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マカロニえんぴつ「溶けない」は「解けない」日々に「溶けて」いく…

マカロニえんぴつの新曲『溶けない』は、グリコのセブンティーンアイスのタイアップ曲として書き下ろされた配信シングルとなっています。今回は、儚い青春の日々を繊細に描いた楽曲『溶けない』の魅力について解説していきます。

一瞬で溶けていく儚い青春

▲マカロニえんぴつ「溶けない」MV
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覚えた言葉だけでは僕は僕のこと話せない
向いてないのかな、きっと向いてないんだろな
急ぎすぎた日々の中で見つけた優しさ
忘れちゃうのかな
そっと忘れちゃうんだよね、ぜんぶ
≪溶けない 歌詞より抜粋≫
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青春時代は、自身をうまく表現できずに悩むことも多かったのではないでしょうか。

自分がよく分からずに立ち止まった時、自分よりも自分を知り尽くした仲間の存在に支えられた経験は誰もがあるでしょう。

不安の多い青春の日々を振り返った時にどこか愛おしく感じるのは「急ぎすぎた日々の中」で、仲間の何気ない「優しさ」があったからだと思います。

多くの人と交わる時期でもあるので人間関係に悩むこともありますが、仲間と共に支え合いながら成長していく過程は、二度と戻れない大切な時間なのです。


「そっと忘れちゃうんだよね、ぜんぶ」という歌詞からは、色濃い毎日もいつかは呆気なく記憶から消えてしまうのではないかという「僕」の思いが表われています。

とてつもなく長く感じた退屈な授業も、永遠に続くと思っていた苦しい部活の練習も、過ぎてしまえば一瞬の出来事です。

主人公の「僕」は、仲間との愛おしい時間が一瞬の記憶の中に埋もれてしまうことを、どこか寂しく感じているようです。

青春という限られた時間の儚さが描かれた、なんとも切ない歌詞となっていますね。

「赤の他人」と作り上げた「青の日々」


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赤の他人よ 悪いが青の日々には必要だ
ほら、何度分かり合えても何度すれ違っても
ただ愛すべき濃い時間に溶ける
ほどける結び目を何度も僕ら愛せたじゃんか
≪溶けない 歌詞より抜粋≫
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学生時代を共に歩み支えてくれる仲間は、みんな「赤」の他人ですが「青」の日々に、なくてはならない存在です。

このように「赤」と「青」といった色で表現されているのも『マカえん』らしい演出ですよね。

続く歌詞をみていきましょう。


周囲と分かり合い、時にぶつかり合い、いつの間にか寄り添い合えるようになりながら成長していける時間が「青の日々」だと思います。

最高の日も最低の日も限られた日々だからこそ「愛すべき濃い時間」になっているのです。

そして、たとえ全て溶けてしまっても、消えてしまうわけではありません。

溶けたアイスのように、形を変えても「青の日々」は残り続けるのです。

過ぎゆく時間で見つけた優しさ


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数えた怒りだけでは君との距離など測れない
言えなかったこと、敢えて言わなかったこと
急ぎ、過ぎた日々の中で気付けた優しさ
忘れないからね、ちゃんと忘れないからね
≪溶けない 歌詞より抜粋≫
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「急ぎすぎた」と歌われていた歌詞は「急ぎ、過ぎた」という表現へと変化し、瞬く間に過ぎてしまう時の流れを表わしています。

仲間だからこそ「言えなかったこと」や「敢えて言わなかったこと」。

きっと互いを想い、目に見えるぶつかり合いの数以上に心の奥ですれ違ったり、傷ついたりしていたのでしょう。

同時に、しっかりと相手の気遣いや小さな優しさに気がつくことも出来ていたでしょう。

親しくなるにつれて心と心が深い場所で繋がっていくことが、伝わってくる歌詞になっています。

青春こそ「解けない」日々の繰り返し


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見つかったかい?友情の上の上
見透かすディスカッション、似たもん同士
姑息で孤独なyou、似て非なる様
Youth and moment?
溶けない、溶ける、溶けない
溶ける、溶けない、溶ける
溶けない、溶ける、溶けない
解けぬ謎に溶けたい
≪溶けない 歌詞より抜粋≫
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一瞬で転調し、自問自答のように繰り返される言葉は青春を表しているようです。

友情に上も下もないのに「上の上」を探してしまうような自分達を皮肉に描いた表現も、先程までの歌詞とは違った印象を受けます。

青春とは、まさに解けない日々の繰り返しなのです。

正解もなければ、最適解もありません。

だからこそ、自分達で濃い時間を作り上げていかなければいけないのだと伝えたいのではないでしょうか。


また、この部分の歌詞には『ブルーベリーナイツ』の「姑息で孤独なyou」や『青春と一瞬』の「Youth and moment?」といった彼らの楽曲の歌詞が入れ込まれています。

これまで「心の移り変わり」と「時の流れ」を繊細に表現してきた彼らですが、その表現が詰まった楽曲と言えるのではないでしょうか。

マカロニえんぴつ『溶けない』を聴いて、アイスのように溶けていった「愛すべき濃い時間」を思い出してみてはいかがでしょうか。


TEXT もりしま

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