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Tommy february6の『SUGAR ME』に秘められた「病みかわいい」世界観とは?

Tommy february6とは、the brilliant green(通称ブリグリ)のボーカリスト、川瀬智子のソロプロジェクトだ。80年代テクノポップアイドルをコンセプトにして、2017年までに4枚のアルバムを発表している。ドラマ『奥様は魔女』やアニメ『Paradise Kiss』の主題歌も務めていた。
今回はTommy february6のアルバム『TOMMY CANDY SHOP SUGAR ME』より、『SUGAR ME』に焦点を当てて書こうと思う。



Many Many Candies here
目がまわるまで 見つめてLollipop
きっと夢心地になる
SUGAR ME SUGAR ME ME
まるで恋みたい




『SUGAR ME』は一見、ポップでかわいくて、何も考えずに楽しく踊れる曲だ。曲調も明るくて、曲によって歌い方を変えるTommyが、とびきり甘い声で歌っている。

けれど、歌詞を解読してみるとちょっと怖いことに気づく。例えば以上の歌詞なら、「Lollipop」「目がまわるまで 見つめて」と歌っている。ロリポップとは、キャンディと聞いて思い浮かべるような、ぐるぐるのうずまき状の飴のことだ。棒付きキャンディなどと和訳されることもある。

そのロリポップを「目がまわるまで」見つめれば「夢心地になる」というのだ。ちょっとヤバい何かなんじゃないか、と疑ってしまう。しかもそのヤバい状態を「まるで恋みたい」と形容するのだ。冷静になって読み解いてみると、かわいいけれど裏では結構こわい印象になる。

かつてツイッター上でTommyは、この曲のことを「かわいくて病気」と解説していたことがあった。「かわいすぎて病気」ともとれるし、「かわいく見せかけておいて実は病気」とも読み取れる。

同様にツイッターでは、『SUGAR ME』の和訳を「(私を)甘くして」と書いていた。「甘くして 甘くして」と繰り返すことで、「かわいい」の中の「病気」を加速させている。甘すぎるロリポップは体にも悪い。どんどん甘くなるごとに、「かわいい病」が進行してしまう。


Who Cares 忘れたいの 煩わしい事は
Let’s Dance 何もかもが 不確かな世界よ



ここでいう「不確かな世界」とは、おそらく現実を指している。「煩わしい」現実からは遠ざかって、「踊ろうよ」と歌詞の主人公は私たちを誘っているのだ。
実はこの曲の歌い出しでは「まだ眠りたくない」という歌詞があるのだが、2番の歌詞にはこうつづられている。

SUGAR HIGH SUGAR HIGH HIGH
枕を抱えて
Babies! Yeah! 遊びにいこう
深呼吸して 不安に負けないくらい
すてきな夢を作り出すから



眠りたくなかった主人公は、「枕を抱えて」「遊びにいこう」と誘いかけてくる。「枕を抱えて」ということは、行き先はおそらく夢の世界なのだ。「煩わしい」現実世界から、「すてきな」夢の世界へと、キャンディが連れて行ってくれる、と歌っている。


「SUGAR ME」だった歌詞は、「ME」がとうとう「HIGH」になってしまった。甘くして甘くして、ハイになって夢の世界に行こうよ。そんなことを歌っているのだ。

やっぱりこの曲の中のロリポップは、ヤバいなにかなんじゃないだろうか、と疑ってしまう。そういえば、Tommy february6の裏設定はアルコール中毒だ。「かわいくて、しかも病気」という世界観は、Tommy february6のソロ活動全体にちりばめられたテーマでもある。


そういえば井上陽水の『夢の中へ』も、探し物の正体は実は……という解釈だ。「夢」という言葉の中に、様々な深読みできる要素を詰め込むのは、邦楽の現場にはよくあることなのかもしれない。

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