぐはnisawaguha 父chichiのno声koe
錦nishiki飾kazaれるreru そのsono日hiまでmade
二度nidoとto敷居shikiiはha またぐなとmatagunato
あれはareha十九歳juukuのno春haru弥生yayoi あゝaa春haru弥生yayoi
泣naくなkuna泣naくなとkunato わたしをあやすwatashiwoayasu
父chichiがga泣naいてたiteta 日暮higuれre坂zaka
母hahaをwo知shiらないranai 幼子osanagoがga
父chichiのno背中senakaでde 聴kiいたうたitauta
今imaもmo聴kiこえるkoeru子守komoriうたuta あゝaa子守komoriうたuta
千里senri万里banriをwo 行iくことよりもkukotoyorimo
背seなにnani重omoたいtai 親oyaのno恩on
それをsorewo承知syouchiのno 親不孝oyafukou
詫waびるbiru都miyakoのno 十三夜月juusanya
ひとりhitori今宵koyoiもmo手teをあわすwoawasu あゝaa手teをあわすwoawasu