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ボカロPじん「Inner Arts」に込めた想いを歌詞から迫る

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大人気ボカロP『じん』の21作品目の楽曲『Inner Arts』。「誰かの活力になったら良いな」という思いが詰まった楽曲。どのような内容に仕上げられているのか、歌詞に込められた制作者の思いを考察します!

「平凡な人生」を送る誰かの活力に

▲【IA OFFICIAL】Inner Arts | じん (MUSIC VIDEO)

大人気カゲロウプロジェクトを制作したボカロP『じん(自然の敵P)』の21作品目にあたる楽曲『Inner Arts』。

2014年、ボカロIAの新ライブラリとして発売された『IA ROCKS -ARIA ON THE PLANETES』を用いた楽曲として制作されました。

Vita専用IAの音楽ゲーム「IA/VT -COLORFUL-」の主題歌として発表がされた楽曲でもあり、その明るく爽快な曲調に多くのファンが聴き惚れる楽曲となりました。

「誰かの活力になったら良いな」という思いで制作したと、じんのTwitterを通して明かされた楽曲。

その思いはどんな内容の歌詞に仕上げられているのか、考察してみましょう。


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平凡な人生に 歪な涙流しながら
臆病で繊細な産声は 今日も歌う
鮮明になっていく モノクロの夜を越えたなら
冷えきった感情も また動き出すでしょう?
明日へ
≪Inner Arts 歌詞より抜粋≫
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始まりの歌詞から「誰か」の人物像が、なんとなく見えてきました。

「平凡な人生」に「歪な涙」を流す人物。この歌で励ましたい相手のようです。

それをさらに証明するかのように、続く歌詞でも同じ言葉が歌われています。


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平凡な人生に 怯えた僕らは大それて
焼き付いた感覚で それぞれの愛を謳う
革命の毎日に 孤独のアリアが哭いたなら
背負い込んだ衝動は 忘れずに持っていこう
≪Inner Arts 歌詞より抜粋≫
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平凡でありきたりな人生。

そんな中で涙を流す人というのは、きっと今の人生に満足していないのかもしれませんね。

本当はやりたい事があるけれど、目立つ成果や結果も出せず、やりたい事を諦めるしかないような人生を歩んでいるのかもしれません。

ですが、やりたい事への情熱が消えたわけではないのでしょう。

「冷えきった感情も また動き出すでしょう?」という歌詞からは、再び情熱が燃え盛りだす光景。

「背負い込んだ衝動」という歌詞からは、胸の内ではまだ燃え続けている情熱を力に変え、再びやりたい事に向かって挑んでいこうとする光景が目に浮かびます。

タイトルにある「Inner」を和訳すると「内側」や「隠した」を意味します。

そこから考えられるのは、胸の内にまだ存在している「衝動」の事を指しているのかもしれません。

胸の内にありつづけた「衝動」の理由

それにしても、一体なぜ「君」は「衝動」を胸の内に持ち続ける事ができたのでしょうか。

その理由と思われる歌詞が、続く1番Bメロにて歌われていました。


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気持ちを歌にして 言の葉にそっと恋した
痛みだらけの記憶があったなら
止め処ないダメージも やり場所のないジレンマも
君の持っている 新兵器さ
その涙にも負けない
≪Inner Arts 歌詞より抜粋≫
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「痛みだらけの記憶」が「情熱」を抱き続けられた理由に関わるものだと思われます。

続く歌詞で歌われる「止め処ないダメージ」「やり場所のないジレンマ」も、この「痛みだらけの記憶」にまつわるものなのでしょう。

さらに2番では、こう歌われています。


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君の感性が刻む ビートを貫けば
間違った選択も 翼になるのさ
逡巡な人生を がむしゃらに今日も追いかけて
行き逢った情景を 描く術を 謳う歌を 探す

止め処ない溜め息も
笑われてしまったセンスも
独りよがりのやりきれない日々も
不思議な色にして 指先でそっと愛して
君の全部が 輝いたら
その涙も敵じゃない
≪Inner Arts 歌詞より抜粋≫
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決心がつかず、ためらいを意味する「逡巡」の人生。

きっと「君」の今までの「平凡な人生」を指しているのでしょう。

続く歌詞では「笑われてしまったセンス」「独りよがりのやりきれない日々」と歌われたいます。

一度挑戦したものの、平凡だった故に望んだものにならず失望する事になってしまった光景が歌詞から想像できます。

もしかしたらその失望が「君」に、自分が平凡な人間である事を理解させ、情熱を諦めさせてしまったのかもしれません。

けれど、それを逆に自分の力に変えてみようよ、という事も歌われているようです。

「君」の中に「衝動」があり続けていたのは、嫌な事を全て自分の力に変えようと足掻く心が、現実を見返したい思いがあったからなのかもしれませんね。

歌詞の中では度々、衝動を歌に変えようとするさまが歌われています。

タイトルにある「Arts」は、歌というArtsに変化し、例えられた衝動そのものを指し示しているのかもしれません。

「衝動」を焚きつける曲「Inner Arts」


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伝えよう 新感覚のイメージを
叶えよう 恥ずかしかったあの夢を
それはさ 難しいことじゃない
君次第で この世界に
きっと 鳴り響くから
≪Inner Arts 歌詞より抜粋≫
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「伝えよう」「叶えよう」と誘うように歌うCメロ。

諦めかけていたことや、本当は叶えたいと思っていたものに、再び自分の力で挑もうと背中を押すような歌詞となっています。


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始めよう 未体験のステージを
奏でよう 新感覚のその夢を
飛び込もう 不確かなままで良い
恐れないで 迷わないで
漂う様に ただ、酔う様に
また今日から 始まっていく
踏み込んでいこう そのイメージのままで

未完成の明日へ wow
≪Inner Arts 歌詞より抜粋≫
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大サビもCメロ同様に力強い言葉で「君」の背中を押すような形の歌詞となっています。

「君」が自分の本当にしたい事や、やりたい事を諦めてしまわないように、自分自身を信じて歩み出せるように。

そんな強く熱い想いが、ひしひしと伝わってきます。

しかし、絶対に成功する、と言った事は一切歌われてはいません。

「不確かなままでいい」と歌う様からは、全力を尽くしたところでどのような結果を出すかはわからない、という現実の厳しさが込められているように思います。

しかしそれでも踏み込まなければ何も始まらない。

「君」が本当に叶えたいと思うのならば「不確かな」現実に怖がらずに進んで欲しい、というメッセージ性も含まれているように感じられます。

まるで、胸の中に隠された熱い情熱を焚きつけようとするかのような歌詞。

この歌は、そんな「君」の中で燻りかけていた想いに気づき、それを焚きつけようとしているのでしょう。

それが、じんがこの楽曲に込めた思いの正体だったのかもしれません。


TEXT 勝哉エイミカ

1990年10月20日生まれ 北海道出身。 作詞家、作曲家、小説家として活動。 2011年より動画サイトへ投稿を開始。 歌詞の世界観がストーリーとリンクした楽曲群「カゲロウプロジェクト」をスタートさせた。 自身が執筆した小説「カゲロウデイズ」シリーズの刊行や、別視点からの物語を描いた同···

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