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最終電車はどこか切ない?「パスピエ/最終電車」

2009年に結成されたポップ・ロック・バンド「パスピエ」。可愛らしくポップでありながら一度聞くと離れなくなるような楽曲で多くの人を魅了している。
特徴的なキーボードと軽快な女性ボーカルで女の子の甘酸っぱい気持ちを歌ったのが2012年に発売されたアルバム「ONOMIMONO」に収録されている「最終電車」である。翌年には泉まくらとのコラボレーションバージョンも発売され、話題となった。好きな人が乗って行こうとする最終電車を前にし、女の子が素直になろうとする瞬間をセンチメンタルに歌い上げている。

パスピエ「最終電車」



「嘘と誠がぶつかる交差点で 
 人の波は冷たいんだね
 溺れないように
 ちゃんと手を繋いでおいてよ
 排気ガスは有害だわ」


“嘘と誠がぶつかる交差点”という興味のそそられる冒頭の歌詞だ。恋人に嫌われないような偽りの自分(嘘)と本当の素直な気持ち(誠)がぶつかりあっていても、周りの人波は関係なく流れている。

この楽曲では感情の変化が鮮明に描かれているが、周りの風景からも主人公の気持ちが感じられる。“人混みに溺れないようにちゃんと手を繋いでおいてほしい”というのがとても可愛らしい。

伝えられない本音をポップに歌う

「最終電車に飛び乗る
 キミの背中がキライよ
 乗り遅れちゃえばいいのに
 “一寸先は闇”なんちゃって
 ああ もう何にも言わない
 だって少し悔しいの
 ポーズをとって見上げた 
 私 今うまく 笑えてるかな」


伝えられない本音がポップに歌われているサビだ。「最終電車に乗り込まないで一緒にいてほしい」と想っているが、悔しくて本音が言えない。“一寸先は闇”という言葉のように“今最終電車に乗ってしまうともう会えないかもしれない”という不安すら過ってしまうのだ。この本音を言えない悔しさは女性の“プライドの高さ”だけからきているものではない。

相手のことを想っているからこそ、本当の自分を見せるのが怖くて素直な気持ちが言えないのだろう。そしてそんな気持ちすらも気づかず、ためらうことなく背中をむけて最終電車に飛び乗っていく。自分の気持ちを我慢していることを気づかれないように「上手く笑えてるかな」と歌っているのだろう。

二人の間の“境界線”

「ちがうの 言葉が今 ここまで出かかってるの ちょっと待ってて」

そして勇気を出して伝えようとする。素直になってありのままの自分を受け入れてほしい。だからこそ“ここまで出かかっているの ちょっと待ってて”というフレーズからもどかしさが伝わってくる。

「最終電車に飛び乗る 
 キミの背中がキライよ
 黄色い線の内側 境界線なら取っ払って
 あぁもう言ってしまいたい
 「今夜一緒にいたいの」
 最初で最期のお願いだから ねぇ
 どうか叶いますように」


ヒロインの感情の変化を鮮明に歌いながらも、見える景色からも気持ちが伝わってくるところもこの曲の魅力だろう。冒頭では“嘘と誠がぶつかる交差点”と歌っていたが最後は“黄色い線の内側 境界線なら取っ払って”という表現がでてくる。駅のホームにおける“黄色い線”はアナウンスでもよく耳にするように、超えれば電車のスピードも感じてしまうほど近い距離になる。そんな二人の間の“境界線(=気遣いや上辺の表情)”もすべて無くして愛し合いたいというまっすぐな祈りだ。

2009年に成田ハネダ(key)を中心に結成。バンド名はフランスの音楽家ドビュッシーの楽曲が由来。 卓越した音楽理論とテクニック、70s~00sまであらゆる時代の音楽を同時に咀嚼するポップセンス、ボーカルの大胡田なつきによるMusic Videoやアートワークが話題に。 11年に1st ミニアルバム『···

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