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ONE OK ROCK「Broken Heart of Gold」は優しさゆえの葛藤を描いている?歌詞の意味を考察

映画『るろうに剣心 最終章 The Beginning』の主題歌であるONE OK ROCKの『Broken Heart of Gold』。シリーズ完結作の主題歌にふさわしい、緋村剣心の心に寄り添う『Broken Heart of Gold』の歌詞の意味を考察します。

映画「るろうに剣心」と共に歩んだ同志・ワンオクだから描ける最後の主題歌

▲ONE OK ROCK - Broken Heart of Gold [Japanese Version LYRIC VIDEO]
2021年5月28日、世界で人気のロックバンド・ONE OK ROCKがニューシングル『Broken Heart of Gold(読み方:ブロークンハートオブゴールド)』を配信リリースしました。

この楽曲は映画『るろうに剣心 最終章 The Beginning』の主題歌として書き下ろされたミディアムバラードです。

『るろうに剣心』とONE OK ROCKといえば、映画全作で主題歌を担当するいわば同志のような間柄。

完結作となる本作のタイトルに冠されている「The Beginning」は映画1作目の主題歌のタイトルでもあり、深い繋がりを感じさせます。

また、ボーカルのTakaは物語の主人公「緋村剣心」役で主演を務める佐藤健と親友だそうう。

『るろうに剣心』の完結作であり、緋村剣心の始まりを描いた本作の主題歌を担当できるのは、一番身近で作品に触れてきたONE OK ROCKしかいません。

そうして書き上げられた『Broken Heart of Gold』について、Takaはインタビューの中で「剣心の心情を掬ってあげるような気持ち」で制作したと語っています。

ほぼ全編英語詞のため和訳を紹介しながら、『Broken Heart of Gold』の歌詞の意味を考察していきましょう。

正義と良心の間で揺れる剣心の葛藤


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I move along
Something's wrong
I guess a part of me is gone
≪Broken Heart of Gold 歌詞より抜粋≫
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この楽曲の主人公はもちろん剣心であり、彼の苦しい胸の内が綴られているのが特徴です。

1番の前半は「僕は前へ進む」というポジティブそうなフレーズから始まるのに、「何かがおかしいんだ 僕の一部はなくなってしまったのかな」と不安そうに続きます。

この流れからすると「前へ進む」とは単なる行動を指していて、その心の内は一部を失ったように空虚な状態であると解釈できますね。

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Skies are gray
Start to fade
I guess I threw it all away
≪Broken Heart of Gold 歌詞より抜粋≫
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後半では「空は灰色で 色褪せ始めている」と歌われ、見える景色さえも暗くなってしまうほど気持ちが落ち込んでいます。

「僕は全てを投げ出してしまったのかな」と、自分自身のことでありながらどこか他人事みたいに漠然と考えているようです。

映画完結作で描かれているのは、殺人剣で多くの敵を討ち果たす伝説の“人斬り抜刀斎”と呼ばれていた頃の剣心。

時代を変えようとがむしゃらに行動し続けてきたものの、本当の彼は争い事を好まない性格だと思われます。

自分の持つ正義と人を殺める度に感じる良心の痛みとのギャップに苦しみ、ひとり葛藤していたのかもしれません。

何が正しく、どうするべきなのか分からない。そんな剣心のもどかしい心情が明かされているのでしょう。

「Broken Heart of Gold」はどう和訳する?


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Sometimes I just wanna quit
Tell my life I'm done with it
When it feels too painful
Sometimes I just wanna say
I love myself but not today
When it feels too painful
≪Broken Heart of Gold 歌詞より抜粋≫
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この曲で最も重要なサビの部分からは、剣心がいかに苦しんできたかが伝わってくるでしょう。

最初の2文で「時々僕はただやめたくなる 自分の人生に終わりを告げたくなる」と歌っています。

いっそ自分の人生を終わらせて、この苦しみから解放されたいと願ったことがあるようです。

さらに、「時々僕はただ言いたくなる 僕は自分が好きだけど今日は違うと」と続きます。

弱い人を守りたいという正義のために生きる自分を認めつつも、人を斬り続けている自分を認めたくはないと矛盾した思いを吐露していると考察できるでしょう。

どちらの考えにも「あまりにも苦しいと感じる時には」という一文が付いているのが印象的です。

人への愛情や思いやりがあるからこそ、孤独に世と戦ってきた剣心は、

極限まで自身を追い詰め、自暴自棄になりかけながらも正義という信念によってのみ生かされてきたのだと感じさせます。

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I smash my broken heart of gold
≪Broken Heart of Gold 歌詞より抜粋≫
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ここでタイトルのフレーズが繰り返されます。

「a heart of gold」という表現は直訳すると「金の心」となりますが、英語のイディオムでは「心優しい人」や「思いやりのある心」という意味です。

つまり、このフレーズは「僕は自分の壊れた優しい心を粉々にする」と訳せます。

人を斬り続けることで壊れてしまった心はもう意味がないから、まだ胸の奥で疼く良心を機能しなくなるまで砕いて、ただ正義のためだけに生きようと自分に言い聞かせているかのようです。

残酷ではあっても、剣心の正義が強い信念に変わった決意の瞬間に立ち会ったような気分にさせられますね。

優しいからこそ葛藤は続いていく


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Tired soul
Dying hope
I guess I'm running out of road
I guess I've got nowhere
≪Broken Heart of Gold 歌詞より抜粋≫
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どんなに強く決意しても、自身の生来の優しさが大きな壁になることがあるでしょう。

2番にはそんな人の心の複雑さが表現されています。

「疲れた魂 絶えつつある希望」とあるように、身も心も疲れ果て、先行きの見えない現状にかつて持っていた希望さえ消えかけている状態です。

だから、「僕は道の外を走っているのかな 僕はどこにもたどり着けなかったのかな」と自問自答を繰り返しています。

よりよい世にしたいという思いがあるとはいえ、人道的ではない行為を続ける自分に、

これは本当に正しいことなのか?

結局何も成し遂げられていないのではないか?

と、剣心は苦しみ続けているのでしょう。

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もう消えそうで
弱り切った声で
また振り払って
でも feels like I'm in hell
I'm in hell
≪Broken Heart of Gold 歌詞より抜粋≫
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3番で初めて、唯一の日本語詞が登場します。

疲れや苦しみで今にも絶えてしまいそうになりながら、何とかまた決意を口にして邪魔な考えを「振り払って」持ち堪えているようです。

しかし、「地獄にいるみたいだ 僕は地獄にいる」と追い込まれた胸の内を明かしています。

正義を支持する日本語詞と本音がこぼれる英語詞の対比によって、剣心の葛藤がより際立っていますね。

人のために行動したいという思いも、人を傷つけたくないという思いも、どちらも正しいものです。

だからこそ、その両方の間で揺れ動く剣心の優しさと、自分自身を失ってでも正義のために生きようとする芯の強さに惹き付けられるのかもしれません。

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I smash my broken heart of gold
≪Broken Heart of Gold 歌詞より抜粋≫
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何度も繰り返されるこの言葉が楽曲のタイトルにもなっていることを考えると、「壊れた優しい心」が剣心を象徴する言葉であると思えてきます。

優しいからこそ壊れた心、壊れているけれどどこまでも優しい心が、彼の愛される人柄を作っているのです。

「Broken Heart of Gold」は「るろうに剣心」の原点


Takaは「エンディングの“Broken Heart of Gold”を聴いたらもう一度、第1作目の『るろうに剣心』に立ち返ってほしい」とコメントしています。

『るろうに剣心 最終章 The Beginning』はシリーズ完結作でありながら物語の始まりでもあるため、『Broken Heart of Gold』も剣心の始まりの曲と言えるでしょう。

歌詞で描かれた葛藤があったからこそ、彼が緋村剣心として仲間と共に生き、笑い合える今がある。

『るろうに剣心』を語る上で決して忘れてはいけない原点を、楽曲から感じ取ってくださいね。

2005年にバンド結成。エモ、ロックを軸にしたサウンドとアグレッシブなライブパフォーマンスが若い世代に支持されてきた。 2007年にデビューして以来、全国ライブハウスツアーや各地夏フェスを中心に積極的にライブを行う。 これまでに、武道館、野外スタジアム公演、大規模な全国アリーナ···

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