それは美うつくしい伯母様おばさまの家いえへ行いく道みちであった
それは木きいちごの実みのる森もりへ行いく道みちであった
それは夕暮ゆうぐれひそかに電話でんわをかけに行いく道みちであった
崩くずれ落おちた町まちのなかに
道みちだけが昔むかしながらに残のこっている
いそがしげに過すぎていく見知みしらぬひとびとよ
それぞれがそれぞれの中なかに違ちがった心こころをもって
それぞれの行先いきさきに消きえてゆくなかに
僕ぼくは一個いっこの荷物にもつのように置おき去さられて
僕ぼくは僕ぼくに与あたえられた自由じゆうを思おもい出だす
右みぎに行いくのも左ひだりに行いくのも今いまは僕ぼくの自由じゆうである
戦たたかい敗やぶれた故国ここくに帰かえり
すべてのものの失うしなわれたなかに
いたずらに昔むかしながらに残のこっている道みちに立たち
今いまさら僕ぼくは思おもう
右みぎに行いくのも左ひだりに行いくのも僕ぼくの自由じゆうである
それはsoreha美utsukuしいshii伯母様obasamaのno家ieへhe行iくku道michiであったdeatta
それはsoreha木kiいちごのichigono実minoるru森moriへhe行iくku道michiであったdeatta
それはsoreha夕暮yuugureひそかにhisokani電話denwaをかけにwokakeni行iくku道michiであったdeatta
崩kuzuれre落oちたchita町machiのなかにnonakani
道michiだけがdakega昔mukashiながらにnagarani残nokoっているtteiru
いそがしげにisogashigeni過suぎていくgiteiku見知mishiらぬひとびとよranuhitobitoyo
それぞれがそれぞれのsorezoregasorezoreno中nakaにni違chigaったtta心kokoroをもってwomotte
それぞれのsorezoreno行先ikisakiにni消kiえてゆくなかにeteyukunakani
僕bokuはha一個ikkoのno荷物nimotsuのようにnoyouni置oきki去saられてrarete
僕bokuはha僕bokuにni与ataえられたerareta自由jiyuuをwo思omoいi出daすsu
右migiにni行iくのもkunomo左hidariにni行iくのもkunomo今imaはha僕bokuのno自由jiyuuであるdearu
戦tatakaいi敗yabuれたreta故国kokokuにni帰kaeりri
すべてのもののsubetenomonono失ushinaわれたなかにwaretanakani
いたずらにitazurani昔mukashiながらにnagarani残nokoっているtteiru道michiにni立taちchi
今imaさらsara僕bokuはha思omoうu
右migiにni行iくのもkunomo左hidariにni行iくのもkunomo僕bokuのno自由jiyuuであるdearu