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死にゆくことは不幸ではない!ドレスコーズ「あん・はっぴいえんど」

ドレスコーズの『あん・はっぴいえんど』は、爽快なロッククチューンでありながら、どこか刹那的な散り様に喜びと切なさが入り混じった歌詞というギャップを堪能できる。

志磨遼平の願いが感じられる曲


2012年に、毛皮のマリーズのボーカルだった志磨遼平を中心に結成されたドレスコーズ。2014年にリリースされた初の単独制作となるアルバム『1』では、志磨遼平がベース以外の楽曲演奏を全て手がけた。

そのアルバムの収録曲の1つである『あん・はっぴいえんど』は、爽快なロッククチューンでありながら、どこか刹那的な散り様に喜びと切なさが入り混じった歌詞というギャップを堪能できる。

自らの意思で毛皮のマリーズを解散させた志磨遼平は1人になったが、決して孤独なわけではなかった。才能と努力の恩恵を受けた志磨遼平の作り出す音楽は、他に類を見ない唯一無二のもの。そんな彼に魅力を感じ、周りには音楽人が集まってくるのだ。

歌詞中の“僕”に、自分の散り様がこうでありたいと願う志磨遼平自身を重ね合わせて聴くことのできる曲である。

自虐的な自分を鼓舞するような歌詞と曲調

あん・はっぴいえんど


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思い出すのはわりとすぐに飽きるよ 今さらさ
とどのつまり、別れた恋にひたるは
――命も落としかねない!

どんな風だ ぼくの召され方
ろくなもんじゃないことは、確か!
≪あん・はっぴいえんど 歌詞より抜粋≫
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主人公である“僕”は恋人との別れに未練を残していて、生きていく気力さえも失せ、自堕落な毎日を送っていた。

“もう、いつ死んだっていいや” と思える程、自暴自棄になって精神的にも追い詰められている。そんな展開から始まるストーリーが描かれているにも関わらず、自分自身を奮い立たせるような歌詞にも捉えられ、最初から最後まで清々しい潔さも感じられる『あん・はっぴいえんど』。

曲調に至っては、『あん・はっぴいえんど』というタイトルを『はっぴいえんど』にしてもいいのではないかと思えるくらい、明るくリズミカルなものになっている。

1人になって音楽を志ざす志磨遼平の覚悟と決意


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歌は道ずれ たどりついたるはパリよ、シャンゼリゼ!
青すぎる空、風船売りのピエロ
バンドネオンと 春と修羅

こりゃあいーや すこぶるいい気分
悪くねえな ここが死に場所か!
≪あん・はっぴいえんど 歌詞より抜粋≫
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しかし、ある時“このままではいけない!” と思い立ち、まだ見ぬ世界へ飛び出していく。大好きな音楽を連れて。

閉じこもっていた殻を自らの手で破り、一歩外に踏み出すとそこには鮮やかな景色と希望に満ち溢れている自分自身がいた。音楽に人生を賭けると決めた“僕”は、恋人への未練も断ち切り、新たな自分の居場所を見つけて“ここでやっていく”と決意を胸にする。

死さえも大きく構えて受け入れられるぐらい、もう恐れるものなんて何もない。

自分に正直に音を奏でる


毛皮のマリーズの解散、結成当初のドレスコーズの活動終了を経て、ソロプロジェクトとなった志磨遼平。ギター、ベース、ドラムと他のメンバーがいた毛皮のマリーズ時代には、メンバーに合わせて曲を作っていた彼。

彼自身が本当にやりたい音楽を毛皮のマリーズというバンドではできずにいて、その鬱憤や葛藤、自分が音楽人生で成すべきことについて考えた結果、解散に至った。

毛皮のマリーズが解散した後、4人編成での結成初期のドレスコーズも短期間で終わりを告げる。この時期、志磨遼平の中で葛藤はまだ続いていて、何が一番自分に合っているかと手探り状態にあったのだ。

現在、ドレスコーズのメンバーはライブやレコーディングの度に入れ替わっているが、それは自分の作り上げた音楽を最高にカッコよく飾ってくれるメンバーというのを考え抜いて選択している。

常に一番カッコいい音楽を追求していくストイックで向上心旺盛な志磨遼平は、この先も自分が心から納得した最高のロックンロールを聴き手に届けてくれるだろう。

無限の可能性を秘めたこれからの志磨遼平の音楽人生に対する覚悟がこの一曲に詰まっている。

TEXT 蓮実 あこ

■志磨遼平 メジャーデビュー10周年 特設サイト「ID10+」 https://shima-idiot.jp ■ドレスコーズ Official Web Site https://dresscodes.jp ■ドレスコーズ(志磨遼平) Twitter https://twitter.com/thedresscodes?lang=ja ■ドレスコーズ公式 Twitter https://twitter.com/thedresss···

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