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【インタビュー】瀧川ありさ「パーソナルな部分を伝えられる一作」東京をテーマにした新譜で全曲解説 (1/3)

シンガーソングライターの瀧川ありさが6月27日に、CONCEPT mini ALBUM『東京』をリリース。今作は、“東京”育ちの彼女が想う“東京”にフォーカスをあてた楽曲が6曲散りばめられた。今回UtaTenでは、東京を題材にした新譜について全曲解説して頂いた。

東京を俯瞰した人たちの話


――6月27日にリリースされるCONCEPT mini ALBUM『東京』は、東京を綴った作品だと思いますが、なぜこのようなテーマ性を持って制作されたのでしょうか?

瀧川ありさ:私は東京生まれでずっと育ってきたんですけど、自分が作る曲が東京に纏わる風景を描く事が多かったんです。その曲たちは、東京の出身ではないミュージシャンとは違う見え方をしているなと思ったし、東京出身の人が描く東京の曲はあんまりないなと。
東京を題名にして、自分のアイデンティティをより伝えられる曲が出来たら良いなと思って制作しました。


――瀧川さんにとって東京とは、どういう街なのでしょうか?

瀧川ありさ:どういう街なんでしょうね(笑)
このお仕事を始めて、各地に行かせてもらうとそれぞれの街の良さが見えるんですよ。水が綺麗だとか。他の街と比べてみてわかる事もあるんですけど、大人になるまでは東京しか知らなかったので、なんでもあるんだけど何もないよなあと思っていて。

人がこんなに沢山いるのに、それぞれが浮き立つ孤独も見えてくるし、人との距離感っていうのが掴みにくいなっていう。田舎だと距離感とかも近しい感じがするじゃないですか?それが希薄な感じがあるので、どうしてなんだろう?って思ったりして。
でも東京って世界的に見ても“TOKYO”って言われていて、なぜだかブランド化しているのも不思議だし。今回はそこにフューチャーしてみたいと思ったんです。


――1曲目の『night light』はピアノのイントロから泣かせにくる、センチメンタルな楽曲ですね。

瀧川ありさ:パッと世界に入れますよね。私、東京タワーが結構好きで、遠く離れた街からも見たりするんですが、家の近くにある高台に行ったときに都心の高層ビルなどの街並みの光を見たんです。その光景に安心してしまったというか、夜なのに暗くならないし、ずっと誰かがいてくれるっていう考え方になったときに、ちょっとホッとできたんです。

この光の中で色んな人が生きているんだなって思ったときに、人と人との愛情の関わり方っていうのは、愛を掛け合って、それぞれどこかに向かっていくんだろうなって感じたんですよ。曲調も今の自分らしいこれまでよりは大人っぽいものになったので良かったと思っています。


――「孤独にそっと愛 羽織って」というワードはとても印象的ですね。

瀧川ありさ:ここのワードは、どうやって言語化しよう?ってとても悩んだんですけど、ドラマとかで隣にいる人に上着をかけてあげるっていうシーンって、良いなって思ったんです。愛情って与えるとかっていうフワっとしているものだけど、いざモノに例えたときに愛情って見返りを求めない感じがするなと。
自分が生まれもって色んな人からもらった愛情を誰かにまたかけてあげて、生きていくのではないか?と深夜に思ったんです。


――『night light』は曲から先に作られたんでしょうか?

瀧川ありさ:そうですね。歌詞を初めてセリザワケイコさんと共作させてもらったんですけど、同じ東京出身で。私と同じ風に思っている事をどんな風に言語かしようか?ってお互いヒントを与えあって、最後まとまったんですよね。セリザワさんのおかげもあってこういう歌詞になりました。


――『night light』の中からお気に入りのフレーズを教えてください。

瀧川ありさ:サビの「Close to you僕らが生きる街は孤独にそっと愛羽織って お互いの肩に掛け合ってはそれぞれどこかへ向かってく」が好きです。
この曲は、群像劇っぽくしたかったので、東京を俯瞰した人たちの話にしました。歌詞の前後は君と僕の話だったりするけれど、サビではそれぞれの人生を描けたのが自分的には良かったと思っています。



――作曲に関してはスムーズにいかれたのでしょうか?

瀧川ありさ:この曲はスムーズに行きました。ギターのぶわーんっていうボトルネック音が入っているんですけど、そういうギターの音で夜の感じを作るのが新鮮で、レコーディングが楽しかったです。
音色によって夜中なのか、ちょっと明け方っぽくなるのか変わるので。それをああでもないこうでもないってやっていくのが良かったですね。


自分が優しい雨のような存在になりたい

――2曲目の『Gentle rain』はギターが際立っているエモーショナルな楽曲で、雨の音が入っていて良いですね。

瀧川ありさ:ありがとうございます。かなりギターにはこだわりました。雨の音は実際に自分で録って、そこにボヤのかかったアコギのアルペジオが乗っていくような感じでイントロに入るように作りました。ニュアンスには苦労しましたが、雰囲気が出来て良かったです。


――『Gentle rain』はやはり、雨などを見て生まれた曲なんですか?

瀧川ありさ:私、歌詞で雨を書く曲が今まで多かったんですけどそこにフューチャーした曲ってなかったんです。
それで、自分自身雨が好きだなって自覚したんですよ。そういうのもあったし、リリースの時期が梅雨でもあったから雨を題材にした曲を作りたいなと。東京の雨って汚れているけど、そこまで嫌いじゃないな、雨が街を綺麗にしてくれる感じがするなとも思って。

そういった中で、雨の憂鬱な相手と自分が何もしてあげられない事をテーマにしていて。自分といるといつも雨を降らしてしまうんだけど、それをあえて言わずに傘を差しだす事で、その子に何かをしてあげれる気になるっていう理由づけをするというか。
雨が降るという事を、悲観的な事に考えるのではなくて、自分が優しい雨のような存在になりたいと思って作りました。


――『Gentle rain』というタイトルも響きがクールですね。

瀧川ありさ:これもサビ頭を作っているときに、パッと浮かんだんです。なんか『Gentle rain』っていう単語が出てきて…。
そういう風に単語がパッと思い浮かぶ事ってあるんですよ。それで『Gentle rain』っていう優しい雨っていう意味は何か良いなって感じて。


――『Gentle rain』の歌詞で書かれている君っていう対象者は、男女問わず捉えていますか?

瀧川ありさ:何とでも捉えて欲しいです(笑)雨が憂鬱な象徴だと思うんですけど、そっと側にいてくれる存在でもあるなって。雨がザーって振っていても傘を差していれば、そこだけ個室みたいな感じで守られている気がするし、その時になっている雨音に安心する気もするんです。

雨ってそういう心を癒す気もするし、そこを君と僕での話で書きました。思春期っぽい感じの所も入れたかったので、「青を忘れたような真っ白な空」も入れたんです。青春時代って青春に気づかなかったりするじゃないですか?後から見て青いなって感じるだろうし。
端からみると青空に見えるけど、本人たちからするとかなり思いつめていたりもする、そんな思春期の要素を入れられたらいいなと思いました。


――最後は「傘を閉じて」に変わるんですね。

瀧川ありさ:そうなんです。空が青空に変わったので、傘を閉じたんです。


――「おとぎ話みたいな幸せはない」というフレーズは共感する方も多そうですね。

瀧川ありさ:そうなんですよ。これって幼いときから大人になるときに女の子とかって感じる事だと思うんですよね。あれ?王子様迎えに来ない?みたいな(笑)
10代の子が感じるモヤモヤがこの一行で書けた感じがします。


――この曲は男性が歌ってもカッコよく決まる曲ですね。

瀧川ありさ:歌詞は最後に仕上げたんですけど、曲調はカッコいい感じにしたんです。私が男の子だったらという視点で書いたので、自分とはちょっと違う感じかもしれないですね。


――ライブでも雨の音の演出はされるんでしょうか?

瀧川ありさ:どうしましょうね(笑)楽しみにしていてください。


――お気に入りの歌詞を教えてください。

瀧川ありさ:「止むことない雨に呆れて笑ってよ」が好きです。呆れて笑ってよって自分でもよく出てきたなと思うんですけど、呆れ笑いってあるじゃないですか?あれってただの笑顔と少し違うんですよ。やれやれみたいな笑顔って安心するというか、そういう風なコミュニケーションをとれる関係って良いなって思っていて。そういった感情が、呆れて笑ってよっていう表現でつけた形ですね。



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1991年、東京生まれのシンガーソングライター。 奥田民生率いるユニコーンをはじめ、CHEMISTRY、ゴスペラーズ、最近では西野カナといった人気アーティストを発掘してきた、伝説のスカウトが惚れたグロッシーヴォイスと、風景を描くように紡ぎだされる歌詞とメロディーが魅力。 ▶公式サイト:htt···

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