寂さびしさに耐たえかねて 窓まどをあければ
西にしに傾かたむく月影つきかげに 蒼あおくふちどられて浮浪雲はぐれぐも
遠とおくで枕木まくらぎが 旅たびをかぞえている
渡わたり鳥どりが南みなみの空そらをめざして
帰かえるあてのない旅たびに出でる オリオンの胸むねかすめ乍ながら
凩こがらしよ息いきを呑のめ かばうように虫むしの音ね
よろこびの中なかに かなしみがあるように
かなしみの中なかから よろこびが生うまれる
長ながい坂道さかみちがあり そこで生うまれて
営いとなみを重かさね生いきて来きて 振ふり返かえりもせず歩あるき来きて
いつしか気きがつけば そこもまだ 坂さかの途中とちゅう
思おもえば人ひとと出会であい いつか愛あいし合あい
疑うたがいそして憎にくみ合あい 許ゆるし合あいまた 愛あいし合あい
見失みうしないめぐり逢あい 全すべて 草枕くさまくら
よろこびの中なかに かなしみがあるように
かなしみの中なかから よろこびが生うまれる
東ひがしの空ぞらにやがて朝あさが生うまれる
夜よるはかならず明あけてゆく 傷きずも必かならず いえてゆく
転ころんでも倒たおれても そこもまだ 坂さかの途中とちゅう
寂sabiしさにshisani耐taえかねてekanete 窓madoをあければwoakereba
西nishiにni傾katamuくku月影tsukikageにni 蒼aoくふちどられてkufuchidorarete浮浪雲haguregumo
遠tooくでkude枕木makuragiがga 旅tabiをかぞえているwokazoeteiru
渡wataりri鳥doriがga南minamiのno空soraをめざしてwomezashite
帰kaeるあてのないruatenonai旅tabiにni出deるru オリオンorionのno胸muneかすめkasume乍nagaらra
凩kogarashiよyo息ikiをwo呑noめme かばうようにkabauyouni虫mushiのno音ne
よろこびのyorokobino中nakaにni かなしみがあるようにkanashimigaaruyouni
かなしみのkanashimino中nakaからkara よろこびがyorokobiga生uまれるmareru
長nagaいi坂道sakamichiがありgaari そこでsokode生uまれてmarete
営itonaみをmiwo重kasaねne生iきてkite来kiてte 振fuりri返kaeりもせずrimosezu歩aruきki来kiてte
いつしかitsushika気kiがつけばgatsukeba そこもまだsokomomada 坂sakaのno途中tochuu
思omoえばeba人hitoとto出会deaいi いつかitsuka愛aiしshi合aいi
疑utagaいそしてisoshite憎nikuみmi合aいi 許yuruしshi合aいまたimata 愛aiしshi合aいi
見失miushinaいめぐりimeguri逢aいi 全subeてte 草枕kusamakura
よろこびのyorokobino中nakaにni かなしみがあるようにkanashimigaaruyouni
かなしみのkanashimino中nakaからkara よろこびがyorokobiga生uまれるmareru
東higashiのno空zoraにやがてniyagate朝asaがga生uまれるmareru
夜yoruはかならずhakanarazu明aけてゆくketeyuku 傷kizuもmo必kanaraずzu いえてゆくieteyuku
転koroんでもndemo倒taoれてもretemo そこもまだsokomomada 坂sakaのno途中tochuu