きゃりーぱみゅぱみゅの『にんじゃりばんばん』で、観客は忍ぶ恋心に拍手をおくっている



きゃりーぱみゅぱみゅは、言わずと知れた、奇抜な衣装で原宿のアイコンとして知られるアーティスト。そんなきゃりーぱみゅぱみゅの2013年発表のシングル『にんじゃりばんばん』は、多くのきゃりーの曲がそうであるように、言葉の響きの面白さを重視している楽曲です。覚えやすい「にんじゃりばんばん」という不思議なフレーズが耳に残りますね。



『にんじゃりばんばん』は、よく聴くとメロディが東洋風で、どこか切ない感じがすることが分かります。東京スカパラダイスオーケストラも、自身のライブで『にんじゃりばんばん』のメロディを口笛でカバーしたことがあるほど。メロディがまず特徴的なんですね。



この曲は、ヨナ抜き音階。いわゆるドレミファソラシドの中で、ドから数えて4番目(ヨ)の「ファ」と7番目(ナ)の音がない音階で作られている曲です。日本にある多くの曲が、この音階で作られています。例えば、坂本九の『上を向いて歩こう』や、美輪明宏の『ヨイトマケの唄』がそう。きゃりーぱみゅぱみゅの『つけまつける』もこれにあたります。どこか切ないこのヨナ抜き音階は、日本人に親しみやすいんですね。

“鮮やかに 恋して にんじゃりばんばん
なんだか にんじゃりばんばん
bloom bloom bloom 花びらも舞う
飛んでけ にんじゃりばんばん
常識を変えたら 驚きが日常に”


この曲は「恋して にんじゃりばんばん」とあるように、忍ぶ恋の歌になっています。「bloom」は、「花」の意味。「ぶんぶんぶん」と発音して「ばんばん」と音を揃えているだけでなく、「花びらも舞う」歌詞の意味も揃えているんですね。恋して心に花が咲く様を表現しています。「常識を変えたら」という歌詞が出てくるほど、常識を変えるほど歌詞の主人公にとって、「キミ」は影響力のある相手なんですね。

“どうして にんじゃりばんばん
愛して にんじゃりばんばん
Ring Ring Ring 鳴らないメロディー
ふんわり 煙に巻き
空を駆けるのは にんにんにん
キミだけだから”


続いて、ここでは「どうして」「鳴らないメロディー」という歌詞が登場します。歌詞の主人公が「キミ」に対して恋い焦がれているが、「キミ」から着信のメロディーは鳴らない。「キミ」は、自分を煙に巻き、空を駆けてどこかへ行ってしまう。「キミ」が自分から遠い存在であることが分かります。

“見えていたものが 七色に
変わる時 キミはきっと
手をのばしても 触れない光のようだから
どんな色にもならないで
キミは街を染めるよ
広がってゆくね 転がる巻物みたいな
道を作る”


「キミ」「手を伸ばしても触れない」相手です。見えていた景色が七色に変わるほど、主人公は「キミ」から影響を受けていますが、「キミ」はずっと遠いことが分かります。「キミ」「街を染める」し、「道を作る」ほど影響力をもつ存在。そんな「キミ」を主人公は遠くで見守っているんですね。

忍者とは、忍ぶ者と書きます。「キミ」は忍者のように人を煙に巻き、空を飛ぶほど行動力がある存在。であるのと同時に、歌詞の主人公もまた、忍ぶ恋心を持っている者なのです。この曲は、ライブにおいて「ばんばん」のところで、観客がばんばんと拍手します。観客は、知らず知らずのうちに、歌手の主人公の「忍ぶ恋心」に拍手をおくっているんでね。

曲の送り手も受け取り手も、歌詞の主人公の心情についてはいちいち考えないでしょう。しかし、ヨナ抜き音階のどこか切ないメロディや観客の何気ないクラップが、歌詞の世界を広げているのです。この曲は、刀の効果音を入れるようなギミックを入れており、ユニークさに注目が集まりがちです。しかし、そういったユニークなギミックだけで終わらず、日本人の情緒にうったえる構造を持つ凝った楽曲。

だからこの曲はずっと好かれているんですね。


TEXT:改訂木魚(じゃぶけん東京本部)

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