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大橋トリオ&miccaが生み出す5分7秒間の幻「LOTUS」

2020年2月にニューアルバム『This is music too』をリリースした大橋トリオ。アルバムのオープニングを飾る『LOTUS』の歌詞から、マルチアーティスト大橋トリオと作詞家miccaが織りなす不思議な世界を体験してみましょう。

「考える」ではなく「感じる」歌詞

まるでSF映画のような雰囲気漂うスペイシーなシンセサウンドで幕を開ける大橋トリオの新曲『LOTUS』。

それに続く、気だるいピアノの音色とタイトなドラムのビートは、大橋トリオのジャンルを超えた音楽の世界へと聴く人を誘います。

そして、引き込まれるようなイントロの後に始まる歌詞は、聴く人をさらにこの曲の深みへと連れて行くでしょう。


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町外れ寂れた露店
夜も更けた頃、賑わう路地裏
ベルベッド破けた椅子
煙草くわえながら
痩せた猫あやす
≪LOTUS 歌詞より抜粋≫
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さびれた街角の風景を連想させるだけで、場所も時代も全く不明な歌詞。

次々と切り替わって行くイメージに“この歌詞は何を意味しているのだろうか?”と戸惑うかも知れません。

明確なメッセージ性を感じさせないこの歌詞は、ジャズを基調に多様な音楽性を取り入れた大橋トリオの世界観を膨らませる要素の1つなのではないでしょうか。

“なぜ?”と考えずに、歌詞も含めた音楽全体が放つ響きを感じる、それこそが大橋トリオの音楽の醍醐味。

それは「音を楽しむ」と書く「音楽」が持つ本来の魅力ではないでしょうか。

「LOTUS」に描かれた「恋」と「愛」



ピアノ、ギター、ドラムなどの楽器をこなし、他アーティストへの楽曲提供や映画音楽も手がけるマルチな天才である大橋トリオですが、実は作詞はあまり手がけていません。

『LOTUS』の歌詞も、大橋トリオの多くの楽曲の作詞を担当している作詞家のmiccaによるもの。

miccaは音から広がるイメージを何層にも重ねながら、その中に1つのテーマを織り込んでいるような気がします。そう感じさせるのが次のフレーズです。

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咲かない恋水を蒔いては
咲いている愛は枯れ果てたまま
≪LOTUS 歌詞より抜粋≫
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miccaがこの曲に描いたテーマ、それは「恋」と「愛」ではないでしょうか。

この曲のタイトルにもなっている「LOTUS(ロータス)」とは、ギリシャ神話に登場する果実の事。それを食べると現世を忘れ、夢見心地になり、故郷へ帰る事すら忘れてしまう不思議な果実です。


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恋という幻を見て
愛という悲しみを知る
≪LOTUS 歌詞より抜粋≫
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望んでも実らない恋を望み続ける事、それは幻を見ているようなもですよね。また、実ったとしても恋とは長続きするものではなく、その熱情はいつか冷めてしまいます。

miccaは「恋」とは現世を忘れさせてくれる果実、ロータスを食べた時に見る一瞬の幻のようなものであり、それに対して、責任が伴う「愛」は厳しい現実だと表現しているのではないでしょうか。

一見メッセージ性のない言葉の中に普遍的なテーマを込めたこの歌詞は、実は大橋トリオの奥さんでもあるmiccaだからこそ描ける世界ですよね。

幻のような曲「LOTUS」


「LOTUS(ロータス)」には、甘い果実の他にもう一つの意味があります。それは、水中から咲く花「蓮」。

蓮といえば、仏教やヒンドゥー教を象徴する神聖な花ですよね。また「ロータス効果」として注目される、水滴が玉のようになって細菌を吸い取りながら葉から転げ落ちる自浄効果も不思議です。

さらに、蓮の花は朝早く開花して午後には閉じてしまうとても神秘的な花。

大橋トリオの『LOTUS』は、お年寄りたちが踊り出すシュールなMVでも話題になっていますが、その世界観は、なんとなく蓮の花が満開になる夢のような時間と重なるような気がします。

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何かを見つけ出す頃には
もうきっとここには居ない、さらば
≪LOTUS 歌詞より抜粋≫
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UFOが飛来したかのようなシンセサウンドで始まった『LOTUS』は、この曲そのものが現世を忘れさせてくれる果実であり、限られた時間だけ花開く蓮の花なのではないでしょうか。

ラストにつきつけられる「さらば」は、幻の世界へと迷い込んだ私たちに、現実へと戻る時間が来た事を知らせているような気がします。


TEXT 岡倉綾子

大橋トリオとして2007年にデビュー、もう一つの顔として、テレビドラマやCM・映画音楽の作家としても活動。 代表作に、映画『余命1ヶ月の花嫁』(09)、『雷桜』(10)、『PとJK』(17)など。 最近では、NHK Eテレ子供向け番組『にゃんぼー』の音楽や、TBS番組『世界遺産』のテーマ曲も担当。 2···

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