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【インタビュー】足立佳奈、新作に込めたのは探求者であり続けること

SNSでの合計フォロワーが130万人超え、既発曲のストリーミング総再生数は1億4500万回を突破するなど、若者を中心に支持を集める足立佳奈。2022年8月からデビュー5周年のアニバーサリーイヤーに突入している彼女が、4枚目のオリジナルアルバム『Seeker』をリリース。「自分の気持ちを落ち着ける色。だからいつも身に着けるようにしています」というグリーンをひとつのコンセプトにしたジャケット写真は、衣装はもちろん、カメラマンのセレクトまで本人からの発信だったという。ほんわかした陽だまりのように、心地よいテンポで話す足立佳奈に、アルバム『Seeker』について聞く。

5周年イヤーに思うこと

──アルバム『Seeker』について伺います。タイトルはどこから?


足立佳奈:Seeker(シーカー)って、探求者って意味なんです。日々変わっていく自分がいるって、いいことだと思いながらも、逆に変わらないことのほうが美しいものなんじゃないかなっていうのも、ずっと思ってていて。そんな中この言葉に辿り着いて、ストンと自分の中で納得するものがあったんです。変わっていくっていうのも、ひとつひとつを探求してることなんだって思ったら、それはとても魅力的なことだと思うことが出来たんですね。それで『Seeker』というタイトルにしました。


──こうやって改めてアルバムになると、昨年の連続リリースのすごさがわかりますね。9カ月連続って、なかなかないと思うんですよね。

足立佳奈:去年の連続リリースでは、いろんなアレンジャーやクリエイターの方と一緒に組ませてもらって、様々なエッセンスをもらったんですね。改めて振り返ってみてようやく気付くっていう話になるんですけど(笑)……あの時はラップに挑戦してたんだとか、この時は身体を揺らせるようなジャンルを取り入れることが出来たんだとかあって。いろんな人達との出逢いによって、音楽の幅が広がったと思いますね。自分の中に自然に生まれてくる音楽って、昔から聴いてた音楽に影響を受けていると思うので、今っぽい間の取り方とか……なかなか自分からは出てこないんですよ。

新しいエッセンス

──今っぽい間というのは、例えばShin Sakiuraさんが得意とするようなチルっぽいビートとか?

足立佳奈:そうですね。今回のアルバムには、もちろんそういう間の取り方じゃない方がいい曲もありますけど、私は結構前から、そういう間の取り方の曲……そういうエッセンスを入れたいなと思っていたんです。そういう曲に憧れもあったんですよね。それがShin Sakiuraさんとご一緒することで取り入れることが出来た。すごく嬉しいですね。自分のデモをShin Sakiuraさんにお渡ししたら、まったく違う感じの楽曲になって返って来て。驚きましたし、すごく楽しかったです。


──それは、Shin Sakiuraさんと一緒にやった『Me』『WALK』『Life Goes On』の3曲のこと?

足立佳奈:そうです。私が曲を作る時は、ギターひとつでデモを作るので、そのデモの段階からは想像できなかったチル感だったり、あとはテンポ感、ノリ方がありましたね。今言ったような感じの曲って、今の自分にはもしかしたらちょっと……正直に言うと、難しいかなと思ってて……一歩踏みとどまってた自分がいたんですけど、Shin Sakiuraさんの存在によって、それが可能だって強く実感出来たんですよね。こう……キラキラしましたね。

1か月間「も」という感覚

──去年はアーティスト足立佳奈にとって、変化の1年でしたか?

足立佳奈:そうですね。いろいろ濃かったです。2~3年かけてリリースさせてもらう数の楽曲をこの半年ちょっとで、グッと凝縮してやらせてもらって。いろんな人とやることが挑戦だったし、すごくいい経験になりましたね。9カ月連続リリースも、すごく楽しかった。まったく苦じゃなくて。ただただ、やりがいがあるな、嬉しいなと思って作ってましたね。1曲に対して、1カ月間も時間があるので、じっくり丁寧に、書きたいものがちゃんと書けました。


──え?今「1か月間も」っておっしゃいましたけど、以前はもっと早いペースもあったってことですか?

足立佳奈:そうですね。アルバムの制作って、1か月に4曲とか。しかも重なって並行で動いていくんです。今回は1か月間1曲にじっくり向き合えたから、「どうしようかな、こうしようかな、あんなことも出来るかな」って考えることも出来ましたね。


──「書きたいものがちゃんと書けた」とおっしゃいましたが、そこを具体的に言うと?

足立佳奈:より、自分のリアルを書くようになりました。自分のことを書くってことは、俯瞰で観れてるのかなって。本当にいろんな人とやらせていただいたからこそ、知れたことがたくさんあって。例えばなんか……この音はポップにしたい時にはあまり使わない方がいいんじゃないかなとか、そういうのがわかって、あぁ、なるほどと思って。


点と点が線になる瞬間

──今まで感覚的だったものが、知識的なものに変換された感じですか?

足立佳奈:そうですね。感覚と……ちょっとした知識。まだすごい複雑な知識はわからないですけど、ある一言で「あ、じゃあ、あの曲のあの時のあれって、こういうことだったんだ」とか、点と点が結びついて線になる瞬間が結構多くて。


──それは、かなり楽しいですね。うらやましい。

足立佳奈:はい(笑)。楽しいですね。


──アルバム収録の新曲2曲『今が一番ここちいい』と『カンパイ』についてはどうですか?

足立佳奈:この2曲は、去年の11月~12月で作った曲です。『今が一番ここちいい』は、暖かくてシンプル。でも深みのある音楽にしたいっていうのがあって。1対1の空間……イヤホンという空間で聴いた時、目の前で歌ってる、隣で歌ってるような。そう感じてもらえたらいいなと思って作りました。『カンパイ』は、去年の10月15日に、出身の岐阜で初めて凱旋ライブをしたんですけど、当日の夜、ライブが終わってから地元の友達とご飯を食べる時間があって。その時に、この時間ってすごく楽しいなぁ、書き留めておきたいなぁと思ったんです。

だから、リアルを全部そこに注ぎこみました。青春時代に戻してくれるというか、いつも彼女たちに会うと、私ってこうだったなぁとか、いろいろ思い出せる。それはすごく、居心地のいい空間なんです。『カンパイ』の編曲は、ライブのバンマスをやってくれている(森谷)優里くんにお願いしたんですよ。優里くんは、凱旋ライブでも一緒に演奏してくれたので。実際のレコーディングメンバーもバンドメンバーにお願いして、なんかすごく……思い入れのある1曲になりました。



──凱旋ライブの後、旧友と食事をし、寝て、翌日起きたときにどんなことを思いました?

足立佳奈:嬉しさもありましたけど……1番は心地良さ。起きたくないような、でも起きて、この今の気持ちをすぐ書き留めたいような、そういう心地良さがありました。

大事にしている心地良さ

──足立さんによって「心地良さ」は、音楽を作る際に大切な要素になってます?

足立佳奈:大切だと思いますね。心地いいって、感覚で思うものだと思っているんですけど、その感覚をすごく頼りにしていて。一旦、知識とかはおいておいて、直感で……このマイクの音、私はこっちの方が好きですとか、このアレンジはこっちの方が好きです、とか。好きって、自分が思う心地良さなんですけど、それを大事にしていくとなんか、本当にすべてが心地よくなってなるっていう。


──そうやってチョイスしていくと、まとまったものが音楽になっている?

足立佳奈:そうですね。……なんか嫌ですっていうよりかは、好きですをたくさん見つけてますね。そうすると自分もハッピーになれるし。


──「好き」がすぐ見つからないときはどうしてます?もっと好きな音がありそうって感覚の時。ちょっと意地悪な質問になってすみません!

足立佳奈:いえいえ(笑)。メロも曲も、どっちも響かない時っていうのがあるんです。なんかまだ好きが足りないというか、好きが納得できないというか。


──あぁ、心地よさまで到達してないって感覚ってことですね。

足立佳奈:そうです。そういう時は、心地よさのために作り直す。自分の中での心地良さを知っていれば、自然とそこに導かれるというか。作り直しても出来ないってことはないんです。絶対に前より心地良いものになる。自分の中でちゃんと心地良さを知っていると、その時にもった感情を忘れないからだと思うんですけど。


──なるほど。では、足立さんのいう心地良さを、日常に例え、具体的なシチュエーションで教えてもらえますか?

足立佳奈:大の字になって床に寝られるくらい。何ていうんだろう……本当にすべてをさらけ出してしまってもいいくらいの状態。そういう感覚ですかね。


新しい声を発見

──レコーディング、特に歌入れの時の様子を教えてください。例えば『カンパイ』は?

足立佳奈:『カンパイ』は友達を思い浮かべながら歌いましたね。レコーディングしながら、大きな声で「カンパーイ!」って言ってました(笑)。


──ははははは(笑)。楽しそうですね。では『Seeker』は?

足立佳奈:『Seeker』は、このアルバムの中で1番悩んだ曲で。こういう声のトーンでこの力強さで歌ったことが、これまで無かったんですよね。絶妙な力強さがある曲だし、声の低さとかもそうですし。歌入れの時、自分でもどのくらいの加減で歌ったらいいか、ちょっとわからなくなって。歌入れの時は1回ブースを出て、スタッフさんの意見をいろいろ聞いて、そのアドバイスを受けてブースに戻る前に何度も歌い直して。どんどん調整していって、このスタイルになったんです。

それで歌入れが終わったのを聴いて、なんか新しい声を見つけたなぁって自分でも思いましたね。地声に近い声で歌っているかなって。私、結構地声と歌声が違うねて言われ続けてきたんですけど、これは地声プラスはきはきとした絶妙な力強さがあるんじゃないかな、と。地声と歌声、違うねって感じじゃないなって。そこが新しいと思ってます。

▲足立佳奈『Seeker』Music Video

──DISC1収録曲の中から、1曲選んで1番好きな歌詞を教えてください。

足立佳奈:そうですね……(真剣に考え中)……やっぱり『今が一番ここちいい』の<今が一番ここちいい>ですね。



──ありがとうございます。これからも、新しい心地良さが増えていきそうですね、お話を伺っていると。

足立佳奈:そうですね。そうしたいです。


──だとしたらですよ、これからの方が、音楽作っててもっと楽しい……ことになりそうじゃないですか?

足立佳奈:そうですね、まさに(笑)。私もこれからがすごく楽しみです。


──3月からリリースツアーも決まってます。

足立佳奈:ライブでは、DISCに入っている音とは、違うサウンド感で表現していけたらいいなと思っているので、是非楽しみに待っていてほしいです。


──アルバム『Seeker』の曲は、バンドサウンドにしたら、どうなるんだろうって曲も多いですもんね。

足立佳奈:そうなんですよ。だからどうなるかも含めて、そこも私自身、とても楽しみではありますね。

TEXT 伊藤亜希

岐阜県海津市出身のシンガーソングライター。 2014年、LINE×SONY MUSICオーディションで12万5094人の中からグランプリを獲得し、2017年8月メジャーデビュー。 Twitter・Instagram・TikTok・LINEなどのSNSフォロワーが計130万を超え、リリースした楽曲のストリーミング総再生数は1億3500万再生を···

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