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KinKi Kids なら表現できる!一流の音楽家が彼らに託す訳とは!?

KinKi KidsはKinKi Kidsを超えていく。常に自らの作り上げた“KinKi Kidsのクオリティ”を更新し続ける彼らのベスト。ベストアルバムを作るタイミングがだんだん早くなる傾向にある音楽業界でも、本当の意味でベストだといえる作品がどれだけあるだろうか。

KinKi Kids『The BEST』「Disc 3こそ聴いてほしい 大人KinKi Kidsの魅力」


彼らなら言える。だからこその堂々のこのアルバムタイトルだろう。

20周年を迎えた2017年、時系列にデビュー曲からシングル曲を収録したKinKi Kidsのベストアルバム『The BEST』だ。

Disc1~Disc2まではテレビ披露時にもよく使用されるおなじみの曲が多いが、実はDisc 3で見せる大人のKinKi Kidsにしかだせない世界観を携えた楽曲こそがまさに彼らの『The BEST』といえる、“今のKinKi Kidsの最上のもの。”を感じることができる。

その魅力をこの4曲から紐解いていこう。

スワンソング


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青空に目を伏せて
ぼくは船に乗り込む
桟橋を走ってる
君の髪 雪崩れて
死にゆく鳥が綺麗な声で
歌うように波が泣いた
≪スワンソング 歌詞より抜粋≫
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デビュー曲『硝子の少年』を作詞した松本隆。KinKi Kidsはアイドルではなくアーティストだと語る彼が大人になったKinKi Kidsに贈るその世界は一本の映画である。

船・桟橋・鳥・港…およそ現代感から隔離された、現実感のない舞台設定にこんなにもリアルな感情を生み出せるのは、今KinKi Kids以外に誰ができるのだろう、というくらいの完璧な宛て書きだ。

こういった映画のような世界観もKinKi Kidsなら必ず表現してくれる。そういった作詞家からの信頼感があるのだ。

悲恋がどうしても似合ってしまう二人。別れ際を描く作品は今までも多く発表してきているが、別れを確信して「船に乗り込む」といったシチュエーションがリスナーにとってもおそらく本人たちにとっても「あるある」ではないはずなのに、伝わってくる痛みだけがこんなにもリアルだ。

そんな、経験したこともないような場面でさえ、楽曲で経験させてしまう。歌い出しから一気にシーンへと引きずり込み、1曲中、一切現実には戻さない作り込まれた世界。

これを表現できるのはエンターテイナーとして、歌い手としての徹底した世界観への忠誠。純粋に音楽に向き合っている姿勢。それにともなう実力。

すべて合わせ持ったこの二人だからということに気付かされるはずだ。

変わったかたちの石


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いつだっただろう?
生まれた街の川で
変わったかたちの
石を拾った
≪変わったかたちの石 歌詞より抜粋≫
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秋元康が見抜くKinKi Kidsが隠し持っているものとは。

乃木坂46、欅坂46、にも通じる「人の日記を読んでいるような感覚」。その歌い手の人間性を作品に透かすような、「さすが」といいたくなる秋元康のプロデューサー目線のKinKi Kidsがそこにいる。

決して群れないような、孤独が似合うKinKi Kidsに抱くイメージというものは、もちろん今までに発表された楽曲やドラマなどから作られているのだろうが、二人の“尖っている”立ち位置は、少年時代から今も変わっていない。

長いものに巻かれたほうがいい業界で、決して媚びない彼らの内側をそっと覗くと、こんな『変わったかたちの石』を心に忍ばせているのではないか。

そう思えてくる彼らにとっての“自分らしくあること”とは、子供のようなわがままな反抗とは違い、そこから逃げない彼らの美学なのだ。

まだ涙にならない悲しみが


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合鍵を外す Keyholder
キミの手が泣いた
唇は誰かの名前を
隠したまま風に震えて
≪まだ涙にならない悲しみが 歌詞より抜粋≫
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松井五郎×織田哲郎の豪華タッグで挑む、KinKi Kidsのさらなる音楽へのポテンシャルを見せつけたのがこの曲。前作『変わったかたちの石』から1年9ヶ月というKinKi Kids史上一番長いリリーズ間隔だ。

シングルもアルバムもこんなに長い間リリースがなく、待ち続けるファンには試練の時だったが、この期間に並行して制作された『Lアルバム』とともに、時間が掛かった分、この作品はこれ以降のKinKi Kidsにとって重要な位置づけとなった。

「今までのKinKi Kids」を踏まえた上で、さらに音楽に深く関わっていくという決意が見え、一歩進んだ世界に彼らが足を踏み入れた印象がある。Aメロ一行目が一番も二番も秀逸だ。「合鍵を外すkeyholder 君の手が泣いた」この最初の一行で二人の今までの関係性とこれから離れていく距離感を教える。

二番では「指輪さえ 買ってあげてない曖昧な答え」ここでは自分たちの関係を客観視して、自分がするべきだった選択に自戒の念を抱く。

どうしようもできない別れの場面を、まぶしいサウンドで彩ったことで、“失くした愛だって僕の中ではきらめいている”というような“苦みを無視せず抱きしめ許す”という、大人のKinKi Kidsだからこそ説得力のある立ち位置を表現している。

この曲を聴いたとき、リリースがなかった一年9ヶ月の間も、確実にKinKi Kidsは前に進んでいたのだという確信をつかんだのだ。

薔薇と太陽


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青空に咲いたよ (boys and roses and girls)
夜空に咲いたよ (boys and roses and girls)
真っ赤に燃えてしまったよ (boys and roses and girls)

ふたつに割れた 愛の欠片よ
暮れゆく灼熱の影 カルメンのような眼差し
首筋に光る汗は 命の白のシャルドネ
コルクを抜いてしまえば「死んでもいい」という名の
カーニバルの入り口へ 僕の手を取り招いた
≪薔薇と太陽 歌詞より抜粋≫
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吉井和哉がKinKi Kidsを本気にさせた。“吉井節を超えていけるのか”そんな挑戦者の顔になったKinKi Kidsがここへ来てこんなにも激しい楽曲を作り上げたことに衝撃を受けた。

憂いや別れとの親和性が高いKinKi Kidsの情熱を引き出した吉井和哉の功績はもっと賞賛されていい。こういった力強い楽曲でのハーモーニーワークもしびれるほど冴え渡る。

“ダンスとギター”その見せ方も型破りではあるが二人の対比を美しく際立たせた。

テレビでの歌披露の時などは、バンド組とダンス組に別れた二人を1つの画に収めることが難しそうにはみえたが、それすらも“エンターテインメントというのは想定の範囲内じゃ面白くないじゃない”というような挑戦的な姿勢が見えて、彼らは表現者として妥協せず戦っているのだな、と頼もしさを感じた。

「愛されるより愛したい」と少年時代歌った彼らが「愛され愛したならそれでいいじゃない」と俯瞰で語る。旅人のように、時間も愛も自分を通り過ぎていくものと受け入れ、どこにも定着せず歩み続ける。

そんな異邦人のような生き様は、浮き沈みの激しいエンターテインメントの世界で、何度も何度も真っ赤な薔薇を咲かせ続ける彼らの表現者としての生き様にリンクしていくのだ。

名曲を生み出し続ける彼ら


KinKi Kidsのところには、質の良い楽曲が不思議と集まってくるという。いや、不思議ではない。KinKi Kidsを想定するからこそ生み出せる楽曲は名曲になる運命なのだ。

“彼らならやってくれる”そんな信頼感がそうさせるのだろう。

そんな、もうずっと前に出来上がったように思えるKinKi Kidsの世界観に作家たちが新たに足していく“大人の顔”が『The BEST』におけるDisc 3の魅力だ。

そこを是非味わってみてほしい。“今のKinKi Kidsの最上のもの。”そしてそこをまた超えていくだろう彼らの今後に期待せずにはいられない。                                               

TEXT 阿璃守

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