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Aqua Timez「決意の朝に」が照らしてくれるのは、自分だけの朝と夜

Aqua Timezは、太志(Vocal)・OKP-STAR(Ba)・大介(Gt)・mayuko(Key)・TASSHI(Dr)からなる、5人組バンドだ。2003年に結成した彼らは、2018年の活動をもって解散することが決まっている。
彼らが歌い奏でてきてくれた楽曲はたくさんあるが、今回は彼らの1stシングル。

2006年7月5日に発売され、映画「ブレイブストーリー」の主題歌にもなった「決意の朝に」に注目していきたい。

この楽曲、「決意の朝に」の根っこは、生きる事・生きていく事に根付いている。

Aqua Timez「決意の朝に」



一生懸命になればなる程 空回りしてしまう僕らの旅路は
小学生の手と足が一緒に出ちゃう行進みたい
それもまたいいんじゃない?生きてゆくことなんてさ
きっと人に笑われるくらいがちょうどいいんだよ


「一生懸命」やれば全てが報われるほど、”「僕らの旅路」=人生”は優しくない。

「一生懸命」やっているのに、報われなくて、虚しく惨めな気持ちになる時が人生には確かにある。

そんな時は、そっとこの曲に頼りたい。一体なんのために「一生懸命」生きていくのだろうか?一体なんのために誰かを「一生懸命」思うのだろうか?

そんな答えの見えない疑問が湧く心を、この曲が包んでくれるからだ。

「それもまたいいんじゃない?」と、もがいている自分を肯定してくれるこの楽曲で、積もった感情が解けて、肩の荷を一度下ろすことが出来るからだ。

伝わるのは背中を押すというより「心の隣に座ってくれるような」メッセージ

辛い時 辛いと言えたらいいのになぁ 僕達は強がって笑う弱虫だ
淋しいのに平気な振りをしているのは 崩れ落ちてしまいそうな自分を守るためなのさ
僕だけじゃないはずさ 行き場のないこの気持ちを 居場所のないこの孤独を
抱えているのは…


言葉にしたら、もうそこから動けなくなってしまいそうなくらい、何かに耐えている。

そんな日々や想いを人と共有するのは、結構難しい。もしも誰かと共有できるのなら、それはとてもラッキーなことだ。

「辛い」時こそ、人は本当の言葉を口にしなくなって、「辛い」自分を封印するようになる。

それは、頑張りたい、心配をかけたくないと思えばこそ。

しかし、自分を塞ぎ続ける内に段々とこんな思いをしているのは、こんなに悩んでいるのは自分だけなのではないか?

と自分一人だけが戦っているように思えてくる。戦っていかなくてはいけないように思える。

でもこの曲が、固く閉じて孤独になった心に”あなただけではないよ”とメッセージを伝えてくれる。

それは決して“あなただけじゃないのだから、頑張れ”という背中を押すメッセージではなく、”あなた1人だけではない、僕もだから大丈夫だよ”という心の隣に座ってくれるようなメッセージだ。

「決意の朝に」という曲名だが、この曲の描かれている感情は、全てが「朝」のように明るく元気で、キラキラとしたものではない。

「決意の朝に」足を踏み出そうとする心を一人にしない優しさ

もう二度とほんとの笑顔を取り戻すこと できないかもしれないと思う夜もあったけど
大切な人達の温かさに支えられ もう一度信じてみようかなと思いました


むしろ「朝」の前の夜に味わう様な、孤独や葛藤の方が多く感じられる。抑えていた、隠していた物がポロポロと溢れるから、夜は時に残酷だ。

しかし、夜に生まれてくるものもある。その一つは「決意」ではないだろうか。

夜は自分と向き合う時間が嫌でも増えるからこそ、このままじゃ嫌だとか何かを変えたいとか、声に出せない叫びが見えてくる。

声に出せない一人きりの叫びは、「決意」の源だ。

ここではない何処かにいくため、今を変えていくため。

時に誰かに支えられながら、時には一人きりで、きっと皆それぞれの「決意の朝に」足を踏み出している。

他人の為ではなく、自分の為の「決意」が出来るのは夜の特権なのかもしれない。

周りからすれば昨日と変わらない何気ない朝でも、その人にとっては昨日とは少し違う「決意」が入り混じった「朝」だったりする。

この曲は、そんな自分だけの「朝」を大切にしてくれる。「決意の朝に」向かって歩いて行こうとする心を一人にしないのだ。

「決意の朝」へ向かう人達すべてを勇気づける名曲

辛い時 辛いと言えたらいいのになぁ 僕達は強がって笑う弱虫だ
淋しいのに平気な振りをしているのは 崩れ落ちてしまいそうな自分を守るためだけど
過ちも傷跡も途方に暮れ べそかいた日も 僕が僕として生きてきた証にして
どうせなら これからはいっそ誰よりも 思い切りヘタクソな夢を描いてゆこう
言い訳を片付けて 堂々と胸を張り 自分という人間を 歌い続けよう


自分が変わること、自分を受け止めることは、今日始めて明日出来るようになるような事ではない。

こんな自分に変わりたいけど、変われない。こんな自分は変わらないけど、変えたい。

そんな風に流れるもどかしい毎日に、この曲は凛と寄り添ってくれる。

それは、この曲の主人公も回り道しながら、迷いながら、「決意の朝」へと歩んでいるからだ。

だからこの曲は、ただ励ますのではなく、まるで同士のように横に並んでくれるのだろう。心を勇気づけてくれるのだろう。

Aqua Timezは、2018年いっぱいで解散してしまう。

でも彼らの音楽は、これからも多くの人の心に流れ続け、まるで背中をさすってくれている様に近くで温かさを放ち続けてくれるはずだ。

だから解散という「決意の朝に」向かって歩く、彼らに大きな感謝のエールを送りたい。

TEXT:柚香

Aqua Timez(アクアタイムズ)は日本のロックバンド。レーベルは、 エピックレコードジャパン。事務所は、Mama&Son。 メンバー、太志(Vo)、OKP-STAR(Ba)、大介(Gt)、mayuko(Key)、TASSHI(Dr)の5人。 2003年にバンド募集のインターネット掲示板を通して太志とOKP-STARが出会い結成。···

この特集へのレビュー

男性

たくや

2020/09/07 11:16

こんにちは、偶然、このページに辿り着きました

僕はAqua Timezが大好きです
解散した今も。
つい、さっきも聴いていました。

すごくいい文だなと感じました
がんばれじゃなくて隣で寄り添ってくれる
僕もいつもそう感じてます
だからなのでしょうか、いつもうまくいかない時や悲しいとき、明るい気持ちの時
色々な感情、太志さんの体験談が刺さるのは。

僕も発信をしています。
昨日、Aqua Timezについてもっと深堀したいなって思いました

世間では忘れ去られても
僕のこの好きっていう気持ちをアクアの魅力を伝えたいなって

太志さんの生き方、考え方、弱さを飾らず等身大で伝えてくれるところが好きです。

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