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”曲にすがっては自然と涙が溢れ、日々に励みをくれるバンド”プッシュプルポット「13歳の夜」 [しゅかしゅんYUNA Urock!第110回]

大阪☆春夏秋冬・YUNAの連載歌詞コラム[しゅかしゅんYUNA Urock!]。9月は引き続き「フェス」に関する話題テーマに続けていきます。今回は、プッシュプルポット「13歳の夜」です。

大阪☆春夏秋冬のYUNA(ユウナ)です。

Urock! 110回目になりました



いつのまにか8月が終わり9月になってしまいました。今年も夏を感じられたのか曖昧なまま時間だけが過ぎてゆくそんな日々。

大変な状況の中、これだけ幸せを感じられていることは本当に素晴らしい事なのに、正直どうしても心残りが続いています。やり切ってはいるのに、どうしてか? やり切れたと思うのが怖い。

そんな時でも助けてくれるのは音楽で、それと同じように自分たちのライブや音楽が、誰かの励みになっていれば嬉しいです。

そして今月も、このコラムを通して音楽を繋いでいけるよう感謝を込めてお届けしていきます。

先月は『フェス』というテーマで、イベントの主催や制作をされてる方々にインタビューする対談形式の4本でしたが、今月はそれに引き続く感じで、1999年より毎年10月頃に大阪のミナミの複数会場で開催されるFM802主催のサーキット・ライブ・イベント、『MINAMI WHEEL』をテーマに選曲していきたいと思います。

私達も過去に出演させていただいた事がありますが、このサーキット・イベントは1つの憧れでした。

どうすれば出演できるのか? どうすれば沢山の人に観にきてもらえるのか? このイベントに出演できた喜びをどう表現しようか? など、いつも以上に試行錯誤してステージに立っていました。

バンドそれぞれが想いを持つ中で、無事今年の開催を願ってこのテーマに決めて、ミナホに出演される全アーティストさんの曲を聴かせていただいた上で、個人的に紹介したいバンドを選ばせていただきました。



プッシュプルポット「13歳の夜」

石川県金沢市発4ピースロックバンド。

過去の体験や経験を覚悟に変え、今この瞬間に駆け出していくような歌詞が多く、どの曲を聴いても生きる意味を与えてくれるような強さを感じました。

歌詞の中では、 ‟僕”自身の思いを誰かに投げかけているはずなのに、間違いなくキャッチボールになって返ってきている。

そして何度も同じフレーズが繰り返されているはずなのに、ストーリーを描いているかのような歌声の強弱が人生そのもので、とても印象的でした。

不思議な事に、一度聴いただけで殴られたかのような傷跡が残るんです。

気持ちが落ち着いて治癒してきた傷痕も、その瘡蓋を何度も剥がすかのように繰り返し聴いてしまう。

曲にすがっては自然と涙が溢れ、日々に励みをくれるバンドだと感じています。

今回はそんなバンドが歌う「13歳の夜」という曲を選曲し、歌詞を紐解いていきたいと思います。



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突然すべて失ったこと あなたはありますか?
13歳の僕は受け入れるしかなかったし
ずっと笑って欲しいって思える人が
あなたにはいますか?
今日も僕は 支えられながら生きてる
≪13歳の夜 歌詞より抜粋≫
----------------

少しかすれた歌声は、今にも切れてしまいそうな1本の糸のよう。一文字一文字を優しく置いて、繊細な息継ぎで繋いでいくのです。

そして力強い声で‟生きてる”という言葉を残す。そんな始まりだけでもう涙が止まりません。

ここでは、弱さと強さが交差する歌詞が見られますが、13歳の頃どんな出来事がすべて失ったかのような絶望を導いたのでしょうか?

辛いことがあれば幸せな時のことを思い返して比べてしまいます。そんな時、自分1人を思い浮かべるのではなく、必ず誰かの顔も浮かんでくるはず。

そして、出来るならばその幸せな光景が永遠に続いてほしい、ずっと笑っていて欲しい、と思うのです。

いくつか疑問として投げかけているところからは、誰かに聞いてほしい感情や孤独を感じました。13歳のある日、相当な助けを求めていたのでしょう。

13歳から今まで生きてこられた環境への感謝と、周りの支えの必要性を人一倍感じられているのは、経験を積んだ事による心の成長なのかもしれません。

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突然すべて失ったこと あなたはありますか?
13歳の僕は受け入れるしかなかったよ
ずっと笑って欲しいって思える人が
あなたにはいますか?
今日も僕は支えられながら生きてる
≪13歳の夜 歌詞より抜粋≫
----------------

楽器の音に厚みが増し、リズミカルに歌い上げていくのは、先程とほぼ同じ歌詞。しかしほんの一部だけ違っていて、‟受け入れるしかなかったし”から‟受け入れるしかなかったよ”になっています。

勢い余って一気に言葉を伝える時、「〜だし、〜だし、、、」と次々に思いが溢れるように連続で言葉を被せている1回目に対して、2回目では一度文章が終わっているので、ほんの少し気持ちの落ち着きを感じます。

しかし、やっぱり何も解決はしていなくて、疑問は続くのです。
一体13歳の頃には何があったのでしょうか?

----------------
14時46分 いつもと違う鐘がなった
無責任の ”大丈夫 ”がやけに頭を駆け巡った
辛いけど あなたが笑うだけで僕は救われたようだ
≪13歳の夜 歌詞より抜粋≫
----------------

キーワードが増えていき、少しずつ結びついてきました。

‟14時46分”

‟岩手県出身のヴォーカル”

‟13歳で2011年を迎える”

これ以上は、何も言わずとも分かるかと思います。

‟大丈夫”という歌い方に気持ちが乗っているように、当時多くの人からこの言葉をかけられすぎて耳にこびり付いていたことでしょう。

励ましの言葉ながら耳に受け入れることなんてできずるわけもなく、言葉の無責任さに呆れすら感じていたかもしれません。

‟大丈夫?”と声をかけられると我慢していた涙が溢れる安心感がある時と、周りが見えなくなると安心させてくれようとした言葉に腹が立ってしまう時も。

辛さを拭うことはできないし、笑顔なんて自分の感情とは真逆なのに、人の笑顔で‟救われたようだ”なんて言えるのは、相当の強さと生きていく覚悟を持っているのでしょう。

そういう経験をしたからこそ、誰もが忘れてはいけない過去を歌にして伝えていくというのが、今後もバンドとしての強い味方になっていくはずです。

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あなたの表情 無責任な感情より響く
あなたに生かされているの
泣き叫んだ 忘れられない13歳の夜
≪13歳の夜 歌詞より抜粋≫
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がなっている歌声や涙声のような歌声がまっすぐ届いてきます。

無責任な感情より響いた‟あなたの表情”は、どんなものだったのでしょうか。

言葉がなくとも伝わるものは沢山ありますが、この歌詞の場合、存在自体が自分自身を救ってくれるものになっているのだと感じました。

思い出すだけで何度も心が泣き叫ぶけれど、それが踏ん張れる理由になっているのかもしれません。

13歳の夜に起きた出来事を、これからも忘れないために。



----------------
突然すべて失ったこと あなたはありますか?
13歳の僕は受け入れたんだよ
ずっと笑って欲しいって思える人が
あなたにはいますか?
今日も僕は支えられてたんだ
≪13歳の夜 歌詞より抜粋≫
----------------

先程一部変わっていた歌詞が、またここでも少し変化しています。

‟受け入れるしかなかったし”
     ↓
‟受け入れるしかなかったよ”
     ↓
‟受け入れたんだよ”

1番よりも力強くなったと感じられる歌声には、経験を積んだずっしりとした重みがあってバンド全体を背負っている重みに比例しているようにも感じます。

----------------
過去の記憶と にらめっこしても
表情ひとつ変わらない
怖いならば 一緒に笑っていこう
≪13歳の夜 歌詞より抜粋≫
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先程までの山口さん(ヴォーカル/ギター)とは違う人のような歌声が鳴らされています。

ただ感情をむき出しにしているのではない儚さと、がむしゃらさ。両極に振り切れるその声が曲のストーリーをより引き立たせているようです。

記憶や過去をどうにか変えてやろう、なんとかしよう、と思ってもそれを変えることはできません。

受け入れたとは言っても心残りはあるはずで、表情ひとつ変わらない記憶に悔しさや虚しさ、惨めさが生まれてしまう。

何かを失うって本当に怖いですよね。

自然に起こって止められないパターンか、意思によって変えることができるかもしれないパターンがありますがどちらも苦しい。

気持ちを固めてやってきたものがバラバラになっていく悲しさと切なさ。好きなことを選択したり自分を守るのはとても大切なこと。

しかしその選択が、誰かの人生を狂わすこともあって。

うーん、難しい。引き止めるのは息を止めるよりも難しいのかそんな気もする。意思と意思の対決。

この先、どうやって生きて行ったら良いんだろうか?

その疑問を抱いたことがある人は沢山いるはずです。ただ、自分の人生を自分に託しきる自信がないのに何をすれば?

そんな人にも答えをくれているのがこのバンドで、僕が笑顔に救われたように、あなたを救う事だって出来るかもしれないという思いが感じられますし、‟一緒に笑っていよう”の言葉が、その気持ちを楽にしてくれるのです。

----------------
突然すべて失ったこと あなたはありますか?
13歳の僕は受け入れるしかなかったし
ずっと笑って欲しいって思える人が
あなたにはいますか?
今日も僕は

あなたの表情 無責任な感情より響く
あなたに生かされているの 泣き叫んだ
駆け出した 13歳の夜
≪13歳の夜 歌詞より抜粋≫
----------------

少しでも気持ちが楽になるのならばいくらでも泣けば良い。そう思います。

人を助けては人に助けられるという事が釣り合うかはわからないけれど、人はその繰り返しで支え合っていけるのです。

語り継がれ、受け継がれていく過去の出来事が、大切なものを繋いでくれるはずです。

そしてこのバンドが、この歌が、今駆け出すきっかけをくれた。そんな気がします。



どうでしたでしょうか?

ミナホではプッシュプルポットのどんなライブが観られるのか。どんな思いを受け取れるのか。

すごく楽しみです。

皆さんのオススメバンドや、見てみたいバンドなんかも是非レビューに書いていただき、今月のテーマを盛り上げてもらえたらと思います!

ではまた。

You rock!!

しゅかしゅんINFO

【リリース】
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この記事を書いた人



YUNA(ユウナ)

1999年5月26日生まれ(双子座 /A型/一人っ子)

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5人組ガールズ ダンス&ヴォーカルユニット! 圧巻の歌唱力と、4人の個性溢れるコーラス&ダンスワークで、ROCK・ファンク・POPS・バラードと幅広い音楽を、歌とダンスで表現する驚きのパフォーマンス。音源だけでは満足できない、本物の LIVEアーティスト。 ▷大阪☆春夏秋冬オフィシャルHP ▷大阪☆···

石川県金沢市発4ピース激熱ロックバン​ド。 ​Vo.Gt.山口大貴の二面性を持つ歌声とエネルギー溢れるパフォーマンスにより、ときには背中を押し、ときには寄り添うような楽曲が特徴。 STAY FREEEE!!!!!!!!所属。 https://pushpullpot.aremond.net/ https://twitter.com/pushpullpot

この特集へのレビュー

男性

黄色いカラス

2021/09/02 19:34

突然すべて失ったこと あなたにはありますか?

13歳だった頃の自分にこれを問われて答えられる気がしないし、今でもそれに応えられる自信がない。

ボーカルの歌い出しはどこか大人びていた声が曲が進展するにつれて当時の記憶が鮮明に蘇りはじめて最後には13歳の山口さんが歌っている様に聞こえた。
当時は受け入れるしかなくてやり過ごせていた痛みや苦しみも思い出せば思い出すほど怒りや悲しみが込み上げてくる。

少しずつ変化する歌詞も思い出すにつれて当時のことを鮮明に思い出して感情も溢れ出てくる様を表現しているようで胸に響いた。

自分はまだ突然何かを失ったことはないし失いたくはないけれど、そんな出来事が人を強くするのかもね。

それとミナホで見たいのは「どんぐりず」
肩の力を抜いてたまにはラップもいいですよ(笑)

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